2016年03月27日

心理占星術はもやしっ子?

松村先生のホームページに心理占星術に関するご意見があり、多くの方々がいろいろな印象を受けているようです。それについて私の意見も書いておこうと思いました。


まず、最初に指摘しておきたいポイントは、占星術というのはいろいろなことに応用できる「道具」だということです。


占星術の勉強は、象徴を通してとてもさまざまなことに触れたり、考えたり、理解を深めたりします。いろいろなことが繋がったり、関連したりしながら動いていることに気づかせてくれるよい道具です。道というより道具ですね。アルファベットのようなものです。


ときにこの「道具」と「哲学」は、分けて認識した方がこんがらがらずに済みます。占星術という道具は、いろいろなことに利用できるので、目的に合わせて利用していけばよいのでしょう。占星術を社会や経済の予測に利用する人もいれば、ホラリーなど日常の問題を整理するために利用する人もいます。心理占星術も、心理学的な視点やプロセスを進めていく補助として占星術の象徴を利用します。


しかし、占星術という「道具」の勉強の他にそれぞれが自分自身の哲学を追求するべきです。あるいは、道具を使って何をしたいか、ここの部分の意識的な探求がなければ道具は役に立ちません。マンデンやホラリー、心理占星術などではそれぞれ実践する際に何らかの目的を意識しています。それが他人に対して、あるいは社会的に意義を持つためにはそこに哲学の形成やそのやりとり、共有が必要になります。


松村先生のおっしゃっている「もやしっ子」というのは、そういう哲学の部分の強さ、あるいは普遍的なものとの関連の強さということだと私は思います。それは、「心理占星術」がそうだ、ということより、個々の実践者の意識の差のように私は思います。その点では、私は心理占星術を実践しながらも、「もやしっ子」であるつもりはありません。ぜひ、みなさんもしっかりした哲学のもとに実践していくよう意識したいですね。


しかし、今回のテーマでもうひとつ重要なポイントは、真理を極めていこうとする努力と一般に普及していく努力はエネルギーをかけるポイントが異なり、両立しにくいという点でしょう。真理を極めていこうとする真剣な努力には、膨大なエネルギーが必要です。さらに先端をいこうとする研究は必ずしも多くの人々に理解されるとは限りません。この部分の理解が重要な論点だと私は思います。いつも、みんなにわかりやすいこと、普及しやすいこと(「売れること」を含めて)が最重要課題というわけではありません。関心を持つ人が少ないからこそ重要になる探求もあります。


社会全体の進化を考えたとき、ひとりひとりが人生の中で、どんなやり方でもよいので、根気づよく複雑なシステムの理解を深めていくとよいと私は考えています。地道に理解を深めていくことが未来を創ることにつながると私は考えています。宗教や神話、古典的な文献などは、昔の人々がそのようにして少しずつ文化を進化させてきた記録なのでしょう。


遺伝子が共鳴しながら動物のからだの中のたくさんの細胞が情報を共有するための構造を創り出すように(意識はそれを総合的に行なう)、社会の中でもそれぞれの部分が全体の中での役割を自覚しながら協力し合う方向へ向かう意識が形成されてきているのでしょう。人類の歴史は、そのような意識の変遷と考えることもできるかもしれません。しかし、その形成は人間の一人一人の心と同様に複雑で、たとえすでに集合無意識のようなかたちで機能しているとしても、よりはっきりと意識化されていくのはとても長い時間とエネルギーが必要かもしれません。私は、松村先生のグルジェフを始め精神性の理解の探求は、そのような人間の社会全体の変容プロセスへ意識的に参加する努力と考えとても尊敬しています。また、私自身、自分に合った方法で、同様の努力をしているつもりです。


心理占星術の探求はそれ自体とても奥深く価値のあるものだと思います。とくにある程度奥深いものを噛み砕きながら一般的にわかりやすくしていく作業が主体かもしれません(つまり、そのような視点では「もやしっ子」ということです)。それ自体私はとても価値があると考えて進めていますが、一方で、松村先生のご指摘通り証明できるものをベースに進める学問的なアプローチの範囲内で進める「心理学」の範囲ではどうしても進歩がゆっくりでエネルギー源に直接結びついている感じではありません(心理学の中でも進歩的な考えで探求している人々もいらっしゃると思いますが)。このような探求は、さまざまなかたちで理解を深めていく必要があるのでしょう(「道」の側面)。私はたまたまヨガの姿勢やインドの思想が性にあっていて、最近改めてバガヴァッドギーターを読む機会に恵まれましたが、バガヴァッドギーターなどの古典的な文献は人間の営みについて考える際の大きなヒントになるように感じます。


とくに既存の考え方ではなかなかとらえにくいテーマを扱っている占星術をしっかり探求し続けていくには、何かしらのかたちで「証明できないものを探求し続ける」集団的な努力を意識していく必要があるのでしょう。そして探求し続ける意識やエネルギーを保っていく必要があると思いました。

posted by ryu at 12:33| Comment(1) | TrackBack(0) | つれづれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする