では、さっそく今回の新月図(2009.4.25.12:22JST)について考えてみましょう。新月は牡牛座の6番目の度数で起きています。新月の起こった牡牛座は金星と関連づけられています。金星は直接外部と関係をつくり、価値観を形成したり、調和や平和を実現することに関連する天体です。「地」のエレメントで自互公の「自」の領域にある牡牛座の「個人個人が自分自身の感覚(自)を使い、触れ合うものをじっくり味わい、その中で自分のあり方を確認し、安定した存在の構造を確立しようとする動機(地)」を金星が実現するのです。象徴としての「心の中心」である太陽や月に対して「具体的な体験の現場」を示す火星や金星、という具合に対比的な構造を意識すると象徴を理解しやすくなります。つまり、火星や金星に関連づけられている牡羊、牡牛、天秤、蠍などのサインは現実の世界と触れ合い具体的な動きをつくる「体験の現場」に意識が向かいやすい特徴があります。今月はいろいろなものごとが牡牛座の「個人個人の感覚を生かし、価値観を洗練し、物質的な世界の中で安定した存在を確立する」という動機のもとに動いていることを意識できるとよいかもしれませんね。
新月へのアスペクト
さて、チャートの天体配置に目をやると、このような新月(太陽)は新月の10日程前(4/10〜4/16)には木星や海王星ととセクスタイルを形成しました。リーダーは理想や夢を意識し、その宣伝や広報に力を注いでいたかもしれません。東京オリンピック開催へ向けたアピールはこのイメージにぴったりかもしれませんね。今後、今年の間に3回木星と海王星がコンジャンクション(最初は5/28。そして7/10、12/21)になり、発展的な夢を意識する機会が多々訪れそうです。そして、新月2日前(4/23)には太陽は冥王星とトラインになりました。リーダーシップは長期的な重要な目標を再確認したかもしれませんね。今回の新月は日蝕から3ヶ月目の軌道修正のタイミングでもあります。1月の日蝕から始まった長期的な流れについてこのあたりで方向を確認し、必要であれば軌道修正を考えるとよいかもしれません。その後、5/5には太陽は土星とトラインになります。リーダーシップは現実的な安定した秩序やルールを意識するかもしれません。また、5/16〜17日には太陽は木星・海王星とスクエアになります。理想的なビジョンに関する期待はずれや噂や空想による混乱がもたらされる可能性もあります。リーダーシップの信頼に関わるような展開にならないような配慮が必要かもしれません。
その他のアスペクト
新月以外の天体の動きに注目すると、新月の3日前に火星と金星が魚座の最後の度数でコンジャンクションになり、すぐ火星、そして金星と牡羊にサインを変えました。通常の動きとは異なり、逆行を終えたばかりの金星は動きが遅く、火星に追いつかれ抜かされていきます。(その後金星はだんだんとスピードをあげ、6/21にようやく牡牛の真ん中あたりで火星に追いつき追い越します。)火星と金星の組み合わせは恋愛や対人関係(「婚カツ・離カツ」なども含まれるかもしれませんね。先月までの金星の逆行時の「個人的価値観の再確認」のテーマを実行に移す流れも考えられます)などのテーマに関わる可能性もありますが、牡羊座に入った直後にそれぞれ冥王星とスクエアになるので、真剣な決断を意識しながら行動をともにする(やりとりをする)ような雰囲気も出てくるかもしれません。この火星は前回の新月期間に土星と天王星のオポジションを刺激した後なので、その物語の延長で何らかの結論を出そうとする動きになる可能性もあります。一方、水星は新月の2日前に木星とスクエア、新月当日に天王星とセクスタイルになり、1日後に今度は海王星とスクエアになります(つまり木星海王星とのスクエアと天王星とのセクスタイルが混ざったような働き方)。夢や理想的なビジョンに関する斬新な新鮮な情報が飛びかうかもしれませんが、曖昧で惑わすような情報も混ざっているかしれません。このような水星は7日に逆行を始め18日に太陽とコンジャンクションになります。この18日前後には太陽も水星も木星海王星をスクエアでピックアップする時期になるので、リーダーシップの考え方、未来に関する具体策、それらに関する情報交換などに理想や空想、噂による安易な楽観性あるいは不安などが起こりやすいかもしれません。特に逆行と同時に起きるこの時期は誤解など情報交換の混乱がエスカレートしていきやすいので注意が必要かもしれませんね。
天体の方向転換やイングレス
太陽と月以外の惑星は、ときどき地球からの見た目の進行方向を変えます。進行方向を変える際には天体はとてもゆっくりと動き、その天体の働きが世の中のさまざまな動きの中に顕著に反映されるかもしれません。今回の新月の期間には、水星が5/7から5/31の間逆行します。また、5/17日には土星が順行に戻ります(1/1から逆行していました)。水星が逆行している期間は、頭脳の利用やコミュニケーション、情報交換などが目先のものごとや個人的な事情に左右されやすくなり、誤解が生まれやすくなると考えられます。自分自身の立場や方向性を整理するにはよい時期かもしれませんが、全体のまとまりや他人との意見の違いなどが意識されにくくなっていることに注意するとよいでしょう。また、土星の方向転換の時期には一時的に世の中で土星のテーマである「秩序の保持や一般の人々に対する構造の明確化、集団活動の管理」などに関わるものごとが強く意識されるかもしれません。この時期をきっかけに、その後の半年強の間それらのテーマの追求のされ方が個々の具体的な事象を尊重する視点からより長期的で全体構造の中での調整という視点に移り変わっていく可能性があります。
また、天体(特にゆっくり動くもの)の運行するサインの変化も人々が注目しやすいテーマを変化させます。今回の新月の期間には火星より遠い天体でサインを変えるものはありません。
今回の新月図の期間は、このような動きを意識しながら、「個人個人の感覚を生かし、価値観を洗練し、物質的な世界の中で安定した存在を確立する」という牡牛座のテーマの追求を心がけていくとよいかもしれません。これらのテーマが身近なところから経済/政治の動きなど社会的な次元までいろいろな側面でどんなふうに反映されるか注目していきましょう。