では、さっそく今回の新月図(2010.11.06.13:51JST)について考えてみましょう。新月は蠍座の14番目の度数で起きています。今月は満月も蠍座と牡牛座の間で起こります。今回からしばらくサインの相互関係を考えてみましょう。性質を考えるときにはエレメントの視点が大きなヒントになりました。しかし相互関係という「動きの特徴」を考えるときにはモードが重要になります。蠍座も牡牛座もどちらも不動のモードに属しています。不動の特徴は行動に対する反応をじっくり味わい評価し価値観を洗練していくスタイルです。地のサインの牡牛座は個人的な価値観やもともとの状態、あるべき姿を尊重しその延長に積み上げていこうとします。水のサインの蠍座は他者の感情や物事の背後で働く原理をじっくり理解しコントロールしようとします。月を器、つまり、すでに成立ている状況と考え、太陽を新しい動きをつくるエネルギーと見れば、ものごとの自然な成長を尊重しながらも必要な根本的な変化を地道に深い次元で起こそうという努力が行われていくイメージかもしれませんね(おしくらまんじゅうのような対立の平行線は建設的ではありません)。うまく反応して適材適所が実現されていくとよいですね。
新月へのアスペクト
さて、チャートの天体配置に目をやると、太陽は10/27に冥王星とアスペクトし、29には金星とアスペクトしました。リーダーシップは深い決心を持ちながらものごとに取り組み、協力関係を根本的に振り返る必要性も感じたかもしれません。ちょうど菅首相がASEAN会議に出かけている頃(中国が再度拒否など)でした。
さて、新月後、太陽は11/16に木星とトラインになり、11/18〜19には海王星や天王星とアスペクトします。ちょうど新月の頃これらの天体は水星とアスペクトし今回の新月全体のテーマを決めています。議論されていた斬新なヴィジョンや理想をこのタイミングでリーダーシップがピックアップするかもしれません。
その他のアスペクト
新月以外の天体の動きに注目すると、この新月の期間に長期的な流れの中で重要な社会天体の動きは11/7の海王星、そして11/19の木星の順行です。方向を変える前後は速度が落ちているので影響が目立ってくることが予測されます。
では、より動きの早い天体に注目してみましょう。最初に注目するのは水星の動きです。水星は新月直前から直後にかけて木星や海王星、天王星に次々とアスペクトします。このため今回の新月図の中でもっともアスペクトの多い天体になっています。今月は水星の象徴する知性や情報交換などが多くの新しい展開の元を作っていきそうです。特に水星は11/9に射手座に入りますが、するとさらに表立った情報交換が活性化するかもしれません。水星は射手座に入ったあとも11/18の土星、21の火星、25〜28には再度木星、海王星、天王星と次々とアスペクトを形成していきます。とても活発に動く様子が想像できるでしょう。
10/8から約40日間逆行していた金星は、11/19に順行に戻ります。しかし、今回の新月期間には金星はほとんど他の天体とアスペクトを形成しません。期間の最後の12/2にやっと、今月もっともアスペクトの多い水星とセクスタイルを形成します。孤独に振り返り重要性を確認してきた価値観はここでようやくコミュニケーションの次元へと引っ張り出されてくるのです。
実行部隊の火星は、11/15に土星とセクスタイルになります。保守的な勢力は主張をしやすくなるかもしれません。ルールやシステムを尊重した行動が行われそうです。11/21には火星は水星とセクスタイルになります。計画の実行や熱の入ったコミュニケーションの様子が想像できます。さらに11/29から12/3にかけて火星は水星がアスペクトしていた木星、海王星、天王星と次々とアスペクトします。この頃に斬新なヴィジョンを行動に移す人が出てくるかもしれませんね。
天体の方向転換やイングレス
太陽と月以外の惑星は、ときどき地球からの見た目の進行方向を変えます。進行方向を変える際には天体はとてもゆっくりと動き、その天体の働きが世の中のさまざまな動きの中に顕著に反映されるかもしれません。今回の新月の期間には、11/7には海王星が順行に戻り、11/19には木星も順行に戻ります。さらに、10/8から逆行をしていた金星も11/19に順行に戻ります。海王星は複数で共有する理想をイメージすることに関わります。逆行していた期間は、そのような理想のイメージ化の際にそれぞれが個人的な立場を優先しがちになりやすくなっていたかもしれませんが、順応に戻るとみんなの理想を共有しやすくなるかもしれませんね。木星は哲学やよりよい社会のヴィジョンの共有に関連します。その次元でも似たようなニュアンスの変化があるかもしれません。いずれにしろ方向転換の数日間はそれらの天体の象徴が働きやすくなります。金星は美意識やバランス感覚、協力関係などに関わります。このため金星の逆行期間には昔好きだったものや人を思い出しやすくなっていたかもしれません。順行に戻ったとき、その価値観をどう現状に生かすのかという工夫が始まるかもしれませんね。
また、天体(特にゆっくり動くもの)の運行するサインの変化も人々が注目しやすいテーマを変化させます。今回の新月の期間には火星より遠い天体でサインを変えるものはありません。
今回の新月図の期間は、このような動きを意識しながら、「ものごとの自然な成長を尊重しながらも必要な根本的な変化を地道に深い次元で起こそうという努力が行われていく」という蠍座と牡牛座のやりとりの特徴をうまく進めることを心がけていくとよいかもしれません。これらのテーマが身近なところから経済/政治の動きなど社会的な次元までいろいろな側面でどんなふうに反映されるか注目していきましょう。
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