2007年03月23日

2003.05.16 満月

ゴールデンウイークも過ぎ、だいぶ暑くなってきました。さて、ここで少し占星学で未来を考えること自体について考えてみましょう。これまで、毎月、何げなくこのメールマガジンが発行される満月にちなんで満月図を作り、その時期に世の中で起こりそうな動きについて考えてきました。そのような解釈を通してどんなものが見えてくるのでしょう。

占星学でどんなことがわかるのか

さまざまな科学的な方法と似たように、占星学でも過去のさまざまの事例を分析し、法則を見つけ、それをもとに未来を推測していきます。占星学では、これらを天体、サイン、ハウス、アスペクトなどの「象徴」という道具を使って行っています。科学的な予測と同様に、この方法で正確な予想ができるためには、過去の成り行きが未来も同じように繰り返されていかなければなりません。歴史は繰り返す、という言葉があるように、同じような条件で同じようなものごとの進み方をする側面もあります。しかし、現実には、すべては同じなのではなく、少しずつそれまでになかったような新しい工夫の要素が含まれていきます。

新しい工夫の要素というのは、たいていそれまでよりも多くの要素を意識したうえでうまく成り立つように工夫されていくようです。「多くの要素」ということを考えるとき、私たちは時間と空間の2つの異なる軸をもとに想定することができます。時間的に多くの要素を考える場合は、より長い歴史的な体験の動機に基づき長期的な計画を立てていくようになります。空間的に多くの要素を考えるときには、より広い範囲で他人や他の集団、国、民族の人々の立場を考え合わせるようになるでしょう。これらの2つの軸の方向性は、ときに互いに対立する関係になります。長期的な計画は、関わる人々の範囲が変化すると実行しにくいし、反対に、多くの人々はみな異なる歴史・文化の背景をもっているため互いに理解し合う際に困難があるのです。しかし、長い歴史の流れの中では、これらの両方の軸が相互に干渉しあい、広がったり狭まったりを繰り返しながら、少しずつ全体的に(つまり、両方の方向性とも)大きな範囲が意識されてきているように感じられます。

占星学は、一つ一つの具体的な事例というより、このような集団的な意識の変化の方向性の特徴を観察するという次元でよく表れるようです。しかし、それらの特徴を実際に具体的にどのようなできごとを通して体験していくかということ、つまり、具体的に起こるできごとは、「歴史は繰り返す」の言葉が当てはまる程度にしか予測できないでしょう。反対にそのような具体的な予測よりも、みんなで集団的な活動の方向性を意識し、問題点を解決することに役立てるほうが有効かもしれません。

牡牛と蠍の満月

では、そんなポイントを頭の片隅におきながら今回の満月図(2003.05.16.12:35)の特徴を考えてみましょう。今回はただの満月ではなく、月蝕にもなっていますね。普段より強く影響が現れるかもしれません。その満月は牡牛座と蠍座の間でできています。太陽のある牡牛座は個人個人の物質・経済的な豊かさや安全を求めます。このテーマを月のある蠍座の「定まった相手との間の信頼関係」を重視して動いている状況の中でうまく働かせようとしています。蠍座は、相手が何やるかの動機を理解していないと落ち着きません。それは、表面的な言葉や見せかけでは満足せず、実際に相手を動かしている内面の動機をつかんでいないと安心できないのです。なぜならそれにより自分が大きく変化させられてしまうからです。月が表すそんな環境条件の中で、太陽は個人個人の安全を実現しようと新しい工夫を考えています。

この大きなテーマは、満月図上の他の特徴を意識しながら追求されます。アスペクトの視点からは、大きくわけて2つのテーマが示されています。一つは、海王星と火星のコンジャンクションに木星と水星がかかわりTスクエアになっているもの。もう一つは、金星を中心に土星、天王星と形成している小三角です。

木星と海王星は、これまでのこのシリーズで何度も出てきたように現在の社会的なモラルに失望し理想的な新しいビジョンや考え方を見つけていこうとする動きに関連しています。表面的には、「何考えているのかわからない」という不安をもたらすものを目にすることが多くなるかもしれません。火星と海王星は、そんな不安や妄想、夢(海王星)に影響されて積極的な行動を実行する動きなどが考えられます。そして、水星はそれらを情報化し、会話やコミュニケーションの中に頻繁に表れるようにします。牡牛座で逆行している水星は、これらのオポジションのテーマに刺激されて個人個人が自己中心的に安全性を考えるような傾向が出るかもしれません。ある意味で、最近の通り魔事件や白装束の話題などは、この部分のテーマに関連しているのかもしれませんね。

土星と天王星のトラインは、社会構造やみんなが実際に従っている役割分担やルールをじっくり改革していくテーマに関連しますが、牡羊の金星はそれに具体的な対象や目標、焦点を与えます。牡羊座なので、「これまでになかった新しい方法を試してみよう」という目標かもしれません。

今回の満月図には、大まかにこれらのようなテーマが表示されています。では、今回もこの中から一つの天体に注目して、そのサビアンシンボルを考えてみましょう。

実際のシンボル

今回は、満月図の中でももっとも強力なテーマになっているTスクエアの頂点に位置する水星について考えてみましょう。水星は、言語化したり、論理的に考えたり、コミュニケーションをとったりする機能があります。注目の焦点に目印をつけながら動きを追いかける働きがあるのです。この水星は、ちょうど、今、逆行しています。逆行をしているときには、個人個人が全体よりも自分自身の内面に注目しているため、相互のコミュニケーションがうまく働かなくなるなどの特徴があるようです。1カ月弱続くこの時期は、未来の予定を立てるよりも、過去の反省をするとよい時期かもしれません。水星は、牡牛座にあります。牡牛座は、12サインを3つに分ける領域では、1番目の中に入り、地の星座ですので、個人個人が自分自身の特徴を具体的な実感として意識していこうとする星座です。このため、5感を使って感じることを大切にしたり、所有物や自分の才能を気にしたり、自分なりの価値観を形成したり、自分のために物質的に安全な環境を作りあげようとする特徴が表れます。また、動き方としては不動の星座に属するので、同じテーマをじっくりと何度も繰り返しながら吸収していこうとします。このような水星は、牡牛座の12番目の度数にあります。この度数のシンボルは、

TAURUS12:Window-shoppers.(ウインドウショッピングをする人々)

です。

いつものように、まずは、星座内部のどの10度ずつの領域(デーカン)に属し、その前半にあるのか、後半にあるのかということから考えてみましょう。この度数は、2番目のデーカンに属し、その中でも前半にあたります。2番目のデーカンは、牡牛座のテーマを具体的な相手や対象との関わりの中で意識し、経験していきます。前半は、その中でも自発的に積極的に働きかけてみる場面です。では、牡牛の「自分の物質的・実際的な特徴を確認し、充実させたい」という動機を具体的な相手や対象との関わりで試すことをイメージしてみましょう。例えば、自分の持ち物を大切に扱っている場面や欲しいものを手に入れてうれしい場面などが想像されるかもしれません。2番目のデーカンでは、このような具体的な場面で実際にどんな成り行きになっていくかということを、ある意味で客観的にたどっていきながら意識化していきます。

水星のある12番目の度数は、この2番目のデーカンの前半の中で、2番目の度数にあたります。2番目のステップは、テーマを環境の中で対比しながら意識する特徴があります。その度数だけでは理解しにくいので、この流れを1番目のシンボルから順に追ってみましょう。

TAURUS11:A woman sprinkling flowers.(花に水をやる女)

1番目の度数では、自分の持ち物を大切にする様子が描かれています。これは、自分の好みや価値観を具体的な対象に投影しながらそれと実際にかかわっていくことを通して「自分の価値観や自分のものだ/ずっと大切にしていたいという感覚、そして、そこからくる喜びや安心感(それが欠けたときの落胆、不安感なども)」を体験しているのでしょう。続いて、今回の水星のある、次の

TAURUS12:Window-shoppers.(ウインドウショッピングをする人々)

の度数では、周囲の環境に注意が移ります。たくさんの商品が並んでいる店の中では、自分の価値観に合う欲しいものとそうでないものが一緒に陳列されています。ウインドウショッピングでは、自分が大切にしないものと大切にするものを対比しながら意識することにより自分の価値観が明確になっていく過程を表しているのでしょう。ついでに、残りの3つの度数も考えてみましょう。

TAURUS13:A man handling baggage.(荷物を運ぶ男)

3番目のステップでは、1番目の動機と2番目の反応が繰り返し体験されていくことにより、最初の動機をいろいろなかたちで理解し、吸収していくための概念が生まれてきます。自分の価値観や特徴というのは自分独特のもので、それを自分が「持っている」ということを荷物の重さとして確認しているのでしょう。

TAURUS14:Shellfish groping and children playing.(模索している貝殻と遊んでいる子供たち)

4番目のステップは、実際的な力の働く環境の中で最初の動機をうまく利用していく技術を身につけていきます。潮干狩りは、引き潮のときに波に気をつけながら遊ぶ必要があります。気に入った貝を見つけてもそれは波に乗って隠れてしまうこともあります。この度数では、自分の欲しいものを手に入れたり価値観を確認するときに、周囲の状況の変化も大きく影響することを体験していきます。

TAURUS15:A man muffled, with a rakish silk hat.(マフラーと粋なシルクハットを身につけた男)

5番目のステップでは、4番目までの過程でできた「技術」の成果を自分のさまざまなテーマを含む全体性の中で積極的に役立てていく工夫をしていきます。この度数では、自分の独特な個性をうまく表現する持ち物を身にまとうことにより役立てていく姿が表されているのでしょう。

このような流れの中で、今回の水星は「ウインドウショッピング」のシンボルに表される自分の価値観を他と対比しながら具体的に実感していくテーマを持っていることがわかりました。つまり、このようなテーマが、理論的な思考や情報交換などの機能を司る水星の動機として働いているのです。ということは、例えば、「自分はこう考えるのだけど、あなたはどう考える?私はこちらの考え方が好きだな」などと個人個人がお互いの考え方の特徴を比較しながら、自分独特な考え方を自覚していく様子が見られるかもしれません。そして、この水星は、海王星と火星のコンジャンクションと木星の間で起こっているオポジションに対してTスクエアになっているので、白装束や通り魔事件、SARSの脅威などをTVで見ながら、みんながお互いに安全に関する自分の意見を述べあっているような光景をたくさん目撃するかもしれませんね。

(星座とサビアン・その11より)
posted by ryu at 15:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 月相2003 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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