2007年03月24日

2005.10.03 新月

すっかり秋らしくなってきました。秋は、芸術の秋、読書の秋、食欲の秋ともいわれています。ものごとを味わい堪能する機能に関係するのは金星です。そんな金星が支配する天秤座が中心になっている秋の季節は、いろいろなものごとを味わうことに適しているのでしょうね。

天秤座の新月

では、さっそく今回の新月図(2005.10.03.19:27JST)について考えてみましょう。今回の新月は月のノードの近くで起こっているので日蝕になります。日蝕は半年に一度の現象ですので、この新月図に示されていることがらは少なくとも半年の影響期間があると考えられます。新月は天秤座の11番目の度数で起きています。天秤座は、風のエレメントです。起承転結の4ステップでは「転」にあたる風のサインは、その前の地のサインで具体化したものを異なる視点や背景から考え直し、可能性を模索しようという方向性を持っています。情報を集めたり、理論や考える力を利用してものごとを行うバランスの取れたうまい方法を見つけていきます。また、動き方を示すモード視点では、天秤座は活動のサインなので、風に関連する動機を積極的に行動に移そうとする特徴を持っています。つまり、天秤座は自ら積極的に進み出て握手をし、協力してものごとを行うためのアイデアを提示するような特徴があります。新月がここにあると、リーダーシップや人々の目的や動機(太陽と月)がそのような方向性をもっているということになります。さらに、新月に関わるアスペクトにより、そのような目的を持ってどんな次元のことがらを進めていこうとしているかがわかります。

新月へのアスペクト

この新月は、ちょうど土星と海王星のオポジションに対して、土星にはセクスタイル、海王星にはトラインというかたちで関わっています。そのイメージは、太陽や月が土星と海王星という長期的で集団的な変化に関わるテーマに次々と接触し、その中にあるオポジションという矛盾状態を意識化しようとしているようです。土星と海王星のオポジションは、正確には2006年8月の終わりから2007年6月の終わりにかけて3回にわたって形成されます。このアスペクトにまつわる社会構造の変化はこの時期が中心になると思われますが、現在は、そのアスペクトへ向かう途中で、必要な変化を起こすために矛盾を意識化している段階のようです。土星は、いろいろな次元の集団や組織における長期的で安定した機能をもたらすための構造を維持する働きがあります。しかし、その構造の中に多くの人々の理想や夢がしっかり反映されていないので、それが変化させなければならない理由でしょう。それは、家族の夢かもしれませんし、会社の夢かもしれません。国の夢については、例えば最近は年金問題なども取り沙太されています。将来にわたって社会保障を受けられるように年金システムを改革していかなければなりませんが、海王星は水瓶座にあるので、個人個人の条件の違いや変化する未来にもしっかり対応できるようなシステムが求められているのかもしれませんね。また、天王星は新月と度数は近いですがメジャーアスペクトではありません。実際、天王星はほかのどの天体とも関わっていません。これは、過去に表面化した奇抜な展開や常識でないアイデアなどをどう利用していくかということを模索するかたちになるかもしれません。集団的な神経として働くマスコミが空回りしているようなイメージもあります。まとめると、リーダーシップの目標設定の過程(新月)に、このような理想を構造へ反映させる際の葛藤の認識や改革に関する模索の影響がかかわってくるでしょう。

その他のアスペクトについて

今回の新月図では、その他のアスペクトは金星と火星のオポジションを中心に構成されています。対人関係や仕事上での協力など、一対一の人間関係で摩擦や対立などが起きやすいかもしれませんね。金星と火星のオポジションはちょうど逆行の時期にも重なり動き方が興味深いので少し先まで追いかけてみましょう。まず、火星は牡牛座という金星に関係の深いサインにあり、金星は蠍座という火星に関係の深いサインにあります。これはミューチュアルレセプションといって動機(サイン)の次元でお互いを意識しているという状態です。しかし、アスペクトはオポジションなので、行われる物語は「ぶつかり合い」のイメージがあります。これはちょうど「賢者の贈り物(オーヘンリー作)」の話のようにお互い相手のことを考えて時間をかけて準備したが、いざ出会ってみれば用意した行為は無駄になってしまったというイメージに通じるかもしれません。そもそも、それぞれの天体は互いに自分が不得意な目的のために動こうとしているので、ものごとはうまく運びにくいのです。しかし、実は出会ってみればお互い相手のやっていることは自分の首尾範囲ということに気づき、「それを踏まえて協力しよう」ということになればとても大きな力を発揮する可能性もある配置です。

さて、細かい動きを追ってみると、このオポジションが正確に形成される直前に火星は逆行を開始します。そして、オポジションが起こるのは、新月よりも前なので、「ぶつかりあい」自体も直前に起こるか、あるいは、過去に起こったものが意識されるかもしれません。火星は逆行し、金星のサインに留まり続けるので、過去に実行できなかったテーマをもう一度実現(火星)しに戻る(逆行)イメージがあります。そして、行動の対象や感覚を味わうポイントを示す金星はといえば、そのまま「可能性を広げ哲学を探究する」射手座へと進みます。さらに金星は山羊座まで進みます。山羊座は火星が元気(イグザルテーション)になるサインなので、金星は改めて火星に期待します。そして、11月の中旬にトラインになります。このときは、より協力しやすい状態になっているでしょう。

火星と金星のオポジションの話にもどりましょう。このような流れで展開していく火星と金星に対して、冥王星と木星、水星は「ヨッド」と呼ばれる配置になっています。冥王星と木星水星はセクスタイルを形成しますが、それらは火星に対してマイナーアスペクトであるクインカンクスを形成しています。クインカンクスは、矛盾を意識化する働きがあります。セクスタイルの天体は協力して火星との間の矛盾を解消しようと意識し続けるイメージです。水星と木星はビジョンを実行に移す方法を考えます。冥王星が関わっているので、あるビジョンを徹底的に組織全体に浸透させようという動機が感じられます。しかし、考えているだけでなく、いざ実行する(火星)となると現実問題でさまざまな困難が浮上しそうです。実行係(火星)は、すでにしっかりした具体的な目標(金星)を意識していますが、そこに木星のビジョンを反映させるのは難しく、調整や工夫が必要なのかもしれません。ちなみに、この火星と金星のオポジションは、東京ではアセンダントとディセンダントの上に重なりますので、国民ひとりひとりあるいは組織内の個人個人のとる行動の中にこのような特徴が表れやすくなっています。

今回の新月図は、このようなテーマや動きの特徴をもちながら、天秤座の「協力しながら行う最善の方法を探す」という目標へ向かっていくのでしょう。

実際のサビアンシンボル

それでは、そんな新月のチャートの中から抽選で一つ天体を選び、そのサビアンシンボルを考えてみましょう。今回のテーマは、蠍座の25番目の度数にある金星です。金星の度数のサビアンシンボルは、

SCORPIO25:An X ray.(X線)

です。レントゲン撮影をするときに使うX線は、表に見えていないものを認識することに関連しそうなイメージですね。では、例によってサインの意味から考えていきましょう。

蠍座は、人々の間の感情の交流に注目しやすい水のエレメントです。そして、「互」の領域に入っているので、自分とは背景の異なる他人や外の環境と気持ちの交流を深めて一体化するテーマになります。ちなみに、同じ水のサインでも、「自」の領域の蟹座は自分や背景を共有する身内との感情的な交流がテーマ、「公」の領域の魚座は、特定の相手や対象ではなく、世の中全般と観念的に感情を交流させることがテーマになります。さて、今回のテーマの金星の度数はそんな蠍座の第3デーカンにあります。第3デーカンは、蠍座の「背景の異なる他人と感情的な交流をする」というテーマを概念的な次元で進めていく特徴があります。具体的な相手ではなく、集団全体を対象にしたり、意味や意義を問う姿勢になったりします。デーカンの10度のうち、前半の5度はそのデーカンのテーマを積極的に動かし働きかけますが、後半の5度は前半の働きにより動いたものの効果を実感し、確認していく過程です。つまり、蠍座21度からの第3デーカンの前半の領域は、自分とは背景の異なる特定の対象と感情を交流させることの意義を積極的に問う働きかけをしていくのです。では、一度一度の度数のシンボルを見ていきましょう。

SCORPIO21:A soldier derelict in duty.(職務放棄兵士)

領域の最初の度数は、その領域のテーマを単純に表現します。背景や動機が異なるということは文化の違いから異論が出てくるということでしょう。反抗している兵士は、組織に対して異論を伴った感情を率直に表現しているイメージです。

SCORPIO22:Hunters starting out for ducks.(アヒルに向かって進み出るハンターたち)

2番目の度数は、1番目の動きの対象や周囲の環境のほうに注意が向きます。感情に従い反抗し逃げる(兵士>アヒル)行為は周囲のハンターたちの注意を引き、集まってこさせます。こうして一つの文化の感情と別の文化の感情が向き合う機会をもちます。

SCORPIO23:A bunny metamorphoses into a fairy.(妖精に変容するウサギ)

3番目の度数は、1番目と2番目の相互作用を客観的に理解し応用力をつけていく過程です。「変容する」というのは混ざりあうことにより感情の質が変化するということでしょう。お互いに異なる文化の感情を味わうことにより、異文化の体験上の理解につながります。

SCORPIO24:Crowds coming down the mountain to listen to one man.(一人の男の話を聴くために山から降りてきた群集)

4番目の度数は、3番目で理解したものをいつでもしっかり利用できるよう技術化する過程です。異文化を体験した後、その感覚を持ち帰りみんなに広げている様子ですね。お互いの気持ちの交流へしっかり意識を向けることができれば、話を実感をもって伝えることができるようになります。

SCORPIO25:An X ray.(X線)

5番目の度数は、その領域のテーマをより大きな全体のために活かしていこうとする意志を表します。表面的な動きだけでなく、背後の動機を実感を伴って理解し伝え合う力は、ものごとを表面だけでなく目に見えないところで働く作用や動機を理解しようという意志につながっていきます。

このような流れの中、今回の新月図の金星は「X線」の度数にあります。金星は、自分の外にあるものを理解し味わい、価値観を作り、美意識として表現する機能があります。それらの機能を働かせるときに「X線」の度数の特徴が表れるので、味わう対象は目に見えないものだったり、背後で働く心理や動機だったりするでしょうし、美意識の表現のスタイルも目に見える部分より見えないところを理解する力を示すかたちになるのではないでしょうか。そのような金星に誘われて、火星は行動の焦点を定めようとしているのです。

(星座とサビアン・その39)
posted by ryu at 18:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 月相2005 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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