乙女座の日蝕
では、さっそく今回の新月図(2006.09.22.20:45JST)について考えてみましょう。新月は乙女座の30番目の度数で起きています。前回も乙女座でしたので2回連続で乙女座になります。地のエレメントに属し自互公のでは互の領域にある乙女座は「物質的な環境としっかり関り確実な結果を得ること」という地のエレメントのテーマを他人に働きかけ反応を創り出す方向で働かせようとしています。このため具体的な相手や対象に対してきちんと役に立ち有能さを発揮することが重要なテーマになっています。今回はノード軸付近で起こるので(ドラゴンテールとコンジャンクション)単なる新月ではなく日蝕になります。日蝕は約半年ごとに起こるので、通常の新月より長期的な影響があります。日蝕は新月と同様太陽(リーダー)と月(属する大衆)がいっしょに今後の活動の「見通し」をつくる機会だとイメージするとよいかもしれません。しかし、新月は1ヶ月ですが日蝕は少なくとも半年ぐらいの有功期間があります。したがって、今後半年間はみんなで乙女座の「具体的な相手や対象に対して有能さを証明したり明らかな結果を得ること」を重要なテーマにしていくとよいでしょう。
日蝕へのアスペクト
今回の新月自体に対しては、冥王星がスクエアになっています。新月はすでに冥王星とのアスペクトを過ぎてから起こっているので、過去に具体的に認識した変化の方向を現実化したり影響を実感することがテーマになるかもしれません。太陽と冥王星の組みあわせは、リーダーシップの方向性の根本的変化のイメージです。すでに刷新された指導力の方向転換について実際の効果がどんなものであるかを実感していく半年間をイメージするとよいかもしれません。ちなみに金星はこれから冥王星と正確なスクエアになっていくので、実感(金星)の大きな変化(冥王星)はこれからやってくるイメージです。これは経済状態の大きな変化も暗示しているかもしれません。冥王星は「徹底的に追求する」というイメージがありますが、太陽と組あわさると指導力を強力に働かせるか、あるいは、指導力が徹底的に無視されるかという2方向の可能性がイメージできます。このとき乙女座と射手座という2つの動機が鍵を握ります。つまり、全体を把握したビジョン(射手)と細部の実務の徹底(乙女)が組あわさればお互いに徹底的に反映する努力をしていきますが、どちらかを見失ってしまうとそれぞれはばらばらになり足を引っ張りあうことになる可能性があります。冥王星は「進化による意識の拡大が今まで考慮されていないテーマと向きあう機会をつくること」に関連します。射手座の冥王星は意識が知らない世界を知ることに向かって拡大することを示す一方、広がった世界観を統合するような哲学の欠如を感じるかもしれません。つまり、リーダーが実務を追求(乙女太陽)しようとするとき総合的な理念の欠如が障害になる(冥王星)、あるいはビジョンを強力に提示(射手冥王星)しないと細部の作業(乙女太陽)が進みにくいという状況が起こりやすいかもしれません。
その他のアスペクト
正確な土星と海王星のオポジションは過ぎましたが、このオポジションに対してTスクエアになる位置に木星がさしかかっています。土星と海王星について、例えば、「曖昧な物事をはっきりさせる」あるいは「形だけの秩序にこだわりすぎず背後の意味や心理的影響を考慮する」というテーマがあると考えれば(2つの原理の組みあわせはいろいろな表現のされ方があります)、そこに木星が参加するとそれらのテーマをみんなで考えて集団的なビジョンを形成しようとする方向が加わります。多くの人々が土星海王星のテーマに注目したり話題にしたりするかもしれませんね。単に話題にするだけでなく、多くの人々にとっての大まかな捉え方が見えてくるかもしれません。医療や福祉(海王星)に関する制度や法律(土星)を議論(木星)したり、不正(海王星)を正そう(土星)という世論(木星)が高まったり、占い(海王星)のビジネス化(土星)が流行ったり(木星)、精神世界(海王星)を実生活(土星)に取り入れる/排除するというポイントを多くの人々が話題にしたり(木星)など、具体的には様々な現れ方をするでしょう。このTスクエアのオポジションの部分に対して、水星と火星は次々と調停の位置にやってきます(水星は9/23〜25、火星は10/4〜12)。さらに太陽や金星もその位置を通過します。これは、土星と海王星の両立を工夫する動きがいろいろな次元で起こりそうなイメージです。
今回の新月図の期間は、このようなテーマを意識しながら、「具体的な相手や対象に対して有能さを証明したり明らかな結果を得ること」を心がけていくとよいかもしれません。これらのテーマが身近なところから経済/政治の動きなど社会的な次元までいろいろな側面でどんなふうに反映されるか注目していきましょう。
実際のサビアンシンボル
それでは、そんな新月のチャートの中から抽選で一つ天体を選び、そのサビアンシンボルを考えてみましょう。今回のテーマは、天秤座の16番目の度数にある水星です。この度数のサビアンシンボルは、
LIBRA16:A boat landing washed away.(流されてしまった船付き場)
です。嵐などで海が荒れた結果、安全に地上にあがれる場所が壊されてしまった様子が思い浮かびます。喧嘩して仲直りしにくくなった心象風景を描いているかのようですね。普段はあたりまえのように存在しているものがなくなるともののありがたみがとてもよくわかるかもしれません。
ではサインのテーマを簡単にテーマをまとめ、さらに内部のイメージを作ってみましょう。
今回のテーマである水星は天秤座の第2デーカンにあります。風のサインで互の領域にある天秤座は「特定の相手や具体的な対象を意識(互)しながら物事を比べ情報を集め法則を理解/利用(風)する」というテーマがあります。これをさらにまとめると「客観的な美の探求や提示、協力関係の実現」というイメージになります。そして、第2デーカンはサインの内部での自互公の互にあたるので、そんな天秤座のテーマを「自分らしい利用のしかたを創り出し具体的な相手や他人に提示し反応を得る」という構図の中で機能させようとする動機があるでしょう。デーカンの前半は、自ら働きかけることに意識が向き、後半は働きかけに対する反応を評価し、価値観/情感として吸収していく過程です。今回の度数は後半にあるので、「客観的な美の探求や提示、協力関係の実現を具体的な対象と関わりながら追求すること」の意義を相手の反応に向き合いながら理解を深めていく過程です。
この第2デーカン後半は、サインを12分割したときの7〜8番目にあたります。これらにはサインのテーマに対する相手の反応と向き合い(7)、背後の動機や感情と融合する(8)という働きがあります。これらは天秤座から数えると牡羊座や牡牛座にあたります(このようにサインの内部を12分割する方法を「ドワッド」あるいは「ドデカテモリー」と呼びます)。つまり、相手の反応と向き合うためには牡羊座の「個人の動機を主張し行動に移す」という働きを必要とし、背後の動機や感情と融合するためには牡牛座の「個人の感覚的/物質的な充実を追求する」という働きを必要とします。これらを意識しながら、1度1度見ていってみましょう。
LIBRA16:A boat landing washed away.(流されてしまった船付き場)
領域の最初の度数は、その領域のテーマを単純に表現します。相手との協調を学ぼうとする天秤座が実際に相手の影響を受ける場面です。このとき「相手」は牡羊の「行動化」というテーマにより象徴されます。力が働いた結果を目の当たりにし、肯定的にも否定的にも強い印象を受けるでしょう。そして、この体験は机上の空論でない真の協力関係を結ぶための重要な糸口になるのでしょう。
LIBRA17:A retired sea captain.(引退した船長)
2番目の度数は、1番目の動きの効果やそれにより引き起こされることがらのほうに注意が向きます。つまり、相手と自分の間で起こった現象そのものではなく、出来事の結果今までとは変化した部分や印象の変化などに注目していきます。船長は常に海の状態に反応しながら船を進めるという意味で天秤座の象徴かもしれません。引退した船長は船での出来事を地上でいろいろな角度から思い出し懐かしみます。それは、海との戦いの困難さの感覚だけでなく、その場では得体の知れなかった相手である「海」の全体像を整理する機会にもなります。
LIBRA18:Two men placed under arrest.(逮捕された2人の男)
3番目の度数は、1番目と2番目の相互作用を客観的に理解し応用力をつけていく過程です。相手との衝突とその影響の実感をいろいろなかたちで繰り返すと、どんな行為が社会的に喜ばれ、どんな行為が罰せられるのかが理解されていきます。単純に社会的正義が他人に迷惑をかけるものを制圧するということが暗示されているかもしれません。また、この度数では牡牛座の影響が働き始めますが、自分の価値観への執着や洗練もテーマになっています。協力者/パートナーと共に追求した新しい価値観は社会から受け入れられないかもしれません。しかし、ここでは逮捕されてもその価値観を重要視しつづける力があります。
LIBRA19:A gang of robbers in hiding.(隠れている泥棒集団)
4番目の度数は、3番目で理解したものをいつでもしっかり利用できるよう技術化する過程です。「逮捕」の度数で善悪判断の重要性を理解すると、社会的な悪行をしっかり見つけ捕らえる技術訓練になります。しかし、泥棒のほうは泥棒のほうで「何とか生きのびる訓練」をするかもしれません。つまり、この場合まだ広く認められていない重要な価値観を守り育てていくというテーマになるでしょう。天秤座は向かい合った両方向のテーマが相手を意識しながら発達していく特徴があります。
LIBRA20:A Jewish rabbi.(ユダヤ人のラビ)
5番目の度数は、その領域のテーマをより大きな全体のために活かしていこうとする意志を表します。いろいろな善行や悪行をしっかり判断する技術を習得すると、その能力を使って組織や社会全体に役立っていこうとする意志が加わってきます。宗教哲学にしたがって人々を指導する「ラビ」からは、身につけた自身の価値観を社会に役立てようとする意志が感じられるでしょう。
このような流れの中、今回のテーマである水星は「流された船付き場」の度数にあります。水星は、情報交換や知識技術の利用というテーマを表す天体です。コミュニケーションの話題の中に、あるいは、個々の問題対処の方法の中に独裁的な行動化の結果が反映(牡羊の影響)され、強い印象を受けるかもしれませんね。思いきって採用した何らかの企画や制度の実用/施行が始まり効果や評価の第一報が今入り始めたというようなイメージです。政治の動きでは、ちょうど新政権がスタートする時期に重なっているので、その働きの「第一印象」を人々が話題にし、変化を理解しようとしている様子が思い浮かびます。また、天秤座のこのあたりの度数は他人の実際の反応を観察し理解することがポイントになるので、「アンケート調査」や実地調査なども盛んに行われるかもしれませんね(>集計=水瓶>知識の応用=双子)。また、プロポーズや告白に対する返事の言葉やそのインパクトなどもこのテーマのイメージにそぐいやすいでしょう。応じてくれることもあれば断ることもあります。聞く瞬間はどきどきしますよね。そんな水星は次第に土星と海王星のオポジションへ近づいていくので、「返事」は何かしら「曖昧なもの(海王星)を明確(土星)にする」、あるいは、「秩序(土星)に気持ちや精神性の要素(海王星)を反映する」というテーマを意識化し方向づける機会になりそうですね。これらは様々な次元で何らかのかたちで反映されていきますので身近な環境や社会的な場面などでどんな影響が出てくるか興味深く見守りましょう。
(星座とサビアン・その51より)
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