2012年03月25日

マンデン15

□占星術のしくみとマンデン・その15

前回は、月蝕図の影響が、その後の6回の満月を通してだんだんと現実化していく様子を今年の5月5日の月蝕を例に考えました。今回は、過去の例を参考にして、このような視点の解釈が、実際にはどんな感じで働いているのかを検証してみましょう。

その前に、これまでのマンデンシリーズで考慮してきたことを大まかに振り返ります。まず、遠い天体同士のアスペクトがさまざまな社会構造の変化や進化を促し、それらに対する速い天体のアスペクトが変化のテーマを日常的、具体的な次元へもたらすことを考えました。次に、重要なアスペクトのホロスコープ(グレートコンジャンクションなど)が、そのアスペクトが特定の地域や時期的な背景に合わせ具現化する様子を、より具体的に語るということを考えました。このとき、長期的なアスペクト(例えば、グレートコンジャンクション)のテーマをより短期的(例えば、日蝕月蝕)なアスペクトのホロスコープが少しずつより日常的な次元での現状の流れの中に反映させていくというかたちでイメージ作りを進めてきていました。つまり、より遠い天体のアスペクトという変化の骨組みに対して、グレートコンジャンクションや日蝕月蝕、新月などのホロスコープは肉付けをしていくようなイメージでしょう。そのような流れで、今回は日蝕月蝕の影響が新月満月により分割されて現実化してくる様子を考えていこうと思います。

今回注目するのは、2001年1月10日に起こった月蝕です。このときは、まだ、小泉政権は生まれておらず、故小渕首相の後を継いだ森首相に対する批判が強くなってきている時期でした。そして、この月蝕から半年の期間の間に流星のように現れた小泉氏が田中真紀子さんの強い応援で自民党の総裁になり、首相の座につき、構造改革を声高に避けぶことになりました(なお、以前の記事の中で土星と冥王星のアスペクトとして近い時期を検証しているので参考にしてください)。

この流れは、この時期のトランジットの天体同士のアスペクトの流れにもよく現れています。まず、前年の2000年には、木星と土星の間でグレートコンジャンクションがあり、社会の仕組みの中に新たなテーマを持ち込もうという動機が強まっています。そして、2000年のうちに木星と冥王星がオポジションを形成し、その後、土星と冥王星のオポジションが形成されていくという流れができています。政治構造の変化が起きていた背景にはこのようなポイントも重要な影響を及ぼしていたのでしょう(冥王星の影響は、社会の動き=木星土星の中に、より多くの大衆の本音を反映させようとします)。

では、まず、2001年1月の月蝕図(2001.01.10.05:24JST)から、その後の半年の間に起こっていく可能性のあるテーマをまとめてみましょう。単純化するために、例によってアスペクト(オーブは5度)を中心に考えます。

この図の中には、ノーアスペクトになっている天体はないので、解決すべき問題として認識される焦点になるのは、木星と金星のスクエア、海王星と火星のスクエア、天王星と土星のスクエアです。どれも設定した5度のオーブぎりぎりであり、わずかに外れているものもあります。ちなみに、木星と金星のスクエアはアセンダントとMCの支配星との間でかかわっているので、政権(MC)を変更しようとする国民(AS)の積極的なアプローチがありそうです。

では、ひとつひとつのアスペクトに関連しやすいテーマを挙げてみましょう。

木星と金星:考え方や哲学の評価。ビジョンや理想像を理解しやすく説明、魅力を持たせる。女性の間での流行の変化。どんなビジョンや考え方が物質的豊かさにつながるかを評価。
火星と海王星:夢や理想を行動化。雰囲気や大衆の空気を意識した行動や主張。うわさや誘惑に反応しやすい。
天王星と土星:秩序や管理構造を大衆の意見の実情に合わせて変化させる。改革をしっかり行おうとする葛藤。秩序がうまく働いていない部分の露呈が改革意識を強める。

これらのテーマが6カ月の間に具体化しやすくなっているわけです。この6カ月間に起こったことがらを整理して考えてみましょう。この時期には、再編された新省庁がスタートし、えひめ丸事故の対応時の問題から森首相が退陣することになり、その後の総裁選で小泉首相が選ばれ、小泉内閣が誕生しました。これらの6カ月に起こったことがらを先ほどのアスペクトに対応させながら考えてみましょう。解釈については、事後だからこそ具体的に限定できる部分もあります。

木星と金星:考え方や哲学の評価。ビジョンや理想像を理解しやすく説明、魅力を持たせる。女性の間での流行の変化。どんなビジョンや考え方が物質的豊かさにつながるかを評価。

総裁選での小泉人気は田中真紀子さんの強力な応援や女性の評価が強力な流れを作ったと考えられます。遠い天体のアスペクトとして木星と冥王星、土星と冥王星のオポジションが次々とやってくる時期で政治や社会構造の変化のタイミングが来ていましたが、その流れが女性の支持によりサポートされていった成り行きに関してはこの時期の月蝕の木星金星による「色付け」が濃く現れたのでしょう。ちなみに、月蝕の太陽は小泉首相の太陽のそばにあり、他にも水星の位置など関連する配置が多く見られます。また、金星と木星は生活やさまざまな活動の実感(金星)を社会的なビジョン(木星)に反映させていくという動きが現れやすくなります。経済政策を振り返ったり、協力関係や取り決めを行うための見通しを作る動きにも関連します。スクエアになっているので、それらの問題の進み方に現状からの大きな変化や対立の認識などを体験する可能性があります。京都議定書からのアメリカの離脱はそんな側面にも関わるかもしれません。

火星と海王星:夢や理想を行動化。雰囲気や大衆の空気を意識した行動や主張。うわさや誘惑に反応しやすい。

これらの解釈は、さらに、うっかりした的外れな行動が批判を招く。不正の摘発や逮捕、不信の指摘、自己犠牲的な行動、海や原油に関する事故などと発展させることができるでしょう。さて、森前首相が退陣するきっかけになったのは、えひめ丸の事故とその対応の不手際です。これは、水の事故という視点とうっかりさがつっこまれるという両方の視点で火星と海王星に関連すると考えられます。また、この時期外務省の不祥事が相次いで発覚していきましたが、不祥事(海王星)に対する追及(火星)と考えればそれらもこのアスペクトに関連しそうです。

天王星と土星:秩序や管理構造を大衆の意見の実情に合わせて変化させる。改革をしっかり行おうとする葛藤。秩序がうまく働いていない部分の露呈が改革意識を強める。

秩序改革の突破口を見つける意味では、支持率の落ちていた森前首相の適切でない資質が露呈したことにも関連するのではないでしょうか。また、外務省など改革へつながる不祥事の露呈にも関わっていそうです。また、再編された新省庁のスタートも新しい構造(天王星)がこれまで行っていた機能(土星)をうまく引き継いでいかなければならないという点でこのアスペクトに関連が深いかもしれません。

では、前回の分析のように期間別に分け、それぞれのテーマの変遷の過程を考えてみましょう。関連する図とその特徴を一緒に挙げました。

1.もとの蝕図。全体のテーマの提示。
  >2001.01.10.05:24.JST:木星□金星、海王星□火星、天王星□土星。太陽には天王星が30度他。

この時期には、再編新省庁のスタート、筋弛緩剤事件、KSDでの議員逮捕などが起こっています。また、JR新大久保駅で転落した人を助けようとして列車にひかれる事件もありました。火星と海王星の組み合わせが強く感じられそうです。

2.具体的な対象や効果、問題点を意識。
  >2001.02.08.16:11.JST:太陽天王星土星月火星によるグランドクロス。海王星はディセンダント上で木星金星と小三角。

えひめ丸の事故が起こり、森首相の資質が問われることになりました。森首相の退陣の過程を考えるとこれが2番目の「問題点を意識」に関係するように思われます。また、この時期には田中長野県知事による「脱ダム宣言」やシーガイアの経営破綻などもありました。

3.対策の検討、具体的な状況の理解と戦略の試み。
  >2001.03.10.02:23.JST:太陽月に対して冥王星がスクエア。土星天王星のスクエアには水星が関与。

この時期には不信任決議案が否決された後、森首相は退陣を表明。4月に総裁選を行うことになりました。日経平均株価は16年ぶりに1万2000円を割り、日銀は事実上のゼロ金利を復活させました。太陽に冥王星が関わっているので水面下や深い動機に関する大きな変化という「色付け」で現れやすいところがあったのでしょう。

4.対策の効果を体験、反省。
  >2001.04.08.12:21.JST:土星□天王星。太陽には火星がトライン。海王星がディセンダントにあり、木星水星金星と小三角。

自民党総裁選があり、小泉首相が圧勝。この総裁選は「対策の効果を体験」したことになっているのだろうか。太陽には火星がトラインになっており、新たな積極的な動機をスムーズに行動化しやすい配置になっており、また、木星金星は海王星と共にディセンダントーアセンダントへ強く影響を与えていました。

5.体験をもとにテーマの意義を創出。全体へ循環させようとする。
  >2001.05.07.22:52.JST:木星冥王星のオポジション。太陽と月へは30度系でアスペクト。水星◎土星

この時期は、小泉内閣が発足し、具体的な方針や動きを打ち出していく時期に重なりました。所信表明やさまざまな改革の方針を明確にしていきました。また、雅子さまのご懐妊の正式な発表もありました。マイラインが始まり(これをきっかけに、土星の双子座入りに合わせITバブル崩壊へつながる流れが進んだ)、核燃料再利用のプルサーマルは市民の反対にあいました。水星と土星は公式発表のようなイメージがあります。

6.個人個人の実感。次の活動テーマの準備。
  >2001.06.06.10:39.JST:火星●水星木星、月◎冥王星

池田児童殺傷事件(火星と水星のオポジションに関連?また、月蝕の火星海王星にも関連か?)が起こり、子どもの安全ということににわかに関心が向きました。また、相次いで大学の入試ミスが判明。都議選では小泉効果で自民が優勢になりました。

こうして見てみると、細かいできごとに関しては、そのときそのときの配置の特徴がそのまま現れる部分もありますが、流れのあるものに関しては多少1〜6ステップの意味に合わせて展開している部分もあるように感じられました。このように、それぞれのホロスコープは、大きな流れのあるできごとや単発のことがらを全体的な模様の中で考えられるような視点を提供します。もちろん、他のマンデンでの視点と同様、この視点だけですべてがクリアーに見渡せるわけではありませんが、この方法でも影響力の具現化の一端をイメージしていくことができそうです。

この記事に関する質問や意見は遠慮なくお寄せください。占星術の個人レッスン、占星術を洋書で学びたいという方もぜひご相談ください。詳しいことは ryuz@rr.iij4u.or.jp へメールをいただければ幸いです。
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マンデン14

□占星術のしくみとマンデン・その14

前回は、日蝕や月蝕について考えてみました。日蝕や月蝕は、太陽と月のサイクルの中でもそれらの軌道の交点であるノードの付近で起こる特別な場合であるというお話をしました。そして、その頻度は約半年ごとに起こり、ノードとの近さ(あるいは実際に蝕の起こっている長さ)を影響力の強さと関連させて考えれば半年から数年の期間影響すると考えることができるということでした。

ばらばらなそれぞれの図のテーマを関連させて考える

マンデンでは、さまざまなチャートをもとに考えを進めていきます。しかし、たくさんのチャートを同時に考えるとき、それらの相互の関連性や役割分担を考えておかなければ、次々と出てくる矛盾する解釈を整理することができません。この記事では、占星術の理論をもとにそれらの相互の関連性を整理しながら複合的に解釈していく方法を研究しています。なお、ここで話題にしているものは唯一最善の方法の紹介ではなく、いろいろな方法を試しながらみなさんとともに模索していこうという趣旨ですのであらかじめご了承ください。

蝕の影響力を分割する新月・満月

前回説明したように蝕の影響力はその規模により期間が変化するという考え方がありますが、日蝕や月蝕はその規模を考えなければ半年ごとに起こっています。そこで、この記事ではとても簡略化し、半年ごとの蝕の影響力を新月・満月の一カ月ごとのサイクルが分割しながら影響力を発揮していくという構図を考えてみましょう。いろいろな考え方があると思いますが、ここでは、前回、2004年5月5日の月蝕図を解釈したので、その影響力がその後の一連の満月図により、分割されて具現化されていく様子をイメージしてみましょう。

蝕図と新月・満月の関係

ちょうど、日蝕、月蝕がグレートコンジャンクションのテーマを分割しながら現実化していくとイメージしたように、新月や満月は日蝕・月蝕図のテーマを分割しながら影響力を広げていくと考えることができます。新月や満月は約30日ごとに起こるので、蝕図に対して太陽と月が約30度ごとのアスペクトをたどって進んでいくようなかたちになります。蝕図を1と数えたとき、それぞれの新月・満月図は、2(セミセクスタイル)、3(セクスタイル)、4(スクエア)、5(トライン)、6(クインカンクス)、次の日蝕という具合に進んでいきます。このように考えると、それぞれの新月・満月図が始めの蝕図に対してどんな役割になっているかを想定することができます。単純に数字の意味で考えていってみましょう(対応するアスペクトの意味も含めます)。単なる数字の意味だけでなく6ステップのサイクルとして解釈しています。

1.もとの蝕図。全体のテーマの提示。
2.具体的な対象や効果、問題点を意識。
3.対策の検討、具体的な状況の理解と戦略の試み。
4.対策の効果を体験、反省。
5.体験をもとにテーマの意義を創出。全体へ循環させようとする。
6.個人個人の実感。次の活動テーマの準備。

奇数は働きかけ、偶数は反応に注目が向きます。ちなみに、木星と土星は昨年11月から今年の8月にかけてセクスタイルを形成していますので、2000年のグレートコンジャンクションに関しては3番目の展開が起こりつつある時期になってきています。では、5/5の月蝕図に対するそれぞれの満月図を上のステップに対応させてみましょう。

1.もとの蝕図。全体のテーマの提示。
  >2004.05.05.05:33.JST

2.具体的な対象や効果、問題点を意識。
  >2004.06.03.13:19.JST

3.対策の検討、具体的な状況の理解と戦略の試み。
  >2004.07.02.20:08.JST

4.対策の効果を体験、反省。
  >2004.08.01.03:05.JST

5.体験をもとにテーマの意義を創出。全体へ循環させようとする。
  >2004.08.30.11:22.JST

6.個人個人の実感。次の活動テーマの準備。
  >2004.09.28.22:09.JST

サビアンの考え方に慣れている方は、サインを6ステップで体験していく過程になぞらえると理解しやすいかもしれません。この記事を書いている時点では、まだ、2番目までしか進んでいないですが、大まかに解釈しながらポイントを予測していきましょう。

まずは、月蝕図により期間全体に通じるテーマを振り返ってみましょう。例によって、アスペクト別に抜き出し、簡単な解釈としてまとめます。

1.もとの蝕図。全体のテーマの提示。
  >2004.05.05.05:33.JST

アスペクト別の要点

a).太陽月海王星のTスクエア:リーダーシップやものごとの進め方に不安、新たな理想を探す。

b).木星天王星のオポジション(+土星):改革案の思いつき。新たなプロジェクト。土星の影響により、具体化へと努力が進む。

c).火星金星と冥王星のオポジション(+水星):複雑な問題や深い葛藤を解決するための行動。水星の知性や言葉、マスコミなどの関与がそれを促進。

これらが複合化した影響が満月の6ステップを踏みながら社会へ浸透していくと考えられます。実際には、5月〜6月の期間にこれらのテーマが「問題提起」のようなかたちで現れてきているはずです。では、この期間に実際にあったことがらと照らし合わせてみましょう。新聞のニュースを振り返りながら主なできごとをまとめてみます。影響は複合化しているので、みなさんも象徴からイメージを作ってみてください。

い).年金未納問題

年金のポスターに起用された江角マキコさんの未納問題から政治家のリーダーシップ問題へと発展。これは、a).のポイントに関して大きく影響しているように思われる。この問題は、この半年の間にリーダーシップに関して「新たな理想」を取り入れられるような変化を促すのではないか。6ステップの変化をたどってみるのは興味深い。

ろ).UFJや三菱自動車の「隠蔽」問題化。これも、a)に関連しそうな印象が強い。しかし、内部の複雑な体制も問題であることやUFJの場合金融関係であることがc).をもイメージさせる。

は).4月に起きたイラクでの人質事件に関してはさまざまな議論が交わされている。これは、c).の複雑な問題に関連しそうだが、a).のリーダーシップに関する動きにも関連するかもしれない。

に).この時期には表面化していないが、次の時期に若い女性を巻き込む事件が多発。c).に関連すると考えられる。

2.具体的な対象や効果、問題点を意識。
  >2004.06.03.13:19.JST

アスペクト別の要点

a).太陽月は木星天王星とスクエア(+土星火星/海王星):リーダーシップや注目の焦点は、発案とその秩序化(土星火星)へ。

b).冥王星と金星のオポジション:複雑な問題を取り上げる。心理的な葛藤に注目。

c).水星のノーアスペクト:考えや情報収集の欲求が強まるが手ごたえが少なく暴走しがち。(水星が恒星アルゴルとコンジャンクション)

最初に挙げたポイントに関して6月〜7月の期間にどう発展してきているかという視点で考えてみましょう。ポイントによっては、このころ初めて表面化してくるものもあるようです。それぞれのテーマに関して具体的な動きや目標認識が起こっているようです。なお、この時期には海王星と土星のクインカンクスが正確に形成され、社会秩序に対する不安が強く感じられる要素があります。

い).に関しては、年金法案の強行採決から参議院選挙へという具体的な動きがあった。突然のあっと驚かせる強行採決は木星天王星のニュアンスが感じられる。

ろ).に関しては、三菱自動車の欠陥に関連する事故が相次いで発生、発覚しているようだ。このような結果を防ぐためにどんなやり方をしなければならないかということが問題の焦点だろう。

は).イラクでの襲撃事件の多発、自衛隊の多国籍軍参加決定など。やはり、何を問題視しなければならないか、何が安全を脅かしているのかということに注目が向く。

に).に関しては、佐世保の小6女児事件など、事件が相次いでいる。ネットでのコミュニケーションの難しさは、冥王星とオポジションで逆行している双子の金星に関係が深いかもしれない。

3.対策の検討、具体的な状況の理解と戦略の試み。
  >2004.07.02.20:08.JST

この先は、満月図の特徴からそれぞれの成り行きを予測することになります。すでにいくつか変化のタイミングが見えているものがありますが、満月のチャートから成り行きを考えてみましょう。

アスペクト別の特徴

太陽と月は木星と天王星のオポジションに対して調和(金星がスクエア):改革のアイデア発案が注目の的に。これまでに表面化した複雑な問題(冥王星とのオポジションを通過した金星)に関して多くのオープンな議論(木星天王星)が交わされそう。なお、火星はこの金星とセクスタイル、アスペクトの関係が複雑なのでいろいろな方向性が混ざりそうだがこのあたりのテーマがもっとも行動化されやすそう。

土星や木星と海王星のクインカンクス(土星は冥王星ともクインカンクスへ):社会的な秩序やモラルに関する不安。

水星のノーアスペクト:考えや情報収集の欲求が強まるが手ごたえが少なく暴走しがち。

これらが混ざり合い、それぞれの物語の中で具体化されていきます。水星のノーアスペクトは、マスコミでの議論がさまざまな方向へ向き、焦点は絞れないが問題のいろいろな側面が意識されてくる様子がイメージできます。これが東京ではディセンダント付近にあるのでさまざまな行動の動機につながるかもしれませんね。

い).に関しては、7/11に参議院選挙が行われる。木星天王星が注目されているので(満月へのアスペクト)改革への斬新なアイデアが歓迎されそうだが、金星がTスクエアの焦点なので表面的なものになりがちなことが懸念される。

ろ).の三菱自動車などの隠蔽問題について、3番目は改善や対策を打ち出すので何らかの処置が行われそう。

は).に関しては、イラクの主権がイラクに戻される動きがある。主権=太陽と考えると、月蝕の海王星とのTスクエアの「リーダーシップに新たな理想を反映させる」というテーマは重要に思われる。このステップでは、そのテーマの方法論として主権委譲が行われると考えてもよいかもしれない。

に).については、この期間の注目のテーマに冥王星とのオポジションを通過した金星が30度系の「考える角度」で関わっている。複雑な問題はさまざまな方向から考えられそう。考えるといえば、ノーアスペクトの水星は蟹座の後ろのほうにあり、社会的な安全がテーマになっている。

4.対策の効果を体験、反省。
  >2004.08.01.03:05.JST

この時期には、講じた対策の効果を実感したり、以前の体験と比較して反省したりすると考えられます。昨年から正確なアスペクトに向けて迫ってきていた木星と冥王星のスクエアが形成されるのも注目が向きます。まず、アスペクトを整理してみましょう。

アスペクト別の特徴

太陽と月は海王星へ接近:月蝕のテーマを体験として確認していく時期になりそう。大衆の理想がリーダーシップに反映されたかどうかを認識させるできごとが起こる可能性。

木星冥王星のスクエア(金星のオポジション通過後):社会的な考え方のトレンドが変化するきっかけになるできごとがありそう。

水星天王星のオポジション:情報により突然状況が明らかになったり、人々が求めているものが見えてくる可能性。市民の情報ネットワークの活性化など。

い).に関しては、太陽は月蝕のテーマであった海王星とのオポジションを通過する。リーダーシップは多くの人々の理想と正面から向き合うことになる。理想を追求できていればカリスマ的な支持が得られるかもしれないが、そうでなければ大きな幻滅を招く可能性もある。

ろ).隠蔽問題に関しては、海王星の影響も考えられる。この時期、太陽とオポジションになることにより、社会的信頼の失墜と向き合うようなできごとがあるかもしれない。

は).主権委譲が行われてから約1カ月後になるはずだが、このとき月蝕の海王星とのTスクエアから90度進み、太陽が海王星とオポジションの位置に来る。リーダーシップが混沌とした状況と向き合うイメージだが、市民の理想を強く意識するタイミングになる可能性もある。

に).に関しては、複雑な心理に関連する冥王星に関連が深いと考えられるが、この時期冥王星は土星とクインカンクスを形成、社会秩序を考え直すきっかけになるかもしれない。また、木星も冥王星とスクエアになり、その後、土星とセクスタイルを形成する。複雑な心理の問題をどう社会秩序に反映するかというポイントが注目される。金星は逆行を終えた後、再度、冥王星とオポジション、そして、先に冥王星とトラインを組んでいた火星に追いつきセクスタイルになる。難しい動機に基づいた行動とそれに対する理解がイメージされる。

5.体験をもとにテーマの意義を創出。全体へ循環させようとする。
  >2004.08.30.11:22.JST

6.個人個人の実感。次の活動テーマの準備。
  >2004.09.28.22:09.JST

これらに関しては、時期がだいぶ先なので、これからとるべき行動の判断材料にするならともかく、あまり具体的なかたちで予測しても意味がありません。しかし、5番目のステップでは乙女座への天体の集中があり、6番目のステップでは天秤座への天体の集中があることは注目の対象かもしれません。予測にしてしまうと、結論を確かめるのに時間がかかってしまう欠点があります。次回は、同様な方法ですでに体験している過去の時期について検証してみましょう。

この記事に関する質問や意見は遠慮なくお寄せください。占星術の個人レッスン、占星術を洋書で学びたいという方もぜひご相談ください。詳しいことは ryuz@rr.iij4u.or.jp へメールをいただければ幸いです。
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マンデン13

□占星術のしくみとマンデン・その13

前回まで数回にわたりグレートコンジャンクションのチャート解釈について考えてきました。今回からしばらくの間は、太陽と月に関連するチャートを考えていきましょう。

本題に入る前に、前回の記事に関してお詫びと訂正があります。前回は1940年、61年、81年に起こったチャートをいくつかの段階に分けながら解釈していきましたが、その始めのほうで1940年のチャートの月をノーアスペクトとして解釈している部分がありましたが、これは間違いで、月は太陽とセクスタイルになっています。お詫びして訂正させていただきます。

チャートの種類と役割分担

さて、今回からは太陽と月に関連するチャートを考えていきますが、最初に考えるのは日蝕/月蝕図についてです。しかし、その前に土星と木星の「グレートコンジャンクション」の図と太陽と月に関する図の関連性について考えてみましょう。

占星術は、すべて象徴の言葉で成り立っています。これらのマンデン関連のチャートの働き方に関しても、同様に象徴から考察しておきましょう。まず、グレートコンジャンクションは目に見える惑星のうちもっとも太陽から遠いほうの2つが一緒に重なる現象です。つまり、これらを「光の到達点」、あるいは、みんなで目標にすべき問題と考えてもよいかもしれません。それに対して、太陽と月は「大きな光の源」と考えることができます。グレートコンジャンクションのほうは20年に一度の周期ですが、太陽と月は1カ月、あるいは、日蝕や月蝕は半年ごとの周期になっており、同じ目標(グレートコンジャンクションのテーマ)に対してさまざまな方向からアプローチして照らし出そうとしている様子がイメージできるでしょう。このように、それぞれのチャートに関して、単に起こりそうなできごとを考えるだけでなく、同時に働いているそれぞれのチャートの要素がどのように相互関連していくのかということをイメージしていくことも社会の変化の本質をとらえるためには重要でしょう。

太陽と月の関係のチャートが、ある視点ではグレートコンジャンクションの長期的なテーマに光をあて、動かすエネルギーになるということがわかりました。また、そのエネルギーは20年のグレートコンジャンクションの期間内に約40回(日蝕や月蝕の場合)に分けて供給されることもわかりました。このような相互関連全体が社会の流れに反映されていることをしっかり把握しておくとよさそうです。

太陽と月に関連するチャート

では、太陽と月の関係を考えてみましょう。太陽と月は約一カ月ごとに新月から満月になり、再び新月に戻ってくるサイクルを繰り返しています。そのうちゆっくり進むほうの太陽は一年かけて黄道上のすべてのサインを一周してきます。太陽と月はそれぞれ少し異なる軌道で回っており、これらの軌道の交差するポイントはノードと呼ばれます。太陽は一年のうち2回このノードを通過しますが、ちょうどその頃に起きる新月や満月は日蝕や月蝕になります。つまり、日蝕や月蝕は皆既蝕、部分蝕など規模はさまざまですが半年ごとに起こることになります。

これらのサイクルの「影響範囲」を考えるとき、それが起こったときから次に同様なできごとが起こるまでと考える方法があります。新月や満月は太陽と月の2つが0度や180度に来るときなので毎回ほとんど同様ですが、日蝕や月蝕は太陽と月に加え、ノードの位置も関わってくるので、毎回状況が異なります。例えば、新月や満月が起こっており、それにノードが12度という広いオーブで関わっているときがあります。しかし、別な機会では3度という狭いオーブで関わっているときもあるのです。ノードのオーブが近いほど日蝕や月蝕は正確に起こり、蝕が起きている時間も長くなります。このため、ときどき日蝕や月蝕が数年に一度という正確さで起こると影響は長く続くことになります(日蝕や月蝕の影響期間はそれが起こっている時間に比例するという考え方もあります)。

日蝕と月蝕の違い

日蝕と月蝕は、新月と満月がノードの位置で起きた現象だと説明しました。そして、日蝕は新月、月蝕は満月に対応しています。つまり、日蝕のときには太陽と月はちょうど同じサインの同じ度数にあることになり、月蝕では太陽と月は180度反対側にきています。太陽をこれから地球上に何らかの新たな活動を生み出していこうとするエネルギーと考え、月をこれまでの生活や文化を守り、維持しようとする動機だと考えれば、日蝕では、既存の文化に対して心の中で芽生える動機や可能性としての新しい展開の種が与えられる機会になり、月蝕では現状の生活や文化の具体的な側面の中に改善や工夫のポイントを見つけるような働きになりそうです。つまり、日蝕では人々の動機の次元に大きな影響が起こりやすく、月蝕では具体的なものごとの成り行きの中に影響が表れやすいと考えることができます。

チャートの解釈

さて、これから数回にわたって日蝕および月蝕図を考えていきますが、まず、ほかとの関連などを考えずに前回のグレートコンジャンクションのときのような方法(重要なアスペクトを抜き出し、サインやハウスにより色付けをしていく)でチャートのテーマを見てみましょう。もっとも最近起こった月蝕である5/5のチャート(2004.05.05.05:33JST東京)を題材に使います。有効期間はとりあえず半年と考えてください。

まず、ものごとの変化の機会を示すアスペクトのテーマを整理してみましょう。とくに、コンジャンクション、オポジション、スクエアでオーブの鋭いものを注目してみます。第一に挙げられるのが、太陽と月のオポジションに対する海王星のスクエアです。次に冥王星と金星のオポジション、天王星と木星のオポジション、火星と金星のコンジャンクションなどが挙げられます。このチャートでは、オーブ5度の範囲でノーアスペクトになる天体はありません。この半年間の中ではこれらの天体に関わる次元の変化が重要になりそうです。

太陽と月のサインの組み合わせの視点からこれらのアスペクトのテーマを考えてみましょう。太陽は牡牛座、月は蠍座です。月を生活者や文化が注目しているもの、太陽を新たな工夫をもたらす光として考えると、生活者は必死で自分にないものを理解し取り入れ変容しようとがんばっています(蠍の月)が、その欲求を解決していく工夫のポイントとして太陽は自然な存在であることや自分自身が今もっているものを堪能することを示しています。例えば、他人との信頼関係の場面を考えてみると、信頼はお互いが共に作り出すものであるので、相手を信頼したい(蠍)ときには自分が安定した活動ができ信頼される(牡牛)ことが重要だということなのかもしれません。牡牛と蠍の間では、このように、自分の価値観と他人の価値観をお互いにしっかり理解し、信頼を作り、安定した存在になっていくテーマがあります。太陽と月がこれらのサインにはいっているということは、主要な関心ごとにこのようなテーマがあるということを示すのでしょう。

さて、今回の月蝕では、この太陽と月に対して海王星がスクエアになっています。信頼を作ろうとする目標の中に曖昧なもの、目に見えにくいもの、理想や幻想などが影響を与えやすくなっているかもしれません。「目標」の中ということは、リーダーシップが進めている方向性やそれに対する信頼に関する不安がでてきたり、理想や期待が広がるかもしれませんね。何にしろ、ちょっとしたことで印象ががらっと変わりやすい側面もあるでしょう。それが経済的な部分(牡牛)やそれを通した信頼関係(蠍)、つまり、金融や保険、年金などに関する分野で起こりがちかもしれません。

そんなリーダーシップが考慮すべき「課題」は、光の到達先である蟹座の土星により表示されています。この土星は木星と天王星のオポジションに関わっています。木星も天王星も新しい可能性を積極的に広げようとする傾向があります。いろいろな新たなプロジェクトをスタートさせる話が起こるかもしれません(実際は2003年8月後半にもこのオポジションは起こっていますのでそのときの話が進展するかもしれません)。これに対する土星の関わりは、単なる発案だけでなく実際化への努力も強く伴うものになりそうだと考えられます。もちろん、非現実的なものは排除され、現実的なものが採用されるという表れ方をするかもしれませんね。「現実的なものの選択」というテーマは、牡牛座の太陽にも共通しています。しかし、太陽は理想や幻想に紛らわされやすい状態になっているので注意が必要です。土星が「みんなで行っていかなければならない課題」を表すとすれば、それは生活を安定させるような新しいプロジェクト(蟹や乙女・木星天王星など)でしょう。それには、枠を越えた普遍的な心理の理解(魚座の天王星)がカギになるかもしれません。

これらと同時に金星と冥王星のオポジションもできています。金星や火星は、他の天体の機能により形成された動機を具体的な対象に向かい行動化する次元に関わります。太陽や土星が「重役会議」だとすれば、金星や火星は「現場担当」です。内面にある動機をひとつひとつの具体的な環境や場面の中で実現していく側面に関わっています。この金星と火星は冥王星とオポジションになっています(とくに金星は強くオポジションになっています)。金星と冥王星は、このチャートの太陽と月のサインである牡牛座と蠍座のそれぞれの支配星になっています。このため、牡牛と蠍の金銭/物質的な信頼関係の確立の問題に関して、その原因の根本まで追求したいという意識が感じられます。行動化の次元の金星が関わっているので、ひとつひとつの行為の中で深く感じながら確かめていくのかもしれません。金星は、行動の対象を選ぶための価値観に関わったり、他人や外部の環境を評価したり味わったり、相手とのバランスをとりながら協力関係を進めていくことなどに関わります。冥王星とアスペクトしているので、相手の複雑で深い動機を意識したり、徹底的に関わる姿勢をもっていたりするかもしれません。そうした関わりの中で重要な信頼関係が意識されていくのかもしれませんね。

さて、これらのアスペクトの動機や効果は、ハウスを通して、現実のいろいろな側面に表れてきます。このとき、どんなふうに現実化するかということを次の3つの方法により解釈するとよいでしょう。

1.ナチュラルハウスの効果:これは、サインに直接対応している関係性を通して表れるというものです。あるいは、それぞれの天体がものごとに直接対応していると考えるナチュラルルーラーと考えてもよいかもしれません。これらは上のようなサインと天体の解釈を深めるとそのままでてくる解釈です。

2.注目する天体が入っているハウスを考慮:これは、天体の働きがどの場所で感じられやすいかということを示しています。無自覚に追求されているアスペクトのテーマは、これらのハウスで表面化し、意識化される可能性があります。それらは、その後、アスペクトの体験の後に双方の天体が支配するハウスのテーマの変遷につながっていきます。

3.注目する天体が支配しているハウスを考慮:意識的に追求されているハウスのテーマは、支配星の活動により活発に遂行されていきます。すると、別の天体の支配する別のハウスのテーマと葛藤になる可能性があります。こうして、支配ハウスのテーマの間での対立や葛藤(アスペクトによっては協力や援助なども)という側面の解釈ができます。

上のような視点を織り混ぜながらハウスの解釈を進めていきましょう。

アセンダントは、牡牛28度になっています。上のようなさまざまなテーマは、まず、個人個人が自分の豊かさを求めようとする行動(牡牛)をきっかけに起こりそうです。この支配星の金星はやはり1ハウスにあり、火星とコンジャンクション、冥王星とオポジションになっています。1ー7ハウスの間での活動、つまり、目の前の環境での自分のやりたいことの追求と他人の動機に合わせることのバランスをとっていく次元の活動が強い焦点になり、それがきっかけでさまざまなテーマに発展していきそうです。金星は冥王星から離れ、火星に近づいていっているので、個人のやりたいことの追求は、初めは複雑なものを避けて簡単に動けるものを追求しようとします。しかし、その後、金星は逆行を始め、冥王星との正確なオポジションを通過していきます。このため、次第に複雑で根本にあるテーマを考慮せざるを得ないことに改めて気がつき、それをとくに関わる相手や取り組む対象の深い理解への努力(オポジション)を通して体験していくことになるかもしれません。

太陽は12ハウスにあり、4ハウスを支配しています。「新たな工夫」の焦点は、隠れた場所、あるいは、ひとりひとりの心の中(12ハウス)で働き、うまく機能すれば仲間や同士の心のつながり(4ハウス)を強めていく効果があるでしょう。しかし、海王星とスクエアになっているので不安や幻滅、あるいは、実体のない期待などに惑わされないように注意が必要です。一方、生活や文化の維持を表す月は、日々のリズムを実現している6ハウスにあり、3ハウスの具体的な情報や知識を支配しています。太陽と月は、どちらも、存在の基礎をしっかり把握しようとしているようです。これらにスクエアでアスペクトする海王星は10ハウスにあり、11ハウスを支配しています(ちなみに10ハウスの支配星の天王星とミューチュアルレセプション)。これらのハウスは、集団で構築していく具体的な目標を意識することに関わります。あるいは、社会的秩序に従い/従わせようとする機能です。ここに海王星が関わり社会的秩序への不信が存在の基礎の探究に動機を向けるかもしれません。

木星と天王星のオポジションは、新しい企画をスタートさせるようなイメージがありますが、これはどんな風に影響が表れるでしょうか。5ハウスと11ハウスの間で起こっているので、例えば、レジャーや楽しみの場面やステージや発表会などの創造的表現(5)とその評価(11)などに関わるかもしれません。あるいは、子育てや個人的な人生の工夫(5)に関する批評のしあい(11)という場面から何らかの企画の動きが現れてくるかもしれません。この企画については、8ハウスや10ハウスに関連していきますので、信頼関係の問題や金融、保険などのテーマやそれらに関する政策、秩序化などに関するものであるかもしれません。この表示は、他の要素と組み合わさり、信頼関係や共有の金銭に関することで指導力が問われたり、責任問題に発展しやすい最近の傾向を反映しているかもしれません(木星と天王星なので進退に対する決断の素早さとしても現れているような気がします)。

ひとつの図からいろいろ想像が膨らんでいきます。それらの動きは一コマ一コマばらばらに動いているように見えますが、全体を通してより大きなサイクルの細部を具現化していたりします。次回は、グレートコンジャンクションのチャートを考慮に入れながら、日蝕や月蝕のチャートを考慮していきます。

この記事に関する質問や意見は遠慮なくお寄せください。占星術の個人レッスン、占星術を洋書で学びたいという方もぜひご相談ください。詳しいことは ryuz@rr.iij4u.or.jp へメールをいただければ幸いです。

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マンデン12

□占星術のしくみとマンデン・その12

前回はグレートコンジャンクションのチャートで、ハウスを考慮することによりいろいろな要素が具体的に働く場面を推測できることについて考えていきました。今回は、ある手順にのっとり天体のアスペクト、サイン、ハウスを順番にまとめていきながら時代ごとのチャート間の特徴の違いがどう現れているかを考えてみましょう。

チャートを解釈していくときに、全体的な働きの構造やバランスを考えていくことはとても重要です。それをしっかり把握していないと、小さな象徴を拡大解釈し、さまざまな結論を出すことができてしまいます。マンデンの場合、特に長期的なもののときには、ある特定の時期にチャートの些細な特徴が事件や風潮として大きく持ちあがることもありますが、それらを事前に端から抜き出して予測していくことは焦点が定まりにくく困難でしょう。今回は、その時代の全体的な流れの中で重要な要素を手順を決めながら抜き出し、時代ごとに比較してみましょう。どんな手順を使ってもよいですが、手順を一定に決めることにより、時代ごとの特徴が浮き彫りになってくると思うのです。なお、今回は、1940年、1961年、1981年のグレートコンジャンクションのチャートを利用しますが、1940年、1981年の時期には逆行の影響で起こった3度のグレートコンジャンクションのうち最初のもののみを取り上げています。

では、まず、今回の基準となる手順をまとめます。天体とそのアスペクトの状態により全体の動きの特徴をまとめ、サインやハウスによりそれらをより具体的に考慮していく方法をとります。

1.天体のアスペクト(オーブ5度)によりその時期に起こりやすい変化のシナリオを検討。とくに、a.コンジャンクション、オポジション、スクエア(影響を組み合わせるのに対立や努力が必要)、b.ノーアスペクト天体(その天体の機能や方向性で模索)、c.トライン、セクスタイル(比較的抵抗なく組み合わさった効果が出る)の3種類に分類。

2.サインにより、それらのシナリオをより深く検討。3っつのモード(活動、不動、柔軟)により、それらが展開するテンポを考える。エレメントにより作用の焦点がどんな次元にあるかを考える。

3.天体の全体の中での役割イメージからそれらの働きを解釈。今回は社会の動きを考えているので、とくに木星土星、太陽、月などの役割を中心に構造を考える。まず、木星、土星を中心に、社会構造のどの部分への影響が出やすいかを考慮。土星と木星へ直接関わるアスペクトはその時期の社会的な主流な変化に対して直接目に見えるかたちで関連すると考える。太陽により、リーダーシップの働きや全体の意識/注目が向きやすい方向を考え、月により、大衆感情や気分/文化的な方向性を考える。

4.上のポイントを考慮しながらハウスを検討することにより日本での具体的な成り行きを考慮。

では、それぞれの20年ずつの時代ごとにこれらの項目をひとつずつ比べていきましょう。

1940年

1.木星土星と太陽のスクエア;社会構造は強いリーダーシップにより変化しやすい。火星と天王星のスクエア;改革的な集団行動が起きやすい。月と金星、冥王星はノーアスペクト;国民感情の連帯や豊かさの追求、根本的改革のテーマがうまく追求できず欲求が高まりやすい。水星天王星海王星の小三角;常識や秩序の枠を超えた考えやコミュニケーションの力。

1961年

1.水星冥王星のオポジション;複雑な部分をよく考慮、水面下のコミュニケーション。月と金星のコンジャンクション;大衆感情は豊かさを追求(木星土星に対してスクエアなのでこれが社会構造を大きく変化させる要因)。天王星のノーアスペクト;集団的な改革意識はうまく受け入れられず欲求が高まる。太陽と火星のトライン;リーダーシップの実現力/行動力。

1981年

1.木星土星と太陽水星のスクエア;社会構造は強いリーダーシップにより変化しやすい、とくに、頭脳的な工夫やコミュニケーションの力が重要な働きをする。金星のノーアスペクト;豊かさの追求が実感が得られにくく欲求が高まりやすい。太陽水星と月のセクスタイル;リーダーは大衆感情を意識して方法論をつくる。火星と天王星のセクスタイル;改革の動機を行動に移しやすい。

とくに、コンジャンクション、スクエア、オポジションを追求すべき課題の提示だと考えると、1940年と1981年はともにリーダーシップが社会構造の変化に重要に関わるテーマがあるが、61年は水面下のコミュニケーションや経済発展がテーマになっている特徴が感じられます。また、1940年のチャートでは、同時に改革的な行動もテーマに上がっています。天王星と火星のスクエアですが、天王星は他国や他の文化と関わる要素もあることも意識すると興味深いかもしれません。では、それぞれについて、サインの視点を加え、変化のテンポや方向性を考えてみましょう。

1940年

2.スクエアはどちらも牡牛と獅子の間でできており、じっくりと時間をかけ根本的な要因が変化していく方向性。冥王星も獅子の不動のサインにあり、長い時間をかけ深い部分を変化させる力がもたらされる。月と金星は活動サインなので、大衆感情や生活の感覚はめまぐるしく変化(ノーアスペクトなので動いても手応えが得られにくく欲求が高まりやすい)。水星も活発に考えるが女性サインなので現状をどうまとめおさめるかという視点が強調。

1961年

2.水面下のコミュニケーションのテーマは柔軟のサインなので、はっきりと動きの焦点を持たず状況により変化しやすい。月と金星は活動サインなので目まぐるしく豊かさを追求。これらがゆるく木星土星にスクエアなので社会構造を変化させる要因にもなる。月と天王星は火のサインなので新たな状況を作っていくための改革感情が高まりやすい。

1981年

2.社会構造の変化に関係する木星土星と太陽水星のスクエアは、1940年とは異なり、活動サインでできている。40年がリーダーシップの影響でじっくり根本的な部分を変化させていくのに対し、ここではそれまでに準備されているさまざまなテーマを次々と実行に移していくという流れになりやすいだろう。豊かさを追求したいが手応えの得られにくい金星の働きは、柔軟のサインにあるのでしっかりした動きの焦点がなく、状況によりそう感じたり感じなかったり変わりやすい。しかし、木星とミューチュアルレセプションになっているので、次第に社会構造へ重要な影響を与えるようになっていく。月は不動サインなので大衆の感情は長期的な流れを意識してじっくりと変化。

活動サインは表面的な動きに現れやすいですが、不動サインは根本的な部分や土台に関わりやすいです。40年と81年はどちらも木星土星に太陽が関わっていますが、それらのサインが不動か活動かという部分でニュアンスが変わってきているのではないでしょうか。では、これらのテーマを参考にそれぞれの時代の社会の変化の中心やリーダーシップの役割、大衆感情の状態を考えてみましょう。

1940年

3.このチャートでは、木星土星は牡牛座。個人個人の豊かさに関する構造の根本部分がじっくり時間をかけて変化していくイメージが社会的な変化の主なテーマ。根幹に関わるので対立するものと真剣に向き合い確立しようとする。太陽がスクエアになっているので、その変化はリーダーシップがもたらす注目の方向性により刺激されて進んでいきやすい。太陽は獅子座なのでリーダーシップはその国や組織の個性をはっきり表現し存在を確立していこうとする方向。月は天秤で他人や相手を意識して動きやすい。太陽とセクスタイルなのでリーダーシップの個性を打ち出す方向(獅子座)を基本的に支持するニュアンス。しかし、そのリーダーシップにより社会構造が変化し、市民の感情が変化させられざるを得なくなりがち(クインカンクス)。

1961年

3.木星と土星は山羊座。確立した社会像をどんどん実際化していくイメージ。ゆるく月金星とスクエアなので、豊かな生活を意識しながら社会構造が変化していく。太陽は魚座で火星とトライン。リーダーシップは集団全体の心理的なまとまりを重要視し、実行力を持つ傾向。

1981年

3.木星と土星は風のサインに移り天秤座。他人の立場に立ち協力することが社会構造をつくっていく重要なテーマになっていく。太陽水星がそれとスクエアになっているので、社会構造の変化にはリーダーシップのもたらす注目の方向性が重要な刺激になる。太陽は山羊座なので、実際性の確立に注目している(これは前回のグレートコンジャンクション自体のテーマでもある)。水星が関わっているので知的分析やコミュニケーションの要素も実際性を実現するために導入されやすい。長期的視点で全体のまとまりを重要視する蠍座の月は、大衆感情が忍耐強く奥の動機を意識しながらリーダーシップに協力するイメージを表わしている。

もちろん、その期間のものごとの進み方に影響するのは、これらのチャートだけではないので、これらにより語られることは、実際のできごとの一部分であることを意識しておく必要があるでしょう。しかし、これらのチャートに表わされるような方向へ向かう影響力の徴はいろいろなできごとの中に観察することができるのではないでしょうか。とくに、次のハウスのテーマは具体的な現れに関係しやすいのでそれを参考にいくつかのテーマを考えてみましょう。

1940年

4.アセンダントは天秤座の後半にあり、蟹座ノーアスペクトの金星に支配されている。国民ひとりひとりの活動やさまざまな個々のできごとには豊かさを求めるが手応えを得られにくい金星の欲求が強く反映されそう。月と金星はミューチュアルレセプションなので、だんだん生活の次元の矛盾が強く感じられ行動のテーマの中にはいっていく。月はMCの支配星になっているので、国の目標と国民感情が結びつきやすい。リーダーシップの働きの焦点(太陽)は10ハウスの統率力の機能を働かせているが、社会構造(木星土星)は他国や相手との関わり(7ハウス)により変化しやすい。水星は10ハウスにあり、知識を使って統率力を働かせるが、天王星や海王星の影響で突飛な理論になりやすい。

この時代は、第二次世界大戦の結果、世界の主な国の間の力関係が露呈し、それに合わせてそれぞれの役割構造がはっきりしていく過程だったかもしれません(牡牛の木星土星)。とくに、冷戦の構造が固まっていったのが特徴です。日本では木星土星は7ハウスにあり、アセンダントも天秤にあるので、これらの構造の変化の次元で受動的になったのかもしれませんね。木星や土星はかなり8ハウスに近いので、社会構造を変化させる力は、日本では他の文化と混ざりながら新たなものへと変容していくようなかたちで現れてきたのかもしれません。

1961年

4.アセンダントは牡羊座の終わりにあり、木星土星とスクエアになっている。日本では個人個人の行動が社会の変化に大きく関わりやすい。近くには月金星のコンジャンクション(新たな豊かさを求める欲求)。支配星の火星は3ハウスにあり、11ハウスにある太陽とトライン。ひとりひとりの活動はメディアなどでの情報交換や知識の獲得(3ハウス)を積極的に行動化することにより変化していき、未来に向けて社会的なシステムを改革していくこと(11ハウス)に注目しているリーダーシップと協力してものごとを進めていきやすい。

ベルリンの壁ができ、キューバ危機が起こり、東西はそれぞれの立場を確立するためにさまざまな活動を行う(山羊の木星土星)一方、米ソ間にはホットラインができ、緊急時のための水面下のコミュニケーションを行う仕組みもできました。日本では木星土星は10ハウスにあり、積極的に国のしくみや立場を作っていくことが具体的な目標となっていったのでしょう。背後には、月金星の個人的な豊かさを求める強い欲求があり、木星土星にはアセンダントもスクエアになっているので、個人個人の動きが社会の変化に大きく影響を与えました。つまり、国民ひとりひとりの自覚と行動(太陽と火星のトライン)が高度成長につながったのでしょう。

1981年

4.アセンダントは山羊の始めにあり、個人個人は社会を実際的に動かしていくことを強く意識。太陽や水星、さらに火星もここにあり、これまで10ハウスや11ハウスの社会全体での目標を照らしていたリーダーシップは、ここでは個人個人の活動に注目するようになる。金星がMCを支配し、「満たされにくい物質的欲求」が社会の変化(天秤の木星土星)を方向付け、日本の長期的な目標を作っていく動機に関わりやすくなる。

天秤座の時代らしく協力や対話が世界の社会構造を変化させていく傾向が現れ、ベルリンの壁が崩れ、EC統合市場が発足しました。日本では、全体のまとまりよりも個人個人の活動に重点が置かれ始め、企業では終身雇用から能力主義へと変化し、雇用のシステムも大きく変わっていきました。また、木星土星は9ハウスに入っていることから、社会構造の変化は海外との協力の中で社会のあり方に関するビジョンが発展してきたことも要因になっているかもしれません。

こうしてみてくると、それぞれの時代ごとの特徴のある側面が語られているような気がします。しかし、このようにしてまとめられる特徴は、そのときそのときに実際に体感しているものとは異なると考えられるので(チャートに語られる影響はある意味で実際のできごとを平均化しなければわからない)、それだけで具体的な予測を立てていくというよりは、時代を振り返り要点をまとめるときのひとつの指針になるのかもしれません。また、詳しい判断を行っていくには、ひとつのチャートからでなく多くのチャートの影響を重ね合わせてみながら考えていく必要があります。さらに、ここ数回にわたってみてきたように、ひとつのチャートの中でも注目する部分(トランジットによる刺激、個々のハウスなど)によりさまざまなことが語られます。すべての影響を考慮していくことはとても大変な作業のようですが、じっくり行っていくとちょうどホログラフのように、はじめはうっすらと、そして、だんだんはっきりと全体像が見えてくるのではないでしょうか。

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マンデン11

□占星術のしくみとマンデン・その11

前回は、グレートコンジャンクションのホロスコープの天体のアスペクトがどのように働くかを考えてみました。今回は、日本の首都、東京でグレートコンジャンクションの図(1961.02.19.08:56JST.TOKYO)を作り、マンデン図におけるハウスの働きを考えていきたいと思います。前回までの天体同士のアスペクトによる刺激は、これらのハウスの働きを通して現象として現れてきやすいのです。もちろん、マンデンの場合は、さまざまな図のハウスが関わってきますので、必ずしも同じような方向のものごとばかりが起こるわけではありませんが、社会全体の典型的な特徴という視点で見るとそのような方向に整理のできることがらが多く起こっていると考えられるでしょう。

どんなホロスコープでも、アングルはとても重要な働きをします。とくにアセンダントは、その図の天体のエネルギーが地上で発揮されるきっかけ、例えば、マンデンで言えば国民ひとりひとりの行動、あるいは、ニュースなどとして現れるひとつひとつの動きそのものを表わしています。また、ディセンダントはその動きが対象としているものを表わします。アセンダントは牡羊座でディセンダントは天秤座なので、「ものごとを始めたばかりの未熟で勢いのある人」が「洗練された行動のできる人」に手を引っ張られている、あるいは、反抗して情熱を燃やしているようなイメージです。度数も最後の方なのでその勢いをうまく利用して何らかの効果につなげようという動機が強いのかもしれません。60年代の日本は高度成長期の最中なので、世界の諸国に経済的に追いつけ追い越せという気持ちが国民のひとりひとりにあったのかもしれませんね。では、その動機を実際に動かすのに重要な役割を果たすサインの支配星の火星の状態を考えてみましょう。火星は、蟹座の最初にあり、「自分が属する集団(家族など)のために頑張るぞ」という気持ちが強くなっています。3ハウスなので、情報交換や技術の習得、教育、通商などに力が入ります。そして、この火星は5ハウスの支配星になっている太陽とトラインになっています。太陽は重要なエネルギーの中心であり、また、5ハウスの「創り出すこと、生産」などにも深く関わります。日本は加工品を輸出することにより国力を伸ばしていきましたが、これはその太陽が11ハウス(国際的な評価の舞台)にあることにも関係があるかもしれません(11ハウスの支配星の天王星は5ハウスに入っており、評価がフィードバックされてくる状態です)。火星に話に戻りますが、この火星は蟹座にありますが、蟹座の支配星の月は牡羊座にあります。これは、ミューチャルレセプションといって、2つの天体が相互に尊重し合う状態です。月はもともと大衆感情のようなものを表わしますが、4ハウスを支配しているので、国民生活のあり方や集団的な意向をとてもよく代表するかもしれません。牡羊座なので、「勝ちたい、一人前に扱われたい」などという気持ちは強いですが、12ハウスに入っているのでそれをあからさまには表現しないかもしれません。そして、影に隠れたその気持ちは、火星の行動力(家で待っている家族のために頑張るお父さんかもしれませんね)によく伝わり、活性化しそうです。月の動きをみてみると、金星とのコンジャンクションを過ぎて10ハウスにある木星と土星のコンジャンクションに対してスクエアになっていくところです。金星は7ハウスの支配星になっているので、パートナーや相手国を強く意識した体験が過去にあることが推測されます。そして、木星と土星は9/10ハウスを支配しているので、これから社会的、国際的な活躍や責任を意識する方向に向かう動きが考えられます。

エネルギーが地球上ではたらくとっかかりがアセンダント−ディセンダントの流れだとすれば、それがこれまでのありかたにどのような変化や結果をもたらすのかということがMC−ICの軸により表現されます。私はこれを考えるときに、いつも、フレミングの法則の電流の方向(AS−DS)と磁力の方向(MC−IC)を連想します。実際の動きと結果的に起こる力の方向には、なぜか90度の差があるようです。個々の人々が動くと、あるいは、個々のできごとが起きると、全体の秩序の方向付けを考える必要が起こります。つまり、ボスがまとめなきゃといって反応するのです。マンデンの場合、このようなMCの働きに対応するのが国の首相や政治の執行機関です。そして、この働きがみんなのルールを決めて守らせるのです。このMCが意識している相手は、国民全体の生活のあり方や集団的な意志で、ICにより表わされます。MCとICは山羊座と蟹座です。ボスは、国民全体を意識しながら、「集団を守る(蟹座)」ため「しっかり責任のある機能を果たせるようになろう(山羊座)」という意識をもって政治を執行する傾向が強くなりそうです。もともと牡羊座が1ハウスにきているので、とても自然な方向付けになっています。では、それぞれの支配星がどんな状況になっているかということから、より詳しい状況を考えてみましょう。MCは山羊座なので支配星はグレートコンジャンクションの主役のひとりである土星です。土星は山羊座で10ハウス内にあり、もちろん、この土星は木星とコンジャンクションになっています。これは、管理の能力をしっかりつけた(山羊座)管理の専門家(土星)が管理のできるボスの立場(10ハウス)につき、支持を集めている(木星とコンジャンクション)ようなイメージです。木星は9ハウスの支配星になっているので、法曹会や知識人などの間からの支持、あるいは、海外からのサポートかもしれません。しかし、これは、しばらくすると月とスクエアになります。つまり、だんだん国民感情と対立するようになっていくボスが現れやすいというイメージでしょうか。佐藤栄作、田中角栄などの首相が現れた時期です。これらは、ただ単に現れる人物像だけでなく、スクエアという強い相互作用により、そのどちらもが大きな変化を遂げていくことになるというポイントも重要な解釈につながるかもしれません。

アングルに関する部分を解釈したので、全体像の大まかなイメージがつかめてきたかもしれません。このような構造が国全体のみでなく、日本の中の大きな組織、小さな組織の中で程度の差こそあれいろいろなかたちで繰り返し再現されていたのでしょう。例えば、このころの日本の会社組織なども、会社員=アセンダント/火星、取締役=MC/土星などというかたちで上のイメージに当てはめてみると、典型的なイメージ(まったくその通りの会社はないかもしれませんが、共通のイメージを集約してみると)が浮かび上がってくるのではないでしょうか(終身雇用(蟹座)/強力な社長像(山羊座)など)。チャートのそのほかの部分も少しだけ考えてみましょう。

前回のアスペクトの際によく話題に出てきた学生運動ですが、学生は3ハウスや双子座、水星などによって表わされます。今回のチャートでは3ハウスのカスプは双子座で水星は11ハウスにあります。11ハウスは改革運動を行うハウスであり、また、3ハウスには自らの行動力を示す火星が入っています。火星は月とミューチュアルレセプションで意志の疎通があり、月と土星はスクエアになるので、この大衆感情の権力との対立が、学生の改革運動というかたちで表現されていたのかもしれません。この時期のグレートコンジャンクションのテーマである月(女性)の土星(既存の権力)との対立が日本では学生運動というかたちで表現されましたが、他の国では異なるかたちで表現されていたかもしれませんね。しかし、この水星は自分の支配する乙女座とは反対の位置にあり、サウスノードともコンジャンクションになっており(自分の成長する方向でないテーマが与えられやすいといわれる)、太陽の近くにあり(他人の視点を考慮しにくくなるといわれる)、逆行している(自分の個人的な目的を優先しがち)などの条件が重なっているので、あまり建設的な表現にはならないかもしれません。この水星は逆行し、太陽とコンジャンクションになった後、火星とトラインになり、行動力をスムーズに発揮する機会が巡ってきます。

こうして、チャートの各ハウスのテーマに関連する天体の状態を検討することにより、その時期に特定の場所で起こりやすい物語りの方向性を推測していくことができます。

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マンデン10

□占星術のしくみとマンデン・その10

前回は、木星と土星のアスペクトの「出生図」、つまり、グレートコンジャンクションのホロスコープの天体配置が、それに対するトランジットなどの刺激に合わせてさまざまな次元で表現されていく過程をたどってみました。とくに、天体のアスペクトの組み合わせがどのように刺激され、現実の動きの中に表現されるかということを、1961年のグレートコンジャンクションの水星と冥王星のオポジション軸に対するトランジットの木星や土星の動きを追いかけながら考えてみました。これらは、もちろん他の天体のトランジットにより別なかたちで別な次元に表現されていくと考えられます。

今回は、もう少し近い天体、つまり、火星や太陽、金星、水星の動きを追いながら考えてみましょう。このときに注目したいのは、前回に分析したような木星や土星の刺激が起こっているときと起こっていないときの違いです。前回は、グレートコンジャンクションのホロスコープに対するT木星やT土星の刺激の時期に、刺激されたアスペクトの象徴に関わるようなテーマに関する動きが活発になることを観察しました。とすると、より近い天体の刺激も重なった方がはっきりとした動きに関連しやすいことが予想されます。また、近い天体は1年や2年ごとの周期を持ち、スクエアまで含めると約3ヶ月ごと頻繁に起こります。その中には社会的な認識や動きへとつながっていくものやいかないものもあるでしょう。今回はそのようなポイントを考えながら、前回分析した一連の時期の中でT水星〜T火星が1961年のグレートコンジャンクションの水星と冥王星に対してコンジャンクション/オポジションを形成した時期のニュースを拾ってみましょう。木星と土星のコンジャンクションは20年間を表わしますが、すべての時期に関して行うと膨大な量になるので、特定の時期やテーマに絞ってみていきます。

まず、前回に分析したポイントの一部をもう一度振りかえってみましょう。

「T土星は64年中ごろから65年の初頭にかけて水星側を通過しています。部分的核実験禁止条約の承認、学生ストライキなどが起こっています。65年は木星がこのアスペクトにスクエアでかかってくるのに加え、T土星とT冥王星のオポジションも加わっており、佐藤内閣の高姿勢、不況やベトナム戦争の拡大、反戦運動なども起こっています。

68年夏にはT木星が冥王星側を通過します。この時期には学生運動が激化しています。また、62カ国で核不拡散条約を調印しています。なお、今回検討している木星と土星のコンジャンクションの図の一日一年の進行の太陽は、ちょうど67年から68年にかけての学生運動の激化の時期に水星冥王星のオポジション上を通過しています。

71年の秋から72年の前半にかけてT土星とT木星はこの水星冥王星のオポジションに対してグランドクロスを形成します。空港建設反対運動や浅間山荘事件、内申書事件などがあり、学生運動は過去のものになっていきます。また、日活ロマンポルノをきっかけに表現の自由の論争が起きていることもこの水星と冥王星のテーマにも関わりそうです。」

これらは、トランジットの土星や木星などがグレートコンジャンクションのチャート上のアスペクトを刺激した時期にどのようなできごとが起こったかをまとめたものですが、今回のテーマであるトランジットの水星〜火星は、その周期が短いため土星や木星などより社会的なインパクトは小さくなります。それぞれの天体の働きからどんな影響があるかを考えてみましょう。

T水星の場合は、水星は言葉や情報に関係があるので、グレートコンジャンクションの水星と冥王星のテーマ(もちろん他の部分に対しても)が人々の会話の中に表れやすくなったり、考慮、分析されたり、そのテーマを何らかの技術として応用したりなどの動きが起きやすくなることが予想されます。議論などに表れてくることにより、そのテーマが社会の中で具現化していくのでしょう。また、水星は若者も表わしますので、学生などにより強く意識されるタイミングになるかもしれません。

では、T金星はどうでしょう。金星は、味わったり、理解・吸収・評価したり、扱いやすいように飾り付けたりする働きがあります。金銭や物質的な価値を評価することに関連します。例えば、水星と冥王星の「秘密の情報」の価値が値踏みされるなどの動きに関連するかもしれませんね。また、究極的な治療技術(癌の治療など)について習熟したり、複雑な状況を抱えた若者に対して金銭的な援助が行われるということも考えられるでしょう。

集団の方向性を定め、対象を明確に意識し、問題解決のための総合的な工夫をする働きのあるT太陽は、問題を白日の下にさらしたり、そのテーマに関して強いリーダーシップの方向付けがあったり、より公的な認識につながるような影響がありそうですね。水星と冥王星の「オカルト的な知識」に注目が集まったり、「秘密の会話や関係」が暴露されたり、「重大な影響を及ぼす作戦」にリーダーがゴーサインを出したりするかもしれません。

T火星についても考えてみましょう。火星は焦点をはっきりさせたり、主張したり、動機を行動に移す天体です。火星は「白黒つける」というイメージが似合いますが、ちなみに、最近ゼブラーマンで注目されている哀川翔さんの獅子座(演技派)の火星は海王星とスクエア(カリスマ的イメージ)、木星とオポジション(社会的に受け入れられやすい)になっています。水星冥王星でいつももんもんと考えていたことを思いきって行動に移してみたり、究極的な治療技術を思いきって試してみたり、金融(冥王星)に関する方法論(水星)を実行に移したりなどということも考えられます。

もちろん、これらの天体のトランジットの影響は、オーブを含めて「数日」で終わってしまうので、他に長期的な変化を促す作用が働いていない限り、これらの変化は一時的なもので終わる可能性があります。あるいは、あまり注目されないものかもしれません。しかし、グレートコンジャンクションの動機に基づいたものなので、その後、広がっていく可能性につながるきっかけになっている場合もあるでしょう。

では、まず、66〜68年ごろの学生運動を追ってみましょう。まず、66年10月21日(水星冥王星軸に対してT火星がコンジャンクションになる2日前)にはベトナム反戦統一ストがあります。そして、66年11月24日(水星冥王星軸に対してT金星がスクエアの一日前)の時期に明大生が授業料反対のストライキをはじめます。これは、T金星が水星とコンジャンクションになる3日前の2/2ごろまで解決が長引きます。67年の9月14日(水星冥王星軸に対してT火星がスクエアになる5日前)には法政大で学生運動が起こります。この後、10/8と11/12に第一次、第二次羽田事件が起こります。この頃、木星はグレートコンジャンクションの太陽とのオポジションを過ぎ水星冥王星のアスペクトへ刺激をはじめようとしています。さらに、T火星が水星冥王星軸とコンジャンクションになる4日前の68年1月13日には中央大で授業料値上げ反対のストライキが起こります。また、1月24日に米軍王子キャンプにベトナム傷病兵用野戦病院開設という公表があると、その後、労組・学生らが反対デモをはじめます。5月にはパリで学生デモが起こり、6月には東京大、東京教育大などで学生ストが起こっています。はじめのうちは個々のアスペクトの機会などにぽつりぽつりと起こっていますが、T木星のようなゆっくり動く天体のサポートが入ってくるとだんだん社会現象的に集中して起こっていく様子が理解できると思います。

もちろん、同じ時期に別なテーマの出来事もいろいろ起きています。例えば、66年2月19日(水星冥王星軸に対してT水星がコンジャンクション)には、政府が「核の傘」(水星冥王星)についての統一見解を発表(T水星)します。5月27〜28日には水星冥王星軸に対してT水星と太陽が相次いでスクエアになる時期にあわせて野党が小選挙区反対の共同声明、インドネシアへの緊急援助の円借款について共同声明を発表しています(T水星太陽>声明文の公表)。67年2月8日には共和製糖事件の関係で逮捕者が出ています。このときは水星冥王星軸にT金星とT水星が相次いでコンジャンクション、T水星はその後逆行し、3/11と23日頃にもう2回コンジャンクションになっていますが、この共和製糖事件は18日相沢議員取り調べ、23日起訴というかたちで進んでいきます。水星冥王星の「水面下のコミュニケーション」に関するT水星の「捜査」の過程と考えるとよく動きが現れている例と言えるかもしれません。また、12/3には南アフリカのバーナード教授が初の人間の心臓移植手術をしました。11/29〜12/10にかけてT太陽とT水星は相次いで水星冥王星軸とスクエアを形成しています。水星冥王星の極限的な技術をT太陽で思いきって行い、T水星でそれに関する議論が起こる流れとして理解できます。なお、この頃にはちょうどT木星が水星冥王星軸にさしかかっていますのでそのテーマに関する発展への期待感があり、社会的な認知もされやすくなっており、また、哲学的な議論につながりやすい状況もできていることにも注目する必要があるでしょう。

このように、ひとつの「グレートコンジャンクション」のホロスコープ(あるいはすべての「アスペクトの出生図」)は、その有効期間の間を通して、さまざまな次元や領域からの刺激に反応しながら具現化していきます。それは、また、ひとつのホロスコープに対する刺激の反応のみでなく、より長期のもの、より短期のものと何重にも組み合わさりながらできごとが進んでいると考えたほうがよいでしょう。単にホロスコープ自体を解釈する際にも、このような具現化の過程をしっかりイメージできるようにしておくと単なるキーワードの組み合わせのみでなく、現実的な解釈の力につながるでしょう。

この記事に関する質問や意見は遠慮なくお寄せください。占星術の個人レッスン、占星術を洋書で学びたいという方もぜひご相談ください。詳しいことは ryuz@rr.iij4u.or.jp へメールをいただければ幸いです。

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マンデン9

□占星術のしくみとマンデン・その9

前回は、天体同士のアスペクトの瞬間を対応する期間に起こる社会的な変化の「出生図」として考えることができることと、数ある天体同士の組み合わせの中で社会的な変化に大きく関わる木星と土星のアスペクトについて考えました。今回も、やはり、木星と土星のアスペクトの「出生図」を題材に考えを進めていきましょう。

木星と土星のアスペクトは、20年の周期で起こります。木星も土星も社会的な秩序やルールの形成や運用に関わる天体なので、土星と木星に関連する変化の出生図は、その期間に起こっていく変化の総合的な設計図と考えることができます。もちろん、同じ期間には別の次元の出生図に基づく変化がたくさん働いているので、この木星と土星の出生図だけではすべてを判断することはできません。この図の中では、木星と土星の働きに関する側面(社会全体に広がっていくもの、常識として固定されるもの)がそれが表す20年の期間の間にどのような物語の流れで変化しやすいかということに限って考えていくと焦点がはっきりします。また、その中で抽象的に表現されているテーマや問題を別の次元のチャート、例えば、国や重要人物の出生図、より短い期間を表す日蝕や月蝕図などと組み合わせながら焦点を絞っていくとよいでしょう。

さて、マンデンにおけるアスペクトの出生図も個人の出生図も基本的に象徴の働く構造は同じですが、それが表している対象が異なるために具体的なものごとに結び付けていくときには多少視点を変える必要があるかもしれません。ここで、各天体のマンデンチャートでの働きをもう一度考えてみましょう。なお、直接対象に結び付けずに、まず意味を確認し、それをいくつかの具体例に結び付けます。同じ意味からは別の例にも結び付くでしょうから利用するときには工夫してください。もちろん、ここに挙げた意味だけでなく、さまざまな視点から目的に合わせていろいろな解釈につなげてください。

太陽:
影響力を発揮する:権力者、有名人、社長、首相
ものごとに光を当てる:注目の集まっているテーマ、人々が意識していること
新たなものを創造する:会議場、やり方生き方の工夫と提案、クリエイター、俳優、監督、遊び場、
太陽系のまとめ役:議長、社長、首相、リーダー

月:
感情的なつながり:大衆、女性、一般人
受容的な光の中心:問題や心配ごと、人々が気にしていること
過去のパターンを維持:日常生活、食料、家事、育児、日用品
ものごとの起こる器:家、アパート、ホテル、生活や仕事の現場やその体験のフィードバック

水星
情報や知識を扱う:ジャーナリスト、知識人、学生、事務員、医師、文筆家
情報関連のもの:書物、雑誌、情報、書類、事務機、パソコン、通信機器
人やものの移動に関係:交通手段、流通、商売、車や自転車、標識
目印つけて追いかける:会話、約束、通信、伝達、分析、調査、教育

金星
相手に近づく/引きつける魅力:外交、接待、女性、香水
受け入れ味わう:美術、芸術関係、贅沢、鑑賞、資産、金銭、レストラン
美を表現:デザイナー、芸術家、音楽家、女優、ダンサー、美容師、花壇、
バランスを取る:裁判、平和、交渉

火星
違いを明確にし主張:男性、企業家、戦争、活動家、政治家、軍人
エネルギーを利用:爆発、火薬、火、熱、エンジン、モーター、炉、事故、銃、機械
分ける、裂く:刃物、刀、外科医、工具、ドリル、手術
強力な性質:打楽器、騒音、暴力団、とげ、辛いもの

木星
拡大発展:高騰、膨張、増殖、流行、高等教育、好景気
良識やモラルに関係:宗教、哲学、法律、裁判所、神学、聖書
情報の質を高め普及:出版、図書館、教授、議員、銀行
未知のものを探求:外国人、旅行、国際交流、ひらめき、ビジョン

土星
集中し密度を濃くする:専門職、能率、野心、達成感、常識、規則
無駄をなくし縮小、冷やす:寒冷、欠乏、貧困、不景気、リストラ、劣等感、恐れ
消費後の残り:ごみ、廃墟、墓
確立されたもの:権威、不動産、老人、歴史、骨董、伝統科学、骨、骨格

天王星
突然の変化:異常、改革、革命、覚醒、気づき
先端技術の利用:発明、科学、宇宙、航空、機械、人工衛星、電話、占星術、人工食品/繊維/素材
枠を越えた情報交換:電波、放送、国際会議、天文台、テレビ、博物館
関係ないものを結びつける:接木、方向転換、応用・発明、同期、歯車構造、プログラム

海王星
焦点をぼやかす:液体、酒、麻薬、麻酔、不安、混乱、不道徳、精神錯乱、昏睡
境界をはずし同一化:海、義母、フィルム、映像、溶剤、同情、感情移入
見えないもの:心理、心霊、芸術、スパイ、ガス、ガラス
代用:かつら、義眼、プラスティック、合成繊維、噂、欺瞞、不正

冥王星
破壊と再生:遺伝、癒し、生殖機能、消滅、再発生、セラピー
生死に関わるもの:死刑、検視、虐殺・虐殺現場、核爆弾、恐怖
衰えたもの:暗黒街、汚染物質、排水、腐敗物、悪臭、劇薬、有害物質
隠れたもの・活動:地下運動、地下工作、地下組織、地下鉱脈・油田、深い海底、心理分析

もちろん、これらの天体が直接リストに挙げたものとして動くのではなく、天体の働きがそれらのテーマに密接に関わったところで働きやすいということです。いろいろな次元でいろいろな規模で働きますので、これらのキーワード(さらにたくさん見つけてください)を手がかりに発想を広げてみてください。

さて、みなさんは、個人の出生図を解釈することには慣れていることと思います。マンデンにおいても、これらの「変化の出生図」は、個人の出生図と同じようにプログレスやトランジットなどと組み合わせながら、それらの特徴が顕著に働いてくる時期を予測したり、あるいは、他の組織(国や会社、個人など)との相性を比較することにより、その働きに関わってきやすい要素を検討することができます。反対に、これらのチャートを研究する上では、歴史上のできごとでこれらのチャートの要素が働きやすくなっている条件を検討することにより、関連のあるものごとを確認していくことができます。

例えば、1961年の木星と土星のグレートコンジャンクションのチャート(1961.02.19.08:56JST)
は、その後の20年、つまり、1980年ごろまでの特徴的なできごとを表しています。図の中で顕著なアスペクトを作っているものに関して考えてみましょう。まず、水星と冥王星のオポジションをとりあげ、キーワードを組み合わせながらどんなふうに働きやすいか想像してみましょう。

水星と冥王星のオポジション
核兵器(冥王星)がジャーナリズム(水星)で話題になり、さまざまな角度から考察される。また、恐怖(冥王星)のニュアンスで語られ(水星)たり、水面下(冥王星)の情報交換(水星)が行われやすかった。若者(水星)は超能力(冥王星)に憧れた。学生(水星)は破壊運動(冥王星)を起こした。このとき、水星は夢見がちで心理的なものに敏感な魚座にあり、冥王星は細部の分析や防衛行動に関わる乙女座でした。

木星と土星のアスペクト図ですので、これらのテーマが社会で広く話題になったり、常識として固定イメージができていく、あるいは、固定イメージが壊れ、変化していくような過程が示されているわけです。では、もっともそれらの次元に関わりやすいトランジットのT木星やT土星がこの図の水星と冥王星のオポジションを刺激する時期にどんなことが起きているかをみていきましょう。(同じテーマは別の組み合わせで別のタイミングでも起きますが、その時期にも起きやすくなっているニュアンスをつかんでください)

まず、T木星がこのアスペクトの水星側を通過したのは1962年4月から12月頃です。この時期には、核実験禁止を求める運動が起こったり、キューバ危機が起こっています。

次に、T土星は64年中ごろから65年の初頭にかけて水星側を通過しています。部分的核実験禁止条約の承認、学生ストライキなどが起こっています。65年は木星がこのアスペクトにスクエアでかかってくるのに加え、T土星とT冥王星のオポジションも加わっており、佐藤内閣の高姿勢、不況やベトナム戦争の拡大、反戦運動なども起こっています。

68年夏にはT木星が冥王星側を通過します。この時期には学生運動が激化しています。また、62カ国で核不拡散条約を調印しています。なお、今回検討している木星と土星のコンジャンクションの図の一日一年の進行の太陽は、ちょうど67年から68年にかけての学生運動の激化の時期に水星冥王星のオポジション上を通過しています。

71年の秋から72年の前半にかけてT土星とT木星はこの水星冥王星のオポジションに対してグランドクロスを形成します。空港建設反対運動や浅間山荘事件、内申書事件などがあり、学生運動は過去のものになっていきます。また、日活ロマンポルノをきっかけに表現の自由の論争が起きていることもこの水星と冥王星のテーマにも関わりそうです。

74年の3〜4月頃には、T木星は再度水星側を通過します。このころ、韓国では学生運動が再燃しています。また、日本では超能力ブームが起こっています。数年前からこの水星冥王星のオポジションに対しT海王星がTスクエアを形成していることもこのブームに関係があるでしょう。さて、この超能力ブームのきっかけになったユリゲラーは、出生図の水星と海王星、冥王星土星の間で小三角ができています。このユリゲラーの水星は射手の9度付近にあり、今回検討している水星冥王星のオポジションに対してTスクエアの位置にあります。ユリゲラーは、この超能力ブームに一役かいそうな人物のひとりとして考えられるのではないでしょうか。

このように、マンデンでの「変化の出生図」も個人の出生図と同様に、進行や経過などの影響を検討しながらそれらに表示されているテーマが具現化してくる様子を考えていくことができます。また、このことからも、アスペクトは形成された瞬間ではなく、徐々に影響やテーマが表面化してくることが理解できると思います。この記事に関する質問や意見は遠慮なくお寄せください。また、占星術の個人レッスンもはじめました。占星術を洋書で学びたいという方もぜひご相談ください。詳しいことは ryuz@rr.iij4u.or.jp へメールをいただければ幸いです。












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マンデン8

□占星術のしくみとマンデン・その8

前回の新月(日蝕)の水星冥王星火星木星のTスクエアに引き続き、今回の新月は太陽と火星のスクエアがあり、火星の「実行力」をどう扱っていくかというテーマがとても重要になっている今日この頃です。ものごとを行うときには、必ず立場をはっきりさせなければならない必要性がつきまとい、そこにはどうしても肯定される価値観と否定される価値観が出てきてしまいます。なるべくなら多くの人々が意見を出しあい考え尽くした上で最善の方法を見出したいものです。無理矢理ルールを作り(土星)実行しようとすると、大晦日や元旦の頃を中心に大きな抵抗に会う可能性があります(火星と土星のスクエア)。

さて、前回は具体的なテーマに絞って天体のアスペクトのサイクルの働きをたどってみました。また、これまでのこのシリーズでは、遠い天体のサイクルやアスペクトの影響を考えてきました。そして、それらは、いろいろな社会的な心理状態やトレンドなどと関連していることがつかめてきました。このようなアスペクトが起こった瞬間に新しい社会的な心理状態やトレンドが生まれ、始まる、あるいは、変化し始めるとすると、そのアスペクトの瞬間がその変化の「出生図」になります。これらのアスペクトは、遠い天体や近い天体のさまざまな組み合わせがいろいろなタイミングで起こっているので、時間の流れにはこのようないろいろな変化の出生図がちりばめられていることになります。これからは、少しの間、このようなアスペクトの影響の出生図の働きについて考えてみましょう。

マンデン占星術では、社会的な現象を考えるので、数多い天体同士のアスペクトの中でも、とくに、一般的な社会の動きに関わるアスペクトに注目します。この中には、大きな光の源である太陽と月のアスペクトや、それらの特別な場合である日蝕や月蝕など、あるいは、目に見える社会的な動きに関連する2つの大きな天体、土星と木星のアスペクトなどが含まれます。これらのアスペクトの中でも今回は木星と土星のアスペクトに関して考えていきましょう。

木星と土星のアスペクトのサイクルは、約20年でひと回りします。これまでの考え方に従えば、このアスペクトは20年ごとに木星と土星の機能を組み合わせ、例えば、秩序やルールに則りながら(土星)社会の中のさまざまな可能性を探求する(木星)道を探り始めると考えられます。あるいは、木星の「社会的な動きのビジョン」や「哲学」に対して、土星によりかたちが与えられます。また、土星の「すでに確立された体制やシステム」に木星の「新たな可能性」が加えられると考えることもできます。冥王星と海王星の約500年毎の会合が宗教や思想の流れの変化のサイクルに関係しているように、木星と土星のサイクルは、社会の中でかたちとして表れてきやすいものごとの進め方に関する流れのサイクルに関連するでしょう。そして、ある20年のサイクルの独特な特徴が、そのサイクルの始まりのコンジャンクションの瞬間のチャートに表わされるのです。

この木星と土星のサイクルは、まだ、天王星より遠い天体が発見される前から、社会の流れを決める「グレートコンジャンクション」として注目されてきました。そんな木星と土星のサイクルについてもう少し詳しく考えてみましょう。約20年ごとに訪れるこのコンジャンクションは200年程度ずつ同じエレメントのサインで起こりながら少しずつ進んでいきます。現在は、地のサインから風のサインへ移ろうとしているところです。このグレートコンジャンクションの起こるエレメントの変化は「グレートミューテーション(グランドミューテーション)」と呼ばれ、さまざまな占星術家により追跡されてきています。グレートコンジャンクションが地のサインで起こりつづけていたこの200年(1802年のグレートコンジャンクションより)ほどは、産業革命やさまざまな技術開発により、人間の世の中は物質的に豊かになってきました。そして、その前の200年(1603〜1821年・境目は前後のエレメントが混ざります)は市民革命などが起こり、人々が立ち上がり、新たな社会のあり方を模索していた時代です。地のサインの時期では、物質的な発展をしましたが、この火のサインの時期には、啓蒙思想など精神的な発展をしていたのが特徴的でしょう。その前の水の時代には、ルネッサンスなど古い文化が見直され大きなまとまりや文化に対する感受性が強まりました。そして、風の時代にはその次のルネッサンスに続いていくべき情報や知恵の発掘や交流が起こっています。

もちろん、これらの特徴は大きな流れをまとめて比較するときに浮き彫りになるものであり、その時代の生活している人が意識的に気がついている特徴ではないでしょう。しかし、このように歴史の中で眺めてみると、それらの働きがその後の社会の方向性を引っ張っていっている様子は感じられると思います。

さて、このような流れを持つグレートコンジャンクションのサイクルは、現在、地のサインから風のサインへと移行しようとしています。1940年の牡牛、1961年の山羊と地の星座で起こったのに続き、1980年にはすでに天秤の風の星座で起こりはじめています(それに合わせるように世の中は「情報化社会」に向かっているようです)。しかし、2000年の5月には、また、牡牛の地のサインに戻っています。そして、2020年には水瓶で起こりますので風のサインへ移っていきます。つまり、今回、2000年に起きたグレートコンジャンクションは、すでに、風のサインへ移行していく流れの中、一時的に地のサインへ戻っている状態なのです。

それぞれのコンジャンクションの瞬間のホロスコープには、その後の20年間に社会がどのような方向で動いていきやすいかが象徴的に表現されています。中でも、グレートコンジャンクション自体が起こったサインは、上のように歴史的な流れを考えてみても重要な働きをしていると考えられます。それでは、次に、グレートコンジャンクション(つまり木星と土星)自体へのアスペクトの状態にも注意してみましょう。これにより、その時代に社会の流れ(木星と土星)を積極的に変化させていく要素はどんなものであるかということを推測することができます。例えば、山羊座の「集団的な管理や秩序作り」をテーマにした1961年のグレートコンジャンクション(1961.02.19.08:56.JST)は、牡羊座の月とスクエアになっています。自分が思った通りに行動したい大衆感情がそれまでの社会のあり方を気に入らず、反発する(牡羊座)などの動きがあり、それを管理しよう(山羊座)としたりすることにより歴史が進んでいくイメージがあります。また、このグレートコンジャンクションは天王星とクインカンクスになっています。天王星は改革運動や新しい技術などを表わしますので、それらが矛盾を浮き彫りにしていく(クインカンクス)かたちになるイメージです。また、少しオーブを広げると太陽とトラインになっている火星ともクインカンクスです。太陽、つまり、それぞれの国の指導者は好んで軍備(火星)を増強しますが、その増強された軍備も矛盾を浮き彫り(クインカンクス)にするのに一役かいます。このあたりは、旧ソ連とアメリカの冷戦をよく象徴しているように思えます。もちろん、直接グレートコンジャンクションに関わっていないアスペクトもその時代の動きの中には現れてきます。例えば、1961年の図の水星と冥王星のオポジションは、水面下での情報の流通や政府を通さず、民間や草の根レベルでの会話が重要な働きをするイメージです。例えば、旧ソ連とアメリカは表では軍備を増強しあい、冷戦の緊張を保っていましたが、実質的には物資の輸出入などもとても多く行われ、互いに相手がそれぞれの経済的安定に重要な役割をしていたのも事実です。社会の表舞台では明確に現れていなかったかもしれませんが、それらは、次の1980年代からの天秤の対話と協力の動きへ続く重要な要素を作っていたのではないでしょうか。

今回は、木星と土星のグレートコンジャンクションとその瞬間のホロスコープについて考えました。次回もこのグレートコンジャンクションについていろいろな角度から考えていってみましょう。この記事に関する質問や意見は遠慮なくお寄せください。また、占星術の個人レッスンもはじめました。占星術を洋書で学びたいという方もぜひご相談ください。詳しいことは ryuz@rr.iij4u.or.jp へメールをいただければ幸いです。
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マンデン7

□占星術のしくみとマンデン・その7

月蝕での総選挙がありました。今回の月蝕は海王星のTスクエア(理想・不安の提示)の課題をグランドセクスタイル(成長の具体化)が協力的に遂行していこうというイメージなのでこれからどんな展開になっていくのか興味深いですね。さて、今回はトランジットのアスペクトやサインの働きを具体的なテーマの中で考えていってみましょう。ここでは、冥王星と土星の動きと日本の学校での問題について考えてみましょう。

占星術では、テーマを具体的に絞れば絞るほど天体の働きの様子が具体的なかたちで見えてきます。また、トランジット天体の働きは、社会の中で多くの部分に共通の傾向として現れてきます。このため、ある特定の会社や組織に注目してしまうと、その組織の出生図など固有の特徴が強調され、トランジットのみの影響を考えにくくなるかもしれません。しかし、注目するポイントを一般的な会社とか、一般的な組織とか、一般的な個人など、それぞれの単位の一般的な傾向に注目するとすべてに共通して影響を与えるトランジットの要素が浮きぼりになりやすくなります。つまり、統計あるいは平均的な視点の中にトランジットの純粋な影響が観察されやすくなるのです。今回は、そのような理由から青少年の問題行動と学校の対応の変遷という具体的なテーマをとり上げてみました。

まず、青少年白書から刑法での少年検挙数の統計を見てみると、1951年、1964年、1983年、1997年などにピークが見られます。そして、54年、72年、94年などに最も低い状態があります。1951年ごろの場合、問題行動を起こす少年は高校生などの有識少年が中心でしたが、64年、83年と年代を重ねる毎に低年齢化していくとともに、原因動機がはっきりしない子供が問題を起こすようになります。この中で、72年から94年までの流れには、問題行動の種類の変遷に注目してみましょう。1975年ごろは、原因動機のはっきりしない子供の「学校外での問題行動」が多く見られました。1982〜3年の頃は「校内暴力」が増加しました。1984年ごろは、「いじめ」の問題が多くなり、1986年ごろには「不登校」が問題化してきます。

これらの変化を冥王星(問題行動)と土星(管理)の動きを考えながら整理してみましょう。冥王星は、1972年まで乙女座を運行しています。乙女座のテーマは、「ちゃんとできるか」です。冥王星は、極端に不足している感覚があり、強迫観念に駆られて補充したくなるようなテーマを表すので、問題行動の原因となる動機に関わっている可能性があります。おそらく、乙女座の冥王星の時代の問題行動の原因の多くは落ちこぼれることに対する恐怖だったのではないでしょうか。できるかできないかという問題は、ある程度学業が進み習熟度の差がかたちになって現れてきやすい年齢になってから重要になる問題なのかもしれません。

1972年から冥王星は天秤座に入ります。そして、1984年に蠍座に入るまでの間、天秤のテーマに注目させています。天秤座のテーマは、「他人は何やっているの?」です。さて、この時期、問題行動の多くは校外で起こっていました。冥王星は、天秤のテーマである他人と協力することに関して常識的なやり方を覆していく働きがあります。力を合わせることに関して持っているテーマがそれまでの常識や社会秩序では扱えないほど複雑な動機を抱えているかもしれません。これは、美意識やカッコよさを追求する(天秤)深い動機かもしれません。また、天秤は目先の行動の対象(長い目で見た意義を表す山羊に対して)をも表します。つまり、いままでよりも(冥王星)いろいろなやり方がある(天秤)という主張が背景にあったのかもしれません。天秤のやり方はある意味で受け身です。楽しそうなことに誘い出されて深いテーマを意識していく傾向があるかもしれません。これらは冥王星の働きのために、解決されるべき深いテーマを形成していきます(もちろん問題は冥王星だけで語られるものではありませんがこの記事では単純なポイントのみを追いかけます)。このような動機に対して、そもそも「学校」というものは社会的なシステムとして機能します。つまり、土星の働きをもたらすものになります。あるいは、青少年に対する社会的な「対策」も土星が表す部分に入るでしょう。校外での問題行動が顕著になってきた1975年ごろ社会的には、地域などで問題行動に対して補導などを徹底して行うようになっていきます。この頃、土星は蟹座にあり、天秤座の冥王星とスクエアを形成しています。蟹座は地域のコミュニティーを表しますが、そこに秩序やルールを表す土星が入ってきていることがこの成り行きに関連しているでしょう。また、冥王星と土星のアスペクトは180度を過ぎ、コンジャンクションへ向かっています。冥王星の「複雑な問題」を基準にして、土星を「その問題に対する管理」という具合に考えると、土星は冥王星から「10ハウス的」な位置で機能していることになります。7〜12ハウスは「公の舞台」というニュアンスがあります。つまり、土星は、この時期、校外で公の社会的な秩序をつくろうと機能しています。そして、このスクエアの効果があり、地域での補導などの指導はそのエリア(公の場)での問題行動を減少させていきます。

しかし、公の場での問題行動がおさまってくると今度は学校の中での暴力の問題が浮上してきます。これは、土星が冥王星とコンジャンクションに近づくに連れて問題が大きくなり、コンジャンクションになる82〜3年には最も大きな問題になってきます。そして、それと同時に、この頃から学校内での管理体制が強化されるようになってきます。校則の強化や体罰などによる指導が行われます。コンジャンクションは、天秤座の最後で起こり、その後、84年ごろからは冥王星は蠍座を運行するようになります。このあたりでさまざまな方向転換が起こっているようです。コンジャンクションは、問題行動(冥王星)自体を管理(土星)するような体罰や校則の強化というかたちで実現されていきました。そして、表面的には問題行動(校内暴力)はおさまっていきますが、冥王星が蠍座へ入るとともに問題は新しいかたちへと変質していきます。

冥王星が蠍座に入った84年ごろからは、いじめの問題が注目されるようになります。もちろん、いじめの問題自体はその時に始まったわけではないですが、問題が深刻化し、解決しなければならないものとして注目され始めるのがこの頃でした。蠍座のテーマは、「深い心の結び付き」ですが、隠れたところで危機的な状況が進んでいくことに敏感になるのも蠍座のテーマです。また、他人との深い心の結び付きや特定の対象に注意を集中していくことが深刻な問題になっていきやすい傾向があります。土星と冥王星のコンジャンクションにより、「管理」というかたちで複雑な動機や問題行動が押さえつけられた結果、問題は水面下へ潜り、陰湿化する側面が見られました。土星が射手座へ入る86年頃には、不登校の問題も大きくなっててきました。射手座は社会参加というテーマがありますが、管理により複雑な動機が押さえられた結果はここでは射手座の方向へ噴出し、そこに秩序が求められるようになっていったのでしょう。また、冥王星の位置からは、射手座は2ハウス目にあたります(30度のアスペクト)。これは、コンジャンクションで始まった動きを安定して効果が出るように働かせようとしていく傾向があります。問題行動に対して効果的な管理をしっかりとした構造化していく方向性を持っています。射手座は、お互いに可能性を伸ばし合おうという方向性を持っていますが、ここに管理が入ると決められた方向にしか伸ばせないニュアンスになります。このような学校の管理の強化に対抗するように、不登校という問題が広がっていきます。つまり、校内暴力を押さえるための管理は、冥王星が蠍座へ入ったこととあいまって、いじめや不登校という、複雑な動機の別の表現のされ方へとつながっていったわけです。

コンジャンクションの次のターニングポイントは、スクエアです。冥王星と土星は93年ごろにスクエアになります。このころまでにいじめに関する事件はいくつか起こっていますが、このスクエアではいじめや不登校をきっかけに校内暴力の際に強化されてきた「学校の管理」が問題視されます。弁護士やPTAなどからの批判が多くなり、体罰をしてはならない、子供を理解し受け入れることが大切などの点が強調され、月に一度週5日などの「ゆとり」方針が始まります。土星は自由を目指した改革のテーマを持つ水瓶座にあり、冥王星に対しては4ハウス目にあたります。つまり、アスペクトの実際の動きとしては、学校を支える保護者や地域社会からの批判による管理のしかたの変更であり、その方向性は水瓶座の方向を向いているわけです。その後、強いPTAや弁護士などからの圧力により、学校はしっかりと管理ができなくなっていきます(土星の魚座運行)。すると、97年ごろからは「学級崩壊」という状態が問題になってきます。また、95年からは冥王星が射手座に入っています。射手座の冥王星は社会参加というテーマに関して危機感を感じさせるかもしれません。

2001〜2002年にかけて、土星と冥王星のオポジションができました。つまり、土星は、冥王星から見て7ハウス目になっています。そして、最近の問題は82〜3年のコンジャンクションのときとは反対に、校外での問題行動という点にもう一度注目が集まりはじめています。

このように、具体的な問題に絞って考えていくと、天体の影響はより理解しやすいかたちで観察できるでしょう。学校ではなく会社という組織形態についても、うまく統計的な視点が得られれば、似たような変遷が見られているはずです。また、冥王星と土星のスクエアでできた55年体制が一サイクル終わった93年に大きく変化することになり、連合政権というかたちが続いています。2002年のオポジションはその次の大きな方向転換のタイミングです。このようなさまざまな分野の流れの奥に遠い天体のサイクルの影響が働いているのです。

次回は、会合のタイミングとそのときの天体配置に関して考えていきましょう。この記事に関する質問や意見は遠慮なくお寄せください。また、占星術の個人レッスンもはじめました。占星術を洋書で学びたいという方もぜひご相談ください。詳しいことは ryuz@rr.iij4u.or.jp へメールをいただければ幸いです。

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マンデン6

□占星術のしくみとマンデン・その6

前回は、天体同士のアスペクトのサイクルが歴史の中のある側面(2つの天体の組み合わせに関連する)についての節目を形成していく様子を観察してみました。おぼろげながら大きな動きの周期が感じられたかもしれません。今回は、これまでに見てきたような2つの天体の間のアスペクトの周期ではなく、牡羊座から魚座へと進んでいくサインの周期を考えてみましょう。

まず、始めにサインとは何なのかを改めて考えてみます。第一に、サインというのは、地球から見た太陽の通り道であり、ほとんどの惑星がその付近(上下約10度以内)を運行する「黄道」を30度ずつ12に等分したものです。そして、その分割の基準になっているのは「春分点」です。春分点というのは、この黄道と地球の自転を表す赤道との交点です。つまり、春分点は、太陽系やそのさまざまな惑星の影響が地球(赤道)へ伝わってくる通り道だと考えることができます。そして、これを基準にして12等分したサインは、太陽系のどのような側面の影響が地球へ入り、どのような分野や領域の経験として積み上がってくるかということを表すものさしと考えることができるでしょう。つまり、サインは、さまざまな天体の影響が地球上にできあがる生命や組織の構造の中でどのような働きをするか、相互作用をするかということを整理する基準になっていると考えられます(太陽系を「エネルギーが全体でまとまって動く姿」と考えると、それが地球を基準にして構造化する様子)。例えば、太陽が12サインを一周してくるのに合わせ、一年草は、芽を出し、根を伸ばし、つぼみをつくり、花を咲かせ、実をつけ、種をばらまき、冬を越すなどの生命の過程を繰り返します。地球上でのいろいろな次元での組織の盛衰が天体のサイン運行に合わせて巡っているようです。

これは、天体同士のアスペクトのサイクルとは少し異なって働きます。天体同士のアスペクトの場合、それぞれの機能が「直接作用しあいながら」お互いの質を変化させていきます(あるいはそのように感じられます)。しかし、サインの運行は、それぞれの天体が残していく影響を地球上の生命や組織が「記憶、再想起」しながら時間を越えて影響し合っている「場の中での相互作用」のようなものです。このため、組織のいろいろな次元で構造ができては作り直されていく、生命の複雑な構造ができあがります。サインは、また、このような地球上に現れてくるさまざまな生命や組織の構造の変化に関係があるのかもしれません。

では、このような地球上での生命や組織の構造が変遷していく様子を天体の運行と歴史を照らし合わせながら観察してみましょう。例えば、まず、最初に私が注目したのは、冥王星のサイクルと日本における「国」をつくるシステムの変遷の関係です。まず、冥王星は240〜50年程度で12サインを一周します。冥王星が牡羊座を通過したタイミングからだいたいのサイクルを考えてみましょう。

840 > 1080 > 1330 > 1570 > 1820  (冥王星が牡羊座の頭を通過しただいたいのタイミングです)

次に、日本の社会に現れた各時代の統治構造(幕府)の盛衰をまとめてみましょう。

平安時代 794 (842:承和の変) >
鎌倉幕府 1192:幕府成立 >
室町幕府 1392:南北朝統一 >
江戸幕府 1603:幕府成立 >
明治時代 1868:明治維新 >

どの時代も、だいたい冥王星が牡羊座を通過した後、牡牛座あるいは蟹座のあたりで幕府(中央政府)が成立しています。冥王星は、実際の権力が波及する範囲を確立するようなイメージがあります。12サインの周期全体を1サイクルとは一概にはいえない部分もありますが(その中にいろいろなサブサイクルが考えられるなど)、ここでは大まかな流れがつかめればよいと思います。平安時代は、京都への遷都から始まるといわれていますが、この時代を「藤原氏が権力を確立していく時代」と考えると冥王星が牡羊座に入ってから起こった「承和の変」からの流れが整理できるでしょう。その後、武士が台頭し、源平の争いから源氏>北条氏が権力を確立していく流れが次の鎌倉時代をまとめていく冥王星のサイクルです。室町時代の場合、ちょうど鎌倉幕府が滅亡するとともに次の冥王星のサイクルが始まります。最初の牡羊座では南北朝で対立していますが、最終的には足利氏が統一し、権力を握っていきます。江戸時代への変遷時には、冥王星が牡羊座を運行している間に織田信長や豊臣秀吉などが全国へと勢力を広げ、それを徳川家康が引き継ぐかたちで江戸幕府が成立しています。江戸時代は、次の冥王星のサイクルに入ってもなお続いていましたが、それでも冥王星が牡羊座に入ると新しい方向へ進もうとする動きが活発になってきます。

では、もうひとつ、土星のサイクルを参考に、12サインの内部での移り変わりについて観察してみましょう。土星は、人々がみんなで採用する共通の社会システムや秩序に関わります。約30年で12サインを一回りします。つまり、土星は社会の秩序形成に関する30年ごとのサイクルをつくっているのです。この12サインは、さらに細かく火>地>風>水という4つの元素の順番の流れが3つから成り立っています。火>地>風>水の流れは、ちょうど、ものごとの起承転結の段階のように進んでいきます。例えば、第二次世界大戦前の1937年ごろ土星は牡羊座を運行していましたが、それから土星が蟹座の運行を終えるまでの期間は、戦争に関する起承転結のような流れができています。1937年には、日華事変をきっかけに日中戦争が起こります。火のサインは各々の要素が自分が何者かをはっきりさせようと試み始めます。とくに牡羊座は12サインの中でも始めなので、自分が何者なのかということを確立しようとする行動を始めやすい時期です。土星が牡牛座に入ったのは、1940年の春ですが、この頃になるとそれぞれの社会組織は新たに行動に移したものの結果を身にしみて感じるようになります。日本では経済的な矛盾を体験しながら、陸軍の強硬な姿勢が流れを引っ張り、太平洋戦争へと進んでいきました。1942年からは土星は双子座へ入っていきます。双子座は、自身の状況を把握するための情報収集や会話などが活発になる時期です。国や組織の状況や方向性について教育熱心になったり、活発な議論があったかもしれません。そして、起承転結の結にあたる蟹座へは、1944年から入っていきます。蟹座へ入って間もなく終戦を迎えることになりました。このように、12サインは単に一周するだけでなく、その中で細かいテーマの起承転結がいくつか繰り返されながら進んでいきます。

12サインには、4元素による起承転結の流れのほかに、4つの動きのターニングポイントがあります。それらは、春分や夏至、秋分、冬至など太陽の動きの特徴が変化するタイミングに対応し、活動サインの頭にあります。春分ポイントである牡羊座の頭は、北半球で昼が長くなり始める点であり、新しいテーマが動き始めます。夏至ポイントである蟹座の頭は、昼が一番長くなる点であり、短くなり始める点でもあります。このターニングポイントでは、牡羊座で動かし始めてきた新しいテーマとこれまでに培われてきた古いやり方や文化、集団的な動機を「組み合わせる」ことが重要になるでしょう。1944年6月20日には土星が蟹座の頭に来ていますが、日本軍はマリアナ沖海戦で敗北します。そして、これがある意味でのターニングポイントになり、戦後の展開へとつながっていきます。74年4月19日にも土星が蟹座の頭を通過しますが、ちょうどこの頃、日本消費者連盟が結成され、金権政治が批判されるなど民衆(文化の担い手)が指導者や社会権力を批判する動きが強まります。

天秤座は、昼よりも夜が長くなり始めます。例えていえば、分配する源のエネルギー供給よりそれを必要とする消費需要の方が大きくなり始めるようなもので、エネルギーの「使い方の工夫」が必要となり始めるポイントです。このターニングポイントは互いに協力し始めるようなテーマがあるかもしれません。1950年11月21日や1951年8月14日に土星は天秤座に入ります。この頃は、サンフランシスコ講和条約が結ばれ、さらに日米安全保障条約が結ばれていきます。また、1980年9月21日にも土星は天秤座の頭を通過していますが、このころアメリカではレーガンが大統領に当選し(その後、日本で中曽根内閣が成立すると「ロンやす」などと協力関係が強調される)、日本では次第に貿易問題が深刻化していきます。次のターニングポイントは、山羊座の頭で、天秤座から始まった動きを社会や組織全体の秩序に組み込まなければならない葛藤として現れるでしょう。土星は、1959年1月5日に山羊座の頭を通過していますが、この頃は日米安保に関して活発な反対運動が強まり、これを乗り越えて新安保条約を結んでいく必要に迫られました。1988年2月14日や1988年11月12日にも土星は山羊座の頭を通過しましたが、このころレーガン大統領は、ゴルバチョフ書記長との間でINF全廃条約調印にこぎつけました。この動きはさらに「ベルリンの壁」の撤廃や「東西冷戦の終結」宣言にもつながっていきます。日本では、リクルート疑惑により政治のあり方が問いただされる時期になっていました。つまり、これらは社会体制(組織全体の秩序)の中に天秤座の「協力」の動きから始まった要素を取り入れていったための変化ということができるでしょう。

アスペクトの場合は、変化や成長をもたらそうとするエネルギーや意識のリズムだと考えられますが、天体の12サインを運行するサイクルは、それらのエネルギーが地球上でのものごとや概念に対してどんな影響を残していくかという視点で認識することができそうです。これらの天体の影響を整理して理解していくことにより、世の中のできごとの流れと天体の影響力の関係をよりはっきりと認識できるようになるでしょう。

次回は、やはり12サインについてもう少し天体の種類による役割の違いを意識しながら考えてみましょう。この記事に関する質問や意見は遠慮なくお寄せください。また、占星術の個人レッスンもはじめました。占星術を洋書で学びたいという方もぜひご相談ください。詳しいことは ryuz@rr.iij4u.or.jp へメールをいただければ幸いです。




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マンデン5

□占星術のしくみとマンデン・その5

今回は、歴史を振り返りながら外惑星のサイクルの流れを考えてみましょう。絵の具を浮かべた水を棒でかき混ぜているところを想像してください。棒の動きは直接絵の具には影響を与えませんが、それが水の流れを作ると絵の具は大きく模様を変えていきます。外惑星の動きは、この水をかき混ぜている棒の働きのようなものかもしれません。しかし、歴史は絵の具の模様の変化しか記録されていないので、天体の動き自体と直接のタイミングで具体的なできごとが起こっていないかもしれません。しかし、大きなトレンドの流れとして追いかけてみると影響が見えてくるのではないでしょうか。

冥王星と海王星

まずは、もっとも周期の長い冥王星と海王星のサイクルを考えてみましょう。このサイクルは約500年弱ごとに起こっています。冥王星は、太陽系の惑星の中でもっとも遠い軌道をもっています。また、直接肉眼では認識することができません。その点から冥王星の意味を考えると、自分が属している組織の影響範囲の限界に関係すると考えられます。あるいは、自分が認識している世の中や宇宙の全体像を象徴するかもしれません。肉眼で見える限界である土星とともに、やはり限界を表す冥王星は、ある種の存在的な危機感を感じさせる働きもあるかもしれません。私は、冥王星にまつわるテーマを「組織的な機能を全体に行き渡らせよう」という側面、そして、「全体」は常に拡大あるいは深く浸透しているので「統制がとれなくばらばらになってしまう危機感」のような側面などに分類しながら考えます。太陽から発せられたさまざまな新たな展開は、時間をかけて、より深く遠く全体の中へ浸透していきます。そんな浸透の境界の部分の様子が冥王星のテーマに現れているのではないでしょうか。海王星は、冥王星の境界へ向けて拡大する部分がテーマです。柔軟のサインである魚座の支配星になっている海王星は、意識を流通させ混ぜ合わせ混合していくことがテーマです(木星や水星も同様のテーマをもっています)。冥王星と同様、肉眼では見えない次元で動いているので、深層心理など目に見えない全体のつながりに関することがテーマになります。海王星は夢や理想などに結びつけられているのはこのためでしょう。さて、このような冥王星と海王星が形成するアスペクトは、世の中全体(冥王星)に関する精神的な理解(海王星)が発展していくサイクルとして考えられるかもしれません。これらは、とくに、宗教的な思想がどのように形成され広がっていったかということを追いかけると見えてくるかもしれません。

-577 Ne Cnj Pl ギリシャ哲学、儒教、仏教などの成立
-83〜 -82 Ne Cnj Pl キリスト教成立
411〜 412 Ne Cnj Pl キリスト教ローマ国教化、道教、(イスラム教)、(封建社会)

このあたりまでの歴史では、冥王星と海王星のサイクルは、ある程度分かりやすいかたちで古典的な宗教が生まれてくる時期と重なっています。イスラム教は、マホメットがアラーの啓示を受けるのが610年ごろなのでタイミングはだいぶずれていますが、冥王星と海王星がコンジャンクションになったころには、マホメットの属するクライシュ族がメッカ付近の支配権を握り、イスラム教成立の環境を作っていました。また、この411年からの時代は、ヨーロッパでは、民族大移動が起こり、次々と部族国家が成立し、封建社会や荘園制度のような社会のしくみが生まれてくる過程でした。

905 Ne Cnj Pl 都市の発展、中央集権化

このころから安定した荘園制に対し、商業が発達し、貨幣交換経済が盛んになるにつれ都市が力をつけていきました。十字軍がつくられ遠征を繰り返すようになっていくともに、荘園は解体され、王権が強化されていきました。

1398〜1399 Ne Cnj Pl ルネッサンス、膨張拡大へ、絶対王政

このころは、中央集権はやがて絶対王政へと発達、その裏でルネッサンスが始まるとともにさまざまな学問が発達、さまざまな思想が生まれ啓蒙が進み、やがて、市民革命へとつながっていく過程でした。

1891〜1892 Ne Cnj Pl 現代の世界観

世界大戦が起き、国際連盟・国際連合ができ、情報化が進み、世界全体の動きを意識しなければならない時代になってきました。

後半のほうからは、あまりはっきり動きは認識できないかもしれませんが、これらのコンジャンクションの時期に社会全体へ浸透していくような宗教や思想、社会構造の理想像のようなものができ、それが世の中へ広がっていくと同時に、他の要素と対立したり凌駕していくサイクルのようなものが感じられるかもしれません。

冥王星と天王星

これは、110〜140年ほどの周期で起きています。海王星が精神的な部分の理想的な統一イメージを象徴するのに対し、天王星は具体的な表現のしかた活動のしかたに関する理想論を作ろうとします。冥王星と天王星は、組織的な活動を具体的に行っていく際の理想的な方法論(天王星)に関して、世の中全体がうまく動くようなもの(冥王星)を探そうとするのではないかと思います。もちろん、すべてが同じ規則に従うことは無理があるので、実際には、これまで従ってきた狭い範囲でのルールを改め、組織を解体する方向で働くことが多いでしょう。その後、土星の力により、改めて狭い範囲の構造ができていくのです。しかし、このときには、無意味に残っていたものは再生されないでしょう。

これについては、オポジションと一緒に見てみましょう。コンジャンクションは、テーマやアイデアが動機として生まれます。そして、オポジションでは、それが公に表現されていく過程を象徴します。つまり、それらしいできごとをオポジションの時期に見つけ、そのテーマの始まりをコンジャンクションのころに確認してみるとおもしろいかもしれません。

例えば、

1597〜98 Ur Cnj Pl イギリスで議会の復権
1648〜49 Ur Opp Pl イギリス市民革命(清教徒革命)

などの動きに見られるかもしれません。また、

1710 Ur Cnj Pl 啓蒙思想の発達
1792〜94 Ur Opp Pl アメリカ・フランス革命

でも、やはり、オポジション付近で社会的な動きとして現れてきているようです。

1850〜51 Ur Cnj Pl マルクス共産党宣言
1901〜02 Ur Opp Pl (社会主義革命)

ロシアの社会主義革命は1917年に起きているので、オポジションからはだいぶ時間が経っていますが、コンジャンクション時に「社会の理想構造論」が生まれ、オポジションからのサイクルでそれを実際の社会へ反映させていく動きが起こるという流れには沿っているでしょう。また、例えば、アメリカでは1850年ごろに奴隷解放の思想が広げられるとすぐに1861年からの南北戦争というかたちで行動化されるなど、もともとある動きに拍車をかけるだけのような現れ方をする例も見られます。

海王星と天王星

海王星と天王星は、およそ170年ごとの周期で一連のアスペクトを形成しています。前回の記事でも考察したように、天王星と海王星の組み合わせは、集団の全体的な視点からの「具体的活動や組織構造の方法論(天王星)」と「精神的な一体化のあり方の理想(海王星)」の両立を目指す工夫です。コンジャンクションの時期には、そのような方向の新たな動きが起こる可能性があります。

1478〜79 Ur Cnj Ne ダビンチ・コペルニクス
1650 Ur Cnj Ne ベーコン・デカルトからニュートンへ
1821 Ur Cnj Ne さまざまな基礎科学の進歩

この天王星と海王星のサイクルは、発明や発見のもとになる理論の形成(コンジャンクション)とその社会的な応用(オポジション)のサイクルのように感じられます。例えば、コペルニクスの地動説は、始めは社会的には受け入れられないが(コンジャンクション)、ケプラーが証明し広く受け入れられるようになっていきます(オポジション)。また、ニュートンなどの近代自然科学体系の確立(コンジャンクション)は、その後の産業革命の社会的な動きに消化・吸収されています(オポジション)。その後、次のサイクルが始まると、まず、さまざまな基礎科学が進歩していき(コンジャンクション)、20世紀に入ると電気工学や化学工業など基礎科学が次々と社会的に一般大衆の生活へ応用されていく道が開かれていきました(オポジション)。とすると、1993年よりまた新たな次元の基本的な考え方や理論が形成されていくサイクルに入ったと考えることができます。

こうして追いかけてみてわかるのは、遠い天体のアスペクトは、それが形成される正確な時期に歴史に記録される大きな事件が起こっているわけではなく、背景に潜む大きな流れができているということです。それらを意識しながらもう一度歴史を振り返ってみると、いろいろな動きがどのような方向を目指しているのか、新たな観察ができるかもしれませんね。そして、それらを認識することにより、これからどのような方向へ進んだらよいのかを考えていくヒントが得られるかもしれません。

次回は、このような天体のサイクルに「サイン」という視点も加えてみましょう。この記事に関する質問や意見は遠慮なくお寄せください。また、占星術の個人レッスンもはじめました。占星術を洋書で学びたいという方もぜひご相談ください。詳しいことは ryuz@rr.iij4u.or.jp へメールをいただければ幸いです。


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マンデン4

□占星術のしくみとマンデン・その4

今回も、外惑星のつくる「社会心理のトレンド」について考えてみましょう。今回は、10年デフレと呼ばれた90年代を考えてみましょう。前回は1年程度の間にある特定の外惑星のアスペクトがどのように現実化してくるかということを考えました。今回は、期間を少し延ばし、特定のアスペクトではなく、いくつかの外惑星アスペクトが織りなしていく流れを全体的につかんでいこうと考えます。では、さっそく10年間に起こったアスペクトを見てみましょう。焦点を絞るために、今回は土星から冥王星までのコンジャンクション(Cnj)、オポジション(Opp)、スクエア(Sqr)を抜き出すことにします。(土星=Sa、天王星=Ur、海王星=Ne、冥王星=Pl)

199302-02,17:10,Ur Cnj Ne
199308-20,16:49,Ur Cnj Ne
199310-25,05:14,Ur Cnj Ne

199303-20,11:51,Sa Sqr Pl
199310-09,15:53,Sa Sqr Pl
199401-02,11:39,Sa Sqr Pl

199806-26,07:26,Sa Sqr Ne
199811-01,10:42,Sa Sqr Ne
199904-07,00:03,Sa Sqr Ne

199907-18,12:55,Sa Sqr Ur
199911-14,18:41,Sa Sqr Ur
200005-13,17:35,Sa Sqr Ur

アスペクトの天体別にまとめたので、時期は前後しているものもあります。土星から冥王星までのハードアスペクトという条件に絞ると、この10年の間にこの4種類しか起こっていません。逆行があるので、それぞれのアスペクトは3回ずつ起こっています。さらに、これらは、おおまかに93〜4年と98〜9年の2つの期間に集中していることがわかります。

10年デフレといわれたこの時代は、大きく社会構造が変化してきました。それがどのような変化だったのかということを、これらのアスペクトの流れから振り返り、まとめてみたいと思います。

まず、とても注目すべきことは、1993年に起きた天王星と海王星のコンジャンクションです。このアスペクトは、200年弱のとても長い周期をもち、前回コンジャンクションになったのは1820年ごろです。このような長期的なサイクルに関係するアスペクトは、ゆっくりと変化する社会全体の時代の変化のようなものに関わるのではないでしょうか。このころは、まだ、日本は江戸時代で飢饉や外国からの影響により開国し、明治維新へと続いていくような時代でした。それからこのアスペクトが一巡する間に社会は大きく変貌してきました。このアスペクトは、そのぐらいゆっくりした社会の変化に関連するような部分に影響しているのでしょう。

ちなみに、土星より外側の惑星同士のアスペクトは、このようなとても長期に渡るサイクルに関係します。海王星と冥王星は、500年近い長さのサイクルになっており、前回起こったのは19世紀の終わりごろです。天王星と冥王星は、110〜140年程度で1965年ごろに起こっています。これらもそれぞれゆっくりした社会の時代的な変化やそれの基本になるような個人個人の意識的な成長に関わっていると思います。

では、1993年に起こった天王星と海王星のコンジャンクションはどんな影響があったのでしょうか。まず、それぞれの天体の意味に基づいて考えてみましょう。天王星は、「改革」とか「最先端技術」などのキーワードが結び付けられています。私はこれを、「広い範囲での具体的な情報交換に基づき、世の中や社会で実際に働く原理や影響力の全体像を明確につかみ、応用すること」に関係すると考えています。一方、海王星は、「理想」や「夢」などのキーワードが結び付けられています。これは、「広い範囲での心の交流に基づき、世の中や社会で働く原理や影響力の全体像を感じとり、その影響下で活動しようとすること」に関連すると考えられるでしょう。それらの2つがあわさると、ものごとの表面的な成り行きとその背後の心の動きの関係を意識することがテーマになりそうです。そして、それらが社会全体の組織的な活動にどのように影響を及ぼしていくかを理解するような体験がいろいろな場面で観察されそうです。この時期のいろいろなできごとの背景にそんな方向性が考えられるかもしれません。

しかし、この同じ時期には、それだけではなく、土星と冥王星のスクエアもできています。土星と冥王星は、前回もテーマになりましたが社会的な構造を根本から見直していこうという方向性を持っています。みんなで共有する構造(土星)を個人個人の本音がなるべく多く反映されるように作り直そう(冥王星)ということです。スクエアのアスペクトは、それらの2つの原理が取り上げようとしているテーマが異なり、集団対個人や保守対革新などの一見相入れない対立や葛藤のようなかたちで表面化しやすいことを示します。

93年ごろには、これらの2つの大きな影響が働いていました。この時期のできごとを思い出してみましょう。ちょうど、このころ、もっとも印象的なできごととしては、7月の総選挙で自民党が過半数を割り、「55年体制」と呼ばれた自民党の安定政権が崩れ、細川首相の連立内閣が生まれたことでしょう。このとき、さまざまな新党が生まれました。金丸元自民党副総裁が逮捕されたことをきっかけに、多くの自治体とゼネコンの癒着事件が明らかになっていきました。「政・官・財」癒着に対する国民の強い批判がこの動きを促進していたと考えられます。冷夏のため米不足が起こり、政府は米市場の部分開放を認めました。海外では、EC総合市場が発足しています。

すでに確立された権力に対する国民の不満は、土星と冥王星の組み合わせのときに現れやすいテーマでしょう。2001〜2002のオポジションのときも「構造改革」が意識されながら、政治家と官僚、財界との癒着構造が問題視されています。しかし、この93年は、同時にもう少し長期的な流れである天王星と海王星のコンジャンクションが起こっています。このテーマはどう現れているのでしょうか。私は、このような長期的な流れの影響は、少し範囲を広げて考えてみると理解しやすいように思えます。

少し前に戻り、1989年には、ベルリンの壁が崩壊、そして、1991年にはソ連が消滅し、長く国際的な問題の中心になっていた冷戦構造がなくなっていきます。このころ私はFENなどを聴いたときに、どこかの学者が「冷戦というテーマがなくなった今、これから重要なテーマになるのは家族だ」といっていたのを印象的に思い出します。一方、1990年にはイラクがクウェートに侵攻し、これは湾岸戦争へと発展していきます。このころ、私の記憶では、パソコン通信が発達し、インターネットが普及し始める兆しが見えてきていたと思います。そして、経済的な側面ではバブルの崩壊から10年デフレへと続いていく時期でした。

大きな意味で、このころに個人個人が意識する対象の転換が起こってきている気がします。それまでは、強い国の代表みたいなものがあって、どちらに属するかということで自分の国の立場を確保する発想があったかもしれません。あるいは、大企業に属すことで安定が確保できるという感覚があったかもしれません。要するに何かすでにできあがっている価値観を想定できたのです。そのような意識は、このあたりの時期から急速に変化し、多くの国々で民族の自治や独立の動きが強まり(とくにソ連の弱体化による東欧地域など)、企業はリストラを行うため、社員の会社への従属意識は一般にだんだん弱まっていっただろうと考えられます。同時にインターネットなどの情報交換の手段が発達し、小さな集団よりもより普遍的な価値観を求めていったのでしょう。土星は、上下関係のはっきりした構造を作り、時間と場所を特定し、枠の中で機能する構造を作りながら、物質的な存在の安定を作っていきます。しかし、土星より遠い天王星や海王星は、そんな土星の作った構造を飛び越えて具体的な(天王星)あるいは心理的な(海王星)情報交換を行う働きをもっています。そして、それらの情報が活発に交換されると、土星の作った構造の部分は、透過され、事実上意味がなくなったり、変化を余儀なくさせられたりするでしょう。つまり、天王星や海王星が協力しながら強く働く時期には、それまでの枠を越えてさまざまな情報が流通し、新たな秩序を求める意識が活発になると考えられるのです。

そして、93年以降、私は、個人と個人、あるいは、組織と組織の間で交換あるいは共有される情報量が一段階増えたのだろうと考えています。簡単に表現すれば、「インターネットが当たり前の時代」が始まったということでしょう。会社にとっては社員、国にとっては国民がとても多くの情報をもち、頭がよくなっているので、会社や国が安易なリーダーシップをとれないような状態が起きてくるわけです。さらに、個人と個人がお互いを理解し合う際にも、より深く理解し合えるための一般的な概念(つまり、個人の差を飛び越えて共有できうる概念)が増えているのではないかと思います。

さて、93年ごろのテーマが少し把握できてきました。これが、1998〜99年ごろにどんな展開をするという部分は、もうひとつおもしろい題材です。それは、ちょうど天王星と海王星のコンジャンクションが起こったころ(正確には起こる少し前ですが)、土星もそのコンジャンクションに加わっていたのですが、その土星がこの時期には、海王星と天王星に対して相次いでスクエアを形成していったからです。

前回の記事の中では、土星と冥王星のオポジションに対して、早い周期の天体がアスペクトをしながら身近な現象の中でそのテーマを意識化させていく様子を考えました。同じ原理が、この天王星や海王星と土星の間でも成立します。より長い周期の天王星と海王星は、より深いところにある背景の原理を示しますが、土星はそれらを目に見える社会構造の中に表面化させてくる役割を果たします。つまり、この98〜99年のアスペクトの影響で、天王星と海王星のテーマが目に見える社会構造やルールなどの次元に積極的に表面化してくるわけです。

このころには、金融ビッグバンが具体化され、銀行や大手証券会社を含む大型倒産が相次ぎ、失業者が急増、さまざまな業界で再編成、再組織化が行われていきます。金融ビッグバンというのは、金融に関するルールやしきたりを日本の独特なローカルルールに基づいて行ってきたものを世界の標準的な動きに合わせていく動きです。天王星と海王星の「地域に縛られない原理」を働かせようという意識が土星の力により具体的な構造へ反映されていく流れとして捉えることができると思います。同様の動きは、古い閉鎖的な構造の存在の仕方に大きな打撃を与えていき、融通がきかず変化に対応しきれないもの(土星)は分解再編成されていくことになったのでしょう。明確なかたちではありませんが、よく整理してみるとこれらの天体の影響が背景に反映されていることが見えてくるのではないでしょうか。そして、これらの流れが前回テーマとしてとりあげた土星と冥王星の「構造改革」、そして、新しい秩序を作ろうとする動きへとつながっているのでしょう。

次回は、さらにもう少し長い視点でいろいろな周期を考えていきましょう。この記事に関する質問や意見は遠慮なくお寄せください。また、占星術の個人レッスンもはじめました。詳しいことは ryuz@rr.iij4u.or.jp へメールをいただければ幸いです。





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マンデン3

□占星術のしくみとマンデン・その3

前回は、まず、木星から冥王星までの外側の天体のアスペクトにより、集団心理のトレンドを考えようという話をしました。今回は、それらの影響が実際にはどのように働くのかということを具体的な例で追いかけてみましょう。理論というより、天体の動きやアスペクトの形成のされ方を事例を追いながら考えていこうと思います。

注目するのは、冥王星と土星のオポジションと日本の構造改革に関する動きについてです。できごとの細部よりも大まかな流れと天体の関係についてを考えてみてください。まず、冥王星と土星のオポジション自体とそれらの影響を活性化していく近い天体とのアスペクトなどをリストしてみます。参考に冥王星と土星に関しては方向転換する時期も加えました。なお、このオポジションに対して近い天体がアスペクトする時期は、天体ごとにまとめたので多少前後している部分もあります。(☆印が冥王星と土星のオポジション。◎や●、□は、近い天体がコンジャンクション、オポジション、スクエアアスペクトを形成する時期です。)

( ) 3/18/2001 6:13am Pluto S/R

( ) 4/21/2001 6:41am Saturn (Tau) --> Gemini

(◎) 5/ 7/2001 3:24pm Mercury (Gem) Con (Gem) Saturn
(◎) 5/15/2001 3:07am Mercury (Gem) Opp [Sag] Pluto

(◎) 5/25/2001 9:20pm Sun (Gem) Con (Gem) Saturn
(◎) 6/ 4/2001 9:10pm Sun (Gem) Opp [Sag] Pluto

(◎) 7/15/2001 4:17pm Venus (Gem) Con (Gem) Saturn
(◎) 7/17/2001 7:01pm Venus (Gem) Opp [Sag] Pluto

(☆) 8/ 6/2001 7:26am Saturn (Gem) Opp [Sag] Pluto

(□) 8/21/2001 12:40pm Mercury (Vir) Squ [Sag] Pluto
(□) 8/22/2001 6:09am Mercury (Vir) Squ (Gem) Saturn

( ) 8/23/2001 9:35pm Pluto S/D

(□) 9/ 5/2001 11:19am Sun (Vir) Squ (Sag) Pluto
(□) 9/ 7/2001 1:04pm Sun (Vir) Squ (Gem) Saturn

( ) 9/27/2001 6:41am Saturn S/R

(□) 10/ 2/2001 1:33am Venus (Vir) Squ (Sag) Pluto
(□) 10/ 3/2001 3:50pm Venus (Vir) Squ [Gem] Saturn

(☆) 11/ 2/2001 9:38am Saturn [Gem] Opp (Sag) Pluto

(●) 12/ 3/2001 11:05pm Sun (Sag) Opp [Gem] Saturn
(●) 12/ 7/2001 1:14pm Sun (Sag) Con (Sag) Pluto

(●) 12/ 4/2001 9:42am Mercury (Sag) Opp [Gem] Saturn
(●) 12/ 6/2001 5:27pm Mercury (Sag) Con (Sag) Pluto

(●) 12/11/2001 11:28am Venus (Sag) Opp [Gem] Saturn
(●) 12/15/2001 2:12am Venus (Sag) Con (Sag) Pluto

(□) 12/22/2001 11:00pm Mars (Pis) Squ [Gem] Saturn
(□) 12/31/2001 5:02am Mars (Pis) Squ (Sag) Pluto

( ) 2/ 8/2002 10:11am Saturn S/D

(□) 2/18/2002 10:08pm Venus (Pis) Squ (Gem) Saturn
(□) 2/26/2002 10:02am Venus (Pis) Squ (Sag) Pluto

(□) 2/27/2002 12:43pm Sun (Pis) Squ (Gem) Saturn
(□) 3/ 8/2002 5:44pm Sun (Pis) Squ (Sag) Pluto

(□) 3/18/2002 6:22am Mercury (Pis) Squ (Gem) Saturn
(□) 3/23/2002 4:21am Mercury (Pis) Squ [Sag] Pluto

(◎) 5/ 4/2002 2:46pm Mars (Gem) Con (Gem) Saturn
(◎) 5/ 9/2002 7:45am Mars (Gem) Opp [Sag] Pluto

(◎) 5/ 7/2002 9:01pm Venus (Gem) Con (Gem) Saturn
(◎) 5/10/2002 3:31am Venus (Gem) Opp [Sag] Pluto

(☆) 5/26/2002 2:52pm Saturn (Gem) Opp [Sag] Pluto

(◎) 6/ 7/2002 2:00pm Sun (Gem) Opp [Sag] Pluto
(◎) 6/ 9/2002 8:08pm Sun (Gem) Con (Gem) Saturn

(◎) 6/29/2002 12:48am Mercury (Gem) Opp [Sag] Pluto
(◎) 7/ 2/2002 8:22pm Mercury (Gem) Con (Gem) Saturn

データが並ぶと目が回ってしまうかもしれませんが、整理してみると流れがよく見えてきます。まず、土星と冥王星のオポジションは、2001年の8月、11月、2002年5月と3回正確に形成されています(☆印)。つまり、それらを中心とした時期に土星と冥王星のオポジションというテーマが強く意識されやすくなるわけです。冥王星は、ある組織や集団に属する個々の要素のそれぞれが実際には何を求めているかということを強く意識して動くため、組織全体の動向に強く影響を与えていく力として働くというような機能を示しています。例えば、普段は頼りないが生命の危機の際に火事場の馬鹿力が発揮されることを考えてみましょう。通常は、いろいろな動機がさまざまな方向に働いており、ある程度大まかな合意により方向を決めています。しかし、「生命の危機」のような特殊な状態になるとみんなが一斉に危機回避を求めるので、一団となって強い力を発揮することができるのです。そういう個々の要素の動機が一団となったときに組織として動く力が発揮されるということが冥王星のテーマの一つになっています。一方、冥王星の「内面の動機」に対して、土星は多くの人々が実際に協力して動くための秩序やルールを決め、それにしたがって動かそうとします。遅い天体のほうがゆっくりしたテーマを持っていて、早いほうの土星は冥王星の動機を集団でまとめて行動化していく機能を果たします。これは、国などではちょうど政治の中枢のような働きになるかもしれません。内閣から官僚、国や地方の機関など、ルールを決めながら全体を動かしていく機能を表しています。つまり、土星と冥王星のオポジションは、国民生活の実情(冥王星)に合わせて公共機関の働きやルールなどを変えていかなければならないという集団的な認識には強くかかわっているでしょう。このテーマは、小泉内閣の成立と構造改革の流れの中に見ることができると思います。

小泉内閣は、とても高い支持率で成立しました。日本の政治という構図の中では、冥王星は国民全体の本音の働きとして考えられるでしょう。小泉内閣は、ある意味で冥王星を強く意識し、冥王星に支えられた(少なくとも発足時は)政権だと考えることができるでしょう。これに対して、土星はこれまでの構造やルールを守って動かしたいところを表します。これを小泉首相は「抵抗勢力」とも呼びました。つまり、構造改革は、多くの国民の支持(冥王星)を意識した小泉首相が中心となりさまざまな現行の社会の仕組みやルール(土星)を改革しようとしている動きだと考えられます。このとき、冥王星と土星の対立は、いつも、国民の本音の総合(冥王星)と確立された社会的なルール(土星)の間だということを忘れてはならないでしょう。実際の人物や機関などは状況に合わせていろいろな天体の影響を体現するでしょう。例えば、小泉首相は、冥王星の立場に立って改革の推進を訴えるときもあれば、「首相自身が抵抗勢力(土星)だ」といわれるときもあるのです。

さて、時期リストに戻りましょう。まず、このリストには、土星と冥王星のオポジションが逆行などのために3回正確に起こる過程が日付の順に表されています(☆印のついているもの)。つまり、この期間を中心にして土星と冥王星はオポジションの近辺にあるとであり、対立が強く意識されていることになります。それに対して、より速度の速い天体が順番にアスペクトを作っていきます。ここでは、速度のとても速い月は除外し、水星、金星、太陽、火星の各天体が土星及び冥王星に対して、コンジャンクション、オポジション、スクエアのアスペクトを形成する時期をリストしました。もちろん、月やその他の天体、そして、他のアスペクトもそれなりの影響はありますが、ここでは限定することにより顕著な動きだけを追いかけることになります。構造改革(というより、国民の意識と国を動かすシステムの現状の対立)のすべての流れが浮彫りになるわけではありませんが、重要な流れの展開は理解できると思います。

外惑星のアスペクトは、正確なものが一度だけで過ぎていく例もありますが、多くの場合は逆行のため3度に渡って起こります。さらに、5回起こることもあります。いずれにしても、アスペクトが正確に形成されている時期付近は、2つの天体はアスペクトができる近所にあります。このとき、別のより速い天体は、これらの外惑星の片方の天体とのアスペクトを通過した直後にもう片方の天体とアスペクトすることになります。そして、外惑星のアスペクトのオーブが狭いほど、速い天体が次々とそれぞれにアスペクトを作っていく期間が短くなります。この期間が短いほど、すぐに対立する反対側の天体が意識されることになり、強い反応として意識されるかもしれません。周期の速い内惑星は、とくに太陽と水星、金星はだいたい一年でホロスコープを一周します。このため一年ほどの期間を見れば、オポジションのそれぞれの天体に対してコンジャンクション、スクエア、オポジション、スクエア、そして、コンジャンクションと一周しながらさまざまなアスペクトを作っていく様子を観察できます。そして、その動きに合わせて起こる現象を通して冥王星と土星の対立が意識されていくことになります。水星の場合は、言葉や情報、方法論の作成や提案などの中に見られるかもしれません。金星の場合は、経済や価値を置こう、大切にしようとする対象、協力関係や協調などを通して、太陽はリーダーシップや全体的な状況認識と方向づけ、そして、火星は思い切った行動化や決断、実施などとして現れるかもしれません。

では、実際の動きを振り返ってみましょう。まず、物語は、土星が、冥王星のある射手座とは反対側のサインである双子座に入った時点から始まります。双子座に入るのは、2001年の4月21日ですが、小泉内閣はだいたいそのころに成立しています。射手座の冥王星は、広い世界へ意識が拡張した結果、全体をまとめる哲学がしっかり働いていないことに気がつき、それを作り出そうとする動機が組織全体の中で強く働きます。そして、双子の土星とのオポジションは、これらの動機が具体的な方法論を検討したり、コミュニケーションや情報網をしっかり機能させていく過程で意識化されることが表されています。さて、土星が双子座に入ったあと、初めて内惑星がアスペクトをつくるのが、5/7の水星と土星のコンジャンクションです。ちょうどこのころ小泉首相は所信表明演説をし、その中で構造改革を強調しています。この時点では、国民の意志を意識しながら改革すべき社会構造のポイントを言葉で指摘していっています。その後、水星は15日に冥王星とオポジションになります。その少し前に田中真紀子外相が批判されますが、批判に対する反応も含め支持率の高さが強く認識される結果になります。

次に太陽が5/25〜6/4の間に土星と冥王星のオポジションに触れます。この時期には、経済財政の基本方針がまとまってきますが、もっとも目立っていたニュースは、ハンセン病の扱いについて小泉首相が強いリーターシップを発揮したことです。ハンセン病は、この時期の土星と冥王星のオポジションの別のテーマとして大きなものだったかもしれません。最終的な決着は、12月に火星が土星と冥王星に対してTスクエアになる時期に和解が成立しています。また、田中外相の問題も表面化しています。この問題は、実は「官僚(土星)」の現状に関する根本改革(冥王星)というテーマにつながっていきます。太陽は、問題の焦点や現状が明らかになるという側面もあります。つまり、土星と冥王星のオポジションに関連する問題や対立の焦点が明らかになっていった過程に関係があるでしょう。また、次の7/15〜17に金星がオポジションに触れますが、この時期には外務省の水増し問題が明らかになり、役所と庶民の価値観の違い(金星)が取り沙太されるようになります。

内惑星が土星側とコンジャンクションになった時期の次には、それらがスクエアになっていく時期を迎えます。スクエアの場合は、当初目に入っていなかった問題などが浮かび上がったり、対立を解決する実際の努力などが始まります。8/6に土星と冥王星自体のオポジションができたあと、8/21〜22には水星が土星と冥王星のオポジションにスクエアになります。この時期には道路4公団民営具体化案などがまとめられます。そして、9/5〜7には、太陽が土星と冥王星のオポジションに対してスクエアになりますが、この時期に特殊法人の廃止の困難さが意識されたり、外務省での横領事件が問題になったりします。また、この時期には、もともとの構造改革の流れには入っていませんが、歌舞伎町の火事やアメリカでの同時多発テロなどが起こり、新たなテーマが加わっています。さらに、10/2〜3には、金星が土星と冥王星のオポジションに対してスクエアになりますが、この時期には柳沢金融担当の孤立や公的資金投入・整理回収機構の問題など財政関係の困難さが認識されます。

このころには、土星が逆行し2度目の土星と冥王星の正確なオポジションが起こります。これは、逆行して以前の状態へ戻っていく方向なので、ちょうど忘れ物をしたかのようにこれまでの過程を振り返るかたちになります。そして、12/3〜15の間に水星、太陽、金星がそれぞれ冥王星とのコンジャンクションの位置を通過していきます。この時期には裏金問題で外務省で大量に処分者がでます。また、内閣主導体制を強化します。

この年、火星は射手座で逆行をしていたので土星と冥王星のオポジションに対して、コンジャンクション、オポジション、スクエアのアスペクトをあまり形成していませんでしたが12/22〜31の間にスクエアを形成します。この時期、ハンセン病の決着がついたほか、不審船に対して攻撃を行う事件が起きています。火星は魚座だったので、海に関する事件として起こったのかもしれませんが構造改革としては目だった動きは見られなかったかもしれません。水面下では、田中外相の更迭につながっていく鈴木宗男氏とあるNGO代表との対立が起きてきます。

次に内惑星がアスペクトを作るのは、2/18〜3/23に金星、太陽、水星が次々と土星と冥王星のオポジションに対してスクエアを作っていく時期です。この時期は、少し前に起きた田中真紀子外相の更迭(1/29)事件の後、鈴木宗男氏のさまざまな疑惑や辻本議員の秘書給与問題などが起きています。特徴としては、当初予想していなかった問題が浮上しながら土星と冥王星の対立のさまざまな部分が明らかになるスクエアの性質がよく表れている展開でしょう。また、土星から見ると山羊座にあたる角度なので、人事の管理のような動きになったのかもしれません。

これでだいたい一年の流れを見てきました。テーマはその後も続いていきますが、外惑星のアスペクトに対して内惑星の動きがどのように働くかということのイメージはつかめてきたと思います。今回は、日本全体の中での特徴的な動きである構造改革を取り上げましたが、土星と冥王星の同じようなテーマが会社や業界、家族、恋人同士などのさまざまな次元の集団や組織で起こっているでしょう。もちろん、それぞれの組織には特徴的な内部機能の働き方がありますので必ずしもすべてが顕著に観察できるわけではありませんが、何らかのかたちで影響を見つけることはできるのではないでしょうか。そして、重要なことは、おそらく何が起こったかということよりも、なぜそれが起こりどんな方向を目指しているかということでしょう。

実は、土星と冥王星のアスペクトは、正確なものは2002年5月26日が最後でしたが、今年(2003)の2〜3月ごろにもオーブが狭い状態になっており、火星や太陽などがアスペクトを形成していったので、テーマが再燃していました。そのあたりの時期まで同じ方法で振り返りながら検証してみるのも興味深いので、みなさんも試してみてくださいね。

次回は、同じテーマを別な例で考えてみましょう。この記事に関する質問や意見は遠慮なくお寄せください。また、占星術の個人レッスンもはじめました。詳しいことは ryuz@rr.iij4u.or.jp へメールをいただければ幸いです。






(Mon) 5/ 7/2001 3:24pm Mercury (Gem) Con (Gem) Saturn
小泉所信表明演説(構造改革強調)
OECD共同声明案
ハンセン病裁判
>12日田中外相批判
(Tue) 5/15/2001 3:07am Mercury (Gem) Opp [Sag] Pluto
支持率の効果

(Fri) 5/25/2001 9:20pm Sun (Gem) Con (Gem) Saturn
24日ハンセン病控訴断念
前年財政収支、生保の損益状況
31日特殊法人への国費投入削減・経済財政の基本方針
(Mon) 6/ 4/2001 9:10pm Sun (Gem) Opp [Sag] Pluto
田中外相米批判問題化
7日ハンセン病国会決議>15日補償法成立
8日池田小事件発生

(Sun) 7/15/2001 4:17pm Venus (Gem) Con (Gem) Saturn
外務省水増し、米ミサイル迎撃実験、京都議定書ボン合意不可能
(Tue) 7/17/2001 7:01pm Venus (Gem) Opp [Sag] Pluto

(Mon) 8/ 6/2001 7:26am Saturn (Gem) Opp [Sag] Pluto

(Tue) 8/21/2001 12:40pm Mercury (Vir) Squ [Sag] Pluto
(Wed) 8/22/2001 6:09am Mercury (Vir) Squ (Gem) Saturn
23池田小事件保護者説明会・経過まとめられる
道路4公団民営具体案

(Wed) 9/ 5/2001 11:19am Sun (Vir) Squ (Sag) Pluto
GDPマイナス、特殊法人廃止困難
歌舞伎町ビル火災(2日)
(Fri) 9/ 7/2001 1:04pm Sun (Vir) Squ (Gem) Saturn
外務省横領事件
<当初意識されていなかった問題を認識>

(Thu) 9/27/2001 6:41am Saturn S/R

(□) 10/ 2/2001 1:33am Venus (Vir) Squ (Sag) Pluto
(□) 10/ 3/2001 3:50pm Venus (Vir) Squ [Gem] Saturn
証券税制法・柳沢金融担当孤立・公的資金、整理回収機構の問題・原稿棒読み

(☆) 11/ 2/2001 9:38am Saturn [Gem] Opp (Sag) Pluto

(●) 12/ 3/2001 11:05pm Sun (Sag) Opp [Gem] Saturn
(●) 12/ 7/2001 1:14pm Sun (Sag) Con (Sag) Pluto

裏金問題外務省で処分。
内閣主導強化。

(●) 12/ 4/2001 9:42am Mercury (Sag) Opp [Gem] Saturn
(●) 12/ 6/2001 5:27pm Mercury (Sag) Con (Sag) Pluto

(●) 12/11/2001 11:28am Venus (Sag) Opp [Gem] Saturn
(●) 12/15/2001 2:12am Venus (Sag) Con (Sag) Pluto

(□) 12/22/2001 11:00pm Mars (Pis) Squ [Gem] Saturn
(□) 12/31/2001 5:02am Mars (Pis) Squ (Sag) Pluto
ハンセン病実質決着

1/29田中外相更迭

( ) 2/ 8/2002 10:11am Saturn S/D

(□) 2/18/2002 10:08pm Venus (Pis) Squ (Gem) Saturn
ブッシュ来日
田中鈴木参考人
(□) 2/26/2002 10:02am Venus (Pis) Squ (Sag) Pluto
政府デフレ対策案

(□) 2/27/2002 12:43pm Sun (Pis) Squ (Gem) Saturn
(□) 3/ 8/2002 5:44pm Sun (Pis) Squ (Sag) Pluto
3/11鈴木むねお証人喚問

(□) 3/18/2002 6:22am Mercury (Pis) Squ (Gem) Saturn
(□) 3/23/2002 4:21am Mercury (Pis) Squ [Sag] Pluto
辻本秘書給与

(◎) 5/ 4/2002 2:46pm Mars (Gem) Con (Gem) Saturn
(◎) 5/ 9/2002 7:45am Mars (Gem) Opp [Sag] Pluto

(◎) 5/ 7/2002 9:01pm Venus (Gem) Con (Gem) Saturn
(◎) 5/10/2002 3:31am Venus (Gem) Opp [Sag] Pluto

(☆) 5/26/2002 2:52pm Saturn (Gem) Opp [Sag] Pluto

(◎) 6/ 7/2002 2:00pm Sun (Gem) Opp [Sag] Pluto
(◎) 6/ 9/2002 8:08pm Sun (Gem) Con (Gem) Saturn
個人情報、有事、税制など


(◎) 6/29/2002 12:48am Mercury (Gem) Opp [Sag] Pluto
(◎) 7/ 2/2002 8:22pm Mercury (Gem) Con (Gem) Saturn





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マンデン2

□占星術のしくみとマンデン・その2

個人の出生ホロスコープを解釈するときには、占星術でよく利用される10天体は、公転周期の早いほうから5天体の本人が自分の資質として感じやすいもの、遅いほうから5天体の周囲や社会からの集団的な影響として感じやすいものに分類して考えることができます。この考え方は、マンデン占星術を考えるときも同様に働きます。しかし、前回考えたようにマンデンでは、個人にあたる組織をいろいろなかたちで考えることができます。どこまでが「本人」でどこからが「周囲」というのは分類しづらいですが、これらを「個の特徴を集団に反映させよう」と「集団の働きに個の特徴を受け入れよう」という個が先か集団が先かという方向性の違いと認識すると見分けがつきやすいかもしれません。

集団的な天体同士のアスペクトに注目

このため、木星から冥王星までの5天体の働きは、個人や組織が「自分自身が積極的に働きかけている」とは感じにくいでしょう。このシリーズでは、まず、これらの木星から冥王星までのアスペクトを「環境要素」あるいは「集団的な心理のトレンド」として注目していこうと思います。そして、ニュースなどに現れてくる現象は、これらのトレンドに対して個の立場に立つ5つの天体がいろいろな具体的な物語を展開していくという構図です。

個人にとってマンデンを考える意義

集団的な天体は、個人のホロスコープの中では、奥のほうに隠れた深層心理として働く部分に関連します。このことをよく考えると、複雑な深層心理の働きを理解する鍵が社会的な心理のトレンドを把握することにあることがわかります。ある意味で、社会のトレンドは個人個人の深層心理の反映であり、また、個人個人の深層心理は社会のトレンドに敏感に反応しているということもできるでしょう。一人一人の心の奥のほうにある葛藤が社会のトレンドを作っているとも考えられます。自分はあまり社会の動きには関わっていないと感じていたとしても、実際には間接的あるいは集団的なかたちで大きく影響を受けたり与えたりしているのでしょう。

私はこれらを次のようなイメージで整理しています。まず、月と太陽に代表される個人的な5つの天体の働きと冥王星と土星に代表される集団的な5つの天体の働きを対照的に考えます。ちょうど、月と太陽の大きな呼吸のような働きに対して水星、金星、火星が具体的に実現していく道具として働くように、冥王星と土星の間でつくろうとしている全体的な機能のまとまりの像は、海王星、天王星、木星を道具にして個人個人に対する具体的な活躍すべき土台を与えてくるかのようです。個人的な5つの天体が「自分の行きたい場所」を具体的にしていこうとするのに対し、集団的な5つの天体は「個人が降り立つための土台」を具体的にしていこうとする働きなのかもしれません。ちなみに、これらの火星と木星の真ん中には、とても多くの小惑星が今も次々と発見され、その軌道が判別され、名前がつけられています。このことから、小惑星は集団全体の機能に対して個人個人が行う役割分担の具体的な「型」として考えることができるのかもしれません。小惑星は、芳垣氏が具体的な研究を進め、このメールマガジンでも連載をしていますが、その太陽系全体の中での役割という視点も含めてさらに研究を進めていけば、個人のチャート解釈だけでなく、マンデンなどさまざまな分野で応用できる大きな可能性を持っている気がします。

さて、こうして考えてみると、ホロスコープで利用される主要な10天体は、個人の動機と集団の必要性の間をどう折り合いをつけていくかという物語、あるいは、力の場の中でそれぞれの機能を発揮しているという具合にイメージを作ることができます。ということは、個人のチャート解釈の中で重要な5天体は、集団的な5天体が用意する具体的な活動の舞台や土台を探し求めているという文脈で考えるとよく見えてきそうです。そして、この「集団的な5天体が用意する具体的な活動の舞台」という部分をマンデン占星術により考えていくとよいのでしょう。

土星より遠い惑星

社会や集団の都合や影響が自分の活動の方向性に壁を作ったり、自分の意志に反する方向に進めたりする点は誰もが感じやすいかもしれません。しかし、自分が他人に対して(自分も含めてですが)社会の一部になり集団的な影響力を与えていることにはあまり気がついていないかもしれません。町へ買い物にいけば、みんなで使うお金とその価値はすでに自分以外の人により決められ、昔から存在しているように感じます。商品と交換するしきたりも何もかももともとみんなが行っているものを習得し、それを利用して買い物をしています。これらのしきたりやルールは、元もと存在しているように感じますが、実はみんなが集団的に都合のよいように作りあげてきているものです。集団的に都合のよい社会システムを作ることには時間がかかります。とくに、大量の人々の間のコミュニケーションをとれるようなシステムのない古代の社会では、集団的な社会システムはとてもゆっくり変化したでしょう。また、その構造を新たな世代へ受け継いでいくときには世襲か、あるいは、力比べになっていただろうと考えられます。

専制君主政治的な社会のシステムが大衆中心へと変化してきたのは、かなり最近の16〜7世紀ごろからではないでしょうか。そして、18世紀後半のアメリカ独立革命やフランス革命などにより、民主主義が主流になっていったと考えてもよいかもしれません。ちょうどこのころ、大衆の総合的な意識の芽生えに科学技術の発展も重なって、いままで肉眼で見えていなかった惑星の「天王星」が発見されました。つまり、天王星は社会的なシステムに個人個人の意見が反映される道が開けていく動きにあわせてその存在が認識されるようになったのです。さらに、海王星が発見され、冥王星が発見される1930年ごろには、人間とその社会は自分たちで作り出したシステム自体の存続をいざとなれば自分たちの手で抹消できてしまうような力の元となる「核」を手に入れることになります。視点を変えると、これらの遠い天体の発見は、地球環境全体に対して人類が見逃せないほどの影響を与え始めた動きに重なっています。つまり、天王星、海王星、冥王星は、集団的なシステムの構造やルールを自分たちで変更し、作り上げていくことができるという自覚とともに認識に入ってきているのがわかるでしょう。もっとも、それらの働きはもともと存在しなかったものではなく、存在してはいたが、利用することが困難なためしっかりと意識されてこなかったものなのでしょう。いずれにしても、個人個人はさまざまな次元で社会の中での集団的な合意の形成の一端を担っています。そして、木星から冥王星までの5天体はそんな集団の合意形成機能のさまざまな側面の働きとしてイメージすることができるのです。

最近の天体の動き

あまり概念的なことばかりでは理解しにくいので、最近の天体の動きの例で考えていってみましょう。ここ数年の間の集団的な5つの天体の間で形成されたアスペクトを考えてみましょう。アスペクトは、さまざまな種類がありますが、整理して考えていく場合は、広く一般的に働く基本的な種類のものから着目していくと分かりやすいでしょう。私は、まず、コンジャンクション、オポジション、スクエアを注目します。これらのアスペクトは、人々のさまざまな活動の中で一般的な目的意識や葛藤などとして顕在化しやすい性質を持っています。木星から冥王星までの5天体同士の間でもっとも最近起こっていたこの3種類のアスペクトは、木星と海王星のオポジションです。これは、逆行現象のために、去年の9月から今年の6月の間に3回正確な角度を形成しています。さらに、土星と冥王星のオポジションは、おととし(2001年)の8月から去年の5月までに3回正確に形成されています。具体的な個人の行動や個々の現象の成り行きは、これらのアスペクトが強い影響をもっている(つまり、オーブが狭くなっている)時期に、より個人的な天体の動きに合わせて個人や具体的なものごとが動くことにより進んでいきますが、これらのアスペクトはさまざまなできごとの背景の概念的な動機として働いています。このため木星と海王星、あるいは、土星と冥王星自体がそのままある具体的な現象に結びついているのではなく、木星と海王星ならば「社会で認められやすい行動の可能性(木星)に対して個人個人の心理や理想(海王星)を反映させていこう」という方向性、土星と冥王星であれば「社会で実際に行われている規範的行動(土星)に対して個人個人の意思(冥王星)を反映させていこう」という基本的な方向性として、背景の原理のようなかたちでさまざまなできごとに影響を与えています。これらは、さらに、「構造改革(土星と冥王星)」や「理想や可能性(不安)の考慮(木星と海王星)」などの概念的なキーワードに置き換えてみると、近年ニュースなどをにぎわわせたスローガンや話題の傾向の中にそれらの要素が確認できるかもしれません。

実際のできごとの過程

では、これらの「構造改革」や「理想や不安の考慮」は、実際にはどのように遂行されていったでしょうか。実際に政治の舞台で小泉内閣が掲げたスローガンの構造改革は、議題にし、テーマにしたからといって、すぐには実現されません。このアスペクトは、2003年6月の現在では、すでに、オポジションを過ぎ、だいぶ離れてきましたが、これまでに「構造改革」はどのように進んできたでしょうか。2001年4月に小泉内閣が誕生して以来、政治の舞台では「構造改革」をどのように実行するかということがしばらくの間の大きなテーマになっていました。このころは、ちょうど土星が双子座へ入り、サインの上で冥王星とオポジションの位置に入ってきた時期です。政治の舞台では、スローガンとして意識されていた「構造改革」ですが、別の次元、例えば、自分が働いている会社の中でのものごとを行うシステムとか、多くの他人と接する公共の場などで、「他人とうまくやっていくためにみんなが意識しなければならない常識/秩序感覚の欠如」などが感じられていたかもしれません。そして、いろいろな次元で新たな秩序を作り出さなければならない必要性を強く意識したかもしれません。この土星と冥王星のテーマは2002年5月から9月までの間に徐々に理想や不安を考慮する木星と海王星のテーマへと移り変わっていったでしょう。株価は下がり、たまちゃんやぼらの大群が現れ、白装束やSARSなど「先が見えない不安」を考えるテーマの現象が多く見られました。

このように、木星から冥王星までのアスペクトに象徴される集団心理のトレンドがその時期に起こったさまざまな現象の背後に働いているのがわかると思います。アスペクトを現象自体に結びつけてしまうと見逃しがちになるかもしれませんが、背景になる心理的傾向としてとらえるとさまざまな状況の中にその影響を認めることができるでしょう。次回は今回扱った2つのアスペクトについてもう少し詳しく観察してみましょう。この記事に関する質問や意見は遠慮なくお寄せください。また、占星術の個人レッスンもはじめました。詳しいことは ryuz@rr.iij4u.or.jp へメールをいただければ幸いです。


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マンデン1

□占星術のしくみとマンデン

これまで、10回にわたりホラリー占星術を通して占星術がどのように働くかを考えてきました。これからしばらくは、マンデン占星術をテーマにしていきます。マンデンとは、占星術で社会全般のものごとを考えていく方法です。星の影響が世の中にどのように反映されていくかを考えてみましょう。

トランジットの働き

ホラリーでは、必要を感じて、星に相談を持ちかけると、星はその配置により状況を大きな視点から整理して見せてくれました。しかし、このことについて、もう少し深く考えると、私たちの心の中の深いところでこうした星の動きと一緒に変化している部分があったと考えることができるかもしれません。「そのとき天空で動いている星の動きと一緒に変化している部分」を考えることは、占星術の中でもっとも基本的な部分である「トランジット」に焦点をあてていることになります。

マンデン占星術を考えるときにも、この「トランジット」という側面はとても重要になります。占星術を考えるときに必ず出てくる決まり文句である「As above, so below(天上の振る舞いは地上のそれに反映されるという意味)」という言葉は、トランジットの考え方の原則になるポイントを押えているのでしょう。しかし、実際に天体の動きと地上のできごとを関連づけて観察していく際には、もう少し具体的に考えていかなければなりません。まず、天上の「何」と地上の「何」が関連しているのかということを考えなければなりません。

マンデンでの「組織」の単位

天上については、占星術では、通常、「太陽系」の惑星たちを注目しています。これらは、「太陽を中心にした一つの大きな構造」の中で動いています。ということは、それに対応するものを地上で探すときも、何かを中心にした一つの大きな構造に着目するとよいかもしれません。

個人の性格や時期に関する影響を考えるときには、この「何かを中心にした一つの大きな構造」は「個人」になります。しかし、マンデン占星術で社会的なことがらを考えているときには、さらに別な視点も考慮していかなければなりません。社会の中のいろいろなものごとに目を向けると、さまざまなかたちで何らかの中心をもちながら動いているものがあることに気がつきます。とくに、人間社会の中では、会社や国など、集団で何らかの組織を作っているものがたくさんあることに気がつきます。視点をいろいろ変えてみると、一つの組織の中にいろいろな組織があったり、別な組織と共通部分があったりなど、複雑に絡み合っている部分もあります。しかし、その組織の中心やそれに属する/しないの境界線などを考えると、どうにかこうにかいろいろな組織が認識できてくるでしょう。

例えば、小さな規模のものから考えてみれば、まず、家族や友だち同士のグループなどが、組織として考えられるでしょう。家族はかなりしっかりした結びつきをもっていますが、友だち同士はあまり拘束力はないかもしれませんね。町内会や学校なども組織です。学校の中にはクラスやクラブ/部、生徒会などの組織もあります。会社も組織ですが、大きな会社になると内部にさまざまな組織をもっています。系列や企業グループ、下請けの関係などをつくっていることもありますね。もっと大きな視点になると業界や組合、自治体、そして、国といったまとまりも組織として考えられます。さらに、経済ブロックや国連、地球全体もある意味で組織と考えられるかもしれません。

トランジットでは、このような地上のさまざまな組織と天上の「太陽系」との関係を部分部分を関連づけながら観察していくことになります。そして、占星術ではこの関連づけを行う際に、天体、サイン、ハウス、アスペクトなどの「象徴」を利用します。このとき、天体は、「太陽系」に属しているので、その構造の中での働きという特徴に注目しながら地上のさまざまな組織の内部の構造と関連づけていきます。そして、それらの奥のほうで太陽系の動きと一緒に動いている部分を見定めていくのです。

組織や活動の「誕生」

さて、個人の場合は、誕生日の天体配置を利用してその特徴を考えていきます。組織にもそれが成立した瞬間が考えられます。社会の中のさまざまなものごとには、何らかの始まりを考えることができます。占星術では、ものごとがスタートする瞬間には、そのものごとのその後の展開に重要な特徴が表現されていると考えられています。このため、ものごとを考えるときにはそのスタート時のホロスコープを重要視するのです。しかし、社会の中でのできごとの場合、この始まりは、はっきり明確なものからあいまいなものまでいろいろな状態が考えられます。例えば、2人の人間が出会えば、そこですでに2人の協力関係が始まっているかもしれません。しかし、その後、条件が整い、その2人を中心とした会社を始めたなら、その時点で新たな次元の活動がスタートします。

新たな活動がスタートするということは、ある意味で、絶え間なく変化する動機の流れにかたちや焦点を与え、範囲を限って方向づけすることになり、よりゆっくりとした時間の流れに焦点を合わせたテーマを追いかけることなのかもしれません。個人には、その個人に関する歴史認識があり、集団には集団としての歴史認識があります。ばらばらで動くときと集団でいっしょに動くときには、異なる進み方の時間を意識するのかもしれません。このような、集団的な意識はその集団の中心人物になっていれば意識しやすいかもしれませんが、通常はあまり意識できにくいものでしょう。しかし、自分が何らかのかたちで組織の立場に立って動きを気にしているとき、例えば、その組織の部外者から攻撃にあったときなどには、組織として働いている意識の一部を実感することがあるかもしれません。組織の誕生日には、このような特定の組織に関連しながら働いている意識が発生すると考えることができ、占星術はその意識の変化を観察していく道具として考えることができます。組織の誕生日のホロスコープの働きに関しては、このシリーズの話がしばらく進んだところでじっくり考えてみましょう。しかし、ここでは、トランジットの動きに影響を受ける組織の意識という何らかの対象があるということだけ注目しておきましょう。

組織のいろいろな次元と太陽系の各天体

太陽系は、異なる速さで動く天体が集まって成り立っています。これは、それぞれがある意味で異なる大きさの集団に対応する時間の流れに関連していると考えることもできます。例えば、月や水星、金星などは、比較的短い時間で公転しているので、比較的小さな規模の集団や活動の中で働く意識に関係しているかもしれません。一つの会社を例にとって考えてみましょう。ある程度の大きさの会社になると、いくつかの部に別れて仕事をすすめており、さらに、各部の中には課があるかもしれません。実際の一つ一つの仕事は、課の中で数人のチームを組みながら動かしているかもしれません。このとき、個人個人(例えば月に対応)やチーム(例えば水星に対応)の次元の意識は、目の前で対処していることがらにあわせて目まぐるしいスピードで動いています。課題を達成したり、失敗したり、日々の活動に合わせて喜怒哀楽を感じているかもしれません。課長さんは、「課」の次元の意識(例えば金星に対応)を代表して感じているでしょうが、課題と達成のリズムは、現場のチームより長い周期で動いているでしょう。さて、この会社では、週に1回定期的に部長会というのが開かれ、そこでそれぞれの部の活動状況が報告され、会社全体の状態が一個所で把握されます。また、この会議では、社長や重役が先導しながら会社全体の方向性も打ち出していきます(例えば太陽の働きに対応)。この会議では、すでに個人個人が現場で体験している喜怒哀楽とは異なる周期や範囲で目標が設定され、それに向けて労力が使われていきます。

こんなふうに想像していくと、ある組織の中でいろいろな次元の意識が相互に関連しながら働いている様子がイメージできるのではないでしょうか。トランジットの各天体は、そのスピードに応じて、これらのそれぞれの次元の意識に影響を与えているのでしょう。

今回は、マンデン占星術を考えるシリーズの最初でしたので、着目点を挙げていきました。次回からは、これらの点を実際のアスペクトと実例を突き合わせながら考えていきましょう。この記事に関する質問や意見は遠慮なくお寄せください。みなさんのホラリー体験談などもぜひお聞かせくださいね。また、占星術の個人レッスンもはじめました。詳しいことは ryuz@rr.iij4u.or.jp へメールをいただければ幸いです。

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2008年03月26日

千住明

千住明.jpg3回目の放送は千住明さんの特集でした。ドラマや映画、ドキュメンタリーなど映像音楽において優れた作品を作られている千住明さんは1960年10月21日に生まれました。太陽は天秤座、そして、月は蠍座です(天秤座の可能性もあります)。2回目に扱ったバーシアと同じ太陽と月の組み合わせです。つまり、基本的には「他人や協力者と積極的に関わり、価値観や感性を伝えたり、調和の取れた協力のあり方を見出していく天秤座の力を使い、他人との深い心の交流や相互理解、信頼ができる蠍座的な環境や存在のしかたを続けていこうとする方向性」という特徴を共有しています。しかし、これは大まかな特徴なので実際の体験のしかたはとてもさまざまです。


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posted by ryu at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去記事保管庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

バーシア

バーシア.jpg2回目の放送は、バーシア(1954.09.30)を特集しました。バーシアの生年月日にはいくつかの説がありますが、ポーランド政府関係のホームページに紹介されていたものを使いました。天秤座の太陽で蠍座の月のバーシアは、他人や協力者と積極的に関わり、価値観や感性を伝えたり、調和の取れた協力のあり方を見出していく天秤座の力を使い、他人との深い心の交流や相互理解、信頼ができる蠍座的な環境や存在のしかたを続けていこうとする方向性を持っています(もちろん生まれた年が異なればこれらの前提はすべて成り立ちませんが)。


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マライアキャリー

マライアキャリー.jpg星占いの向こう側第一回目はマライアキャリーの特集でした。

この番組ではホロスコープの、特にアスペクトと進行の太陽に絞って特徴を分析しています。

マライアキャリーの月は蠍か射手のどちらかですが、太陽は牡羊座です。おおまかにいえば、何かを深く探求したい(蠍)あるいは広い世界を理解し自分なりに参加したい(射手)という欲求(月)を、自ら動いて実現する(牡羊)力(太陽)を使って実現していく人物像です。太陽は天王星とオポジションになっているので、多くの他人からの評価に反応したり、突然のひらめきにより自分の表現方法や人生の進め方を変化させたりする力があるかもしれません。天王星は人道的な意識をもたらす天体でもあるので、デビューアルバムでは「There's Got To Be A Way」などの曲を力強く歌いあげられたのでしょう。また、太陽の側に水星があるので、技能や技術力などの側面も個性といっしょに注目を浴びやすくなります。


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posted by ryu at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去記事保管庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする